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それがお前の限界?



「ひゃっほほーーーい!」



ブスブスブスブス!!

ドバババババ!!


柚と雫は突然現れたエスパー、海月(くらげ)海星(ひとで)の攻撃に翻弄されていた。


海月は無数の針を出してくるし、海星は毒のようなものを放ってくる。

やはりアダマスのエスパーは只者ではなく、逃げるだけで精一杯だ。


柚と雫は、勘によって毒の方を避けることを優先していた。

そのため、針には何度も当たり、もうかなりボロボロだ。

所々から血が出ている。



「海星兄貴ぃ〜っ!志門の奴どっか行っちまったよー?別にいーけど」


「よくねぇよ!ま、どーせろくでもねぇ応援とか連れてくんじゃねぇの。1人じゃ何もできねーアイツらしーわw」



雫は気付いていた。


この2人は…今私たちを殺そうとしてない。

いたぶって、ただ遊んでるだけだ。

私たちが志門くんを先へ行かせたから……

志門くんが戻ってきたら、目の前で殺そうと考えてるんだ。

つまりは本気の力じゃない……

本気を出したら、どうなるか……一瞬で殺られるかもしれない。



「柚っ……大丈夫?血が……」


「いっ……」


柚は膝を大きく負傷している。

急いでスキルで止血した。

お互い全力で逃げ回るばかりでかなり疲労感が溜まっていた。



「おっ!おお?おやおや?」


海星が遠くを見てニヤニヤしだした。


「おっ!やぁっと来たじゃあん!志門の奴〜!……って、え?!何アレ?!ねぇ兄貴!アレ何?!」


志門が連れてきたのは、明らかにどう見てもクマのぬいぐるみ。



「おいおい志門……いくらお友達がいねーからって、テディベアとは……そりゃこっちも悲しくなるぜ?」



「誰がただの可愛いクマちゃんだって?」



「いや、ンなこと言ってねぇし……つか!喋った!?……はーんなるほど。傀儡というわけか。こりゃおもしれぇ」


「えっえっ!超可愛いじゃん兄貴!動画動画!」



海月は、クマと海星の対戦を楽しそうに録画しだした。



「クマ相手だからこそ、手加減はしないぜ?」


「臨むところだ。全力で来い。」



シュッー……!!ガシャン!!

ドカドカドカドカー……!!



クマと海星の闘いは、あまりにも速すぎて目で負えないほど激しかった。

周囲の建物は崩れ、瓦礫やガラスが飛んでくる。



「へえっ!なかなかすっげえじゃん!クマのくせに!

おい海月!ちゃんと撮れてるかぁ?!」


「うっ、うん多分?あとでスローモーションに編集しないとだけど……」



シュパーン!



「あぁっ?!おい何すんだよクソ志門!!死ね!!」



志門にスマホを吹っ飛ばされた海月はブチ切れモードに入り、志門に技を放出しだした。



「くっ……!」


間一髪の所で避けきれた志門の服が、海月の毒によってシュゥゥ〜と溶けていく。



「ははははははっ!お前なら知ってるだろ泣き虫志門?この毒に一瞬でも触れるとどーなるか!むかーし僕らと実験させられてた時、お前ビービー泣いてたもんねぇ?」


冷酷な笑みでさぞ面白そうに笑いながら次々と技を出してくる海月。


志門は必死に避ける。


これに当たったら……内側から骨が侵食されて……死ぬ!!


こいつらはSKJの中でも、化け物揃いのZにいた。

だから当たり前に、強すぎる……。


でも……だからってなんだ?

どうせ勝てないって分かりきってるなら、命をかけるくらい死ぬ気で全力出してやる……!!



ザッー!シャキーン!


「おっ?おや……」


フッと笑う海月の前には今、瓦礫を大きな(なた)のような武器に変えた志門がボワっとオーラを滾らせていた。


「……ふぅん?少しは成長してんじゃん?でもそれがお前の限界?」


ボワっ!


海月のオーラはもっと凄まじかった。

トレードマークのニヤつき顔が、一際毒々しく見える。



「ほら。どーぞ?」



挑発するように手を動かす海月に、志門は大きく鉈を振りかざし、スキルをためて一気に襲いかかって行った。



グワンッー!



「あははははっイイネ!その調子だよグズ志門!」



シュッシュッシュッー!



四方八方から飛んできた毒が避けきれないと思った瞬間、跳ね返してくれたのは柚だった。



「ゆっ、柚さんっ」


今の毒により服が溶けかかり、柚は上を脱いでキャミソール1枚になった。



「志門くんのことは、私が守る。

お姉ちゃんだもの。」





もう一方では、

クマと雫が海星と戦闘していた。



グサグサグサグサー!!!


ビリリッー!!



「クマッ!耳がっ……!」


クマの耳がちぎれ、綿が出てきている。


「オイラは痛覚ねーし別にどおってことねぇ」


雫自身も、初めて今日このクマという傀儡に会った。

人間のような仕草そして意思疎通もできる傀儡なんて聞いたことがないが、今はそんなことを考えている場合では無い。



「へぇえ?痛覚ねぇなんてつっまんね!

じゃーなんだお前どーやりゃ死ぬんだ?お?」



海星はかなり面倒くさくなってきたのか、凄まじい速さで針を撒き散らし、


「じゃーあ首チョンパかなぁ?」


その針をまとめあげ、巨大な凶器に変化させた。

こちらにみるみる迫ってくる。

しかし、四方八方からの細かい針に、逃げ場がない。


詰んだ……!と雫は思った。

もう終わりだ……そもそもこんな奴らに勝てっこないっ……


クマだけでも守ろうと、その手を掴み、引き寄せながらギュッと目を瞑った。


「………。」


しかし、全くなんの衝撃もなく、意識すらある。

雫は恐る恐る目を開いた。


「え……く…ま……」


掴んでいたはずのクマは、なぜかその腕だけを残して他は全て大量の針が刺さっていた。


そして……


ボトッ……


「っっ……!!!」


ゾワッと鳥肌がたち、雫は絶句する。


クマの首が落とされたのだ。


全ては一瞬のことだった。

クマは自分の方に全ての攻撃を集めたのだ。



「な……っ、んで……ど、して……」



クマの頭を抱えながら、急いで視線を走らせる。


なんと向こうでは、柚は倒れていて志門が柚を庇いながらなんとか足止めしていた。

しかし志門も怪我をしているようで、動きがぎこちない。


どうしよう……このままじゃ皆やられる……

私もやられる……!



無数の針が目前に迫った瞬間、

それはなぜか、バラバラと下に落ちた。


「久々会ったと思ったら何へばってんだよ雫!」


「そっ、爽斗!ごめん……っ、クマが……」


針が無数に刺さり、ワタが飛び出し、更には頭と胴体が切り離されてしまっている。

そんな惨すぎる状態のクマを見た爽斗はショックを受けたように目を見開いたが、すぐに鋭い視線を海星に向けた。



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