『清め』
アティリオ目線です
おかしい。まるで生き物のように火柱が上がる。これは明らかに魔力が起こす火だ。何が起こっている?
ネフィをこんなことに巻き込んでしまった。
『防御』をかけたとはいえ…ネフィ、どうか無事でいてくれ。
「殿下!」
「ダミアン!どうだ?」
「はい、客人の避難はほぼ終わりました。万一残っている者がいないか、今確認して回っています。」
「わかった。城などどうなってもいい。無理に消火を考えるな。人々が無事ならそれで良い。」
「……アティリオ、これはなんだ?普通じゃない。」
「…ああ、わかってる。お前もくれぐれも気をつけてくれ」
「はい。……殿下も」
ボンッ!また火柱だ。私は右手を上げ消火した。この城は魔力で守られているはず。そこに入ってくることが出来るなど…くそっ、なんなのだ。
その時、景色が一変し、決して起こるはずのないこと、ここにいるはずのない方が目の前に現れた。
「アティリオ」
「!!!!へ、陛下!!なぜここに?」
「アティリオ、これはドゥイルカの仕業だ」
「兄上の?」
「概ね舞踏会の音楽や人々の声。溢れ出る正の感情に、ヤツの負の感情が爆発したのだろう。」
「し、しかしこれは明らかに魔力によるものです。」
「んん…ドゥイルカも我が一族の血を受け継いでおる。微々たる魔力を有していたとしても不思議ではない。
それが最後の最後、激しい怒りと共に異様な力を持ち放出されたのかもしれん。」
「最後の最後……」
「後は私が片付けよう。息子の後始末は父である私が引き受ける。
お前はネフェリアーナを迎えに行け。」
「どうして陛下がネフェリアーナを…」
「ふっ、身体は臥しておるが私は魔力を持つ国王だぞ。全て把握しておる。
強く賢く勇気がある女性だな。お前の妃に相応しいじゃないか」
「はい、ありがとうございます」
「さて、今から全てを『清める』」
「は?『清める』?いえ、ダメです!陛下、それはいけません!そんなことをしたら陛下のお命が!」
「構わん。」
「そんな!」
「それが不憫なドゥイルカにやれる父親としての最後の愛だ。
そしてお前には……」
どこまでも我が子を愛する父親の笑顔を残し、国王は私の前から消えた。
「殿下!こちらでしたか!」
「ラミエル、もう大丈夫だ。……陛下が全てを清めて下さる。」
「陛下?なぜ陛下が?……いや、それより…『清める』?…『清める』って……待て!たしか『清める』と命が……」
「ああ…………父の崩御は明日皆に知らせる。明日から忙しくなるぞ。」
「うっ………」
今、子どもの泣き声したか?どこだ?
「ラミエル、行くぞ!」
泣き声がする部屋に入ると、そこには少年を抱きかかえ座り込むネフェリアーナがいた。
「ネフィ!!!!ネフィ!!良かった!」
私は彼女を力に任せて抱きしめた。
一瞬、時空が歪むのがわかった。しかしそれに気づく者などいない。
ホールから音楽が、そして人々の弾む声が聞こえてきた。
清められたのだ。




