求婚
ネフェリアーナ目線の最終話です。
ありがとうございました。
いい匂いだわ。ここはどこかしら?家の匂いじゃない。
待って、目覚めたらまた違う私になってるとかないよね?
いやよ、私はアティリオ様に会いたいの。
アティリオ様がいない世界なんてイヤ。
というか目覚めたらJCに戻ってたらどうしよう。
いやよ、いや、絶対にいや!だって私は…私は…
「アティリオ様の側がいいのぉぉぉっっっ!!」
…………あっ……やらかし……た?
「ネフィ〜〜〜!!!」
「く、苦しい、苦しい、い、息が、息が出来ないです!」
そう言いながらもアティリオ様の胸に顔を押し付けられた私は彼の匂いを思いきり、何度も何度も吸い込んだ。
ーーいい匂い!
「可愛い寝言を言う君が悪い」
「あの、そう、寝言なので、あくまで…」
「国王の前で一度言った言葉を取り消すことは許されないね」
「………国王?」
とたん彼の表情が曇った。
「昨日、父王が崩御された。」
「えっ!あ、あの、でも、私、陛下にお会いしたわ。陛下に助けて頂いたのです!あれは…」
「父の意識だ。意識は身体と引き離すことができる…もちろん簡単にできることではないが…。君が会ったのは父の意識が形となった父だ。
父は君のことを気に入ってくれたようだよ。」
「舞踏会は?皆さん無事?あ!あの少年は?無事?」
「ネフィ、大丈夫、落ち着いて」
「でも!でも!」
「ネフィ。実はね、あの後、父はあの場の時間を戻してくださったんだ。人々の記憶からあの惨劇を消したんだよ。魔力では『清める』と呼ばれる行為だ。」
「そんなことが?」
「ああ、できる。但し決して使ってはいけない。それは自らの命と引き換えの魔力だ。」
「命と!まさか!」
「人の心を操るのだ。それ相応の代償は当然だ。」
「けれど陛下はそれを…そんな…命と引き換えにしてまで…」
「ああ。私も止めたのだ、そこまでする必要はない、それはいけない、と。すると父は言った。
『お前への結婚祝いだ』と。」
「…………」
「…………」
私達は喜ぶべきなのか悲しむべきなのかわからず、互いに困ったように微笑みあった。
「さて、ネフィ、君との婚約は私の戴冠式の後になる。少し待たせるがいいかな?」
「もちろん…です…。」
「それと、これから私は少し忙しくなる。」
「はい、わかりました。おとなしく待っています。」
「あーいや、そうではなく…もし君が構わないなら夜に会うことはできるだろうか?一応、今までは夜に会うのは遠慮していたんだが。」
「え…はい。アティリオ様にお会いできるなら。私も嬉しいです。」
「君をきちんと帰せるか自制心を試されそうだな」
「!!!!」
「ハハハ、真っ赤だぞ、ネフィ!本当に可愛いなぁ、君は。」
アティリオ様が私の頬に手を当てた。
「王妃候補の女性とは婚姻前に閨を共にすること。私が正式に国王になったらすぐに法律を作ろう。」
「暴君!」
「ハハハ…君のためなら私は喜んで暴君になるよ」
コンッコンッ。
「殿下、失礼いたします。」
「ネフィとの時間を邪魔するヤツは打首、という法律も必要だな」
「心外です。……殿下、少々お話が。」
「わかった、すぐ行く。ほんの少し待て。大事なところだ。」
「では、外で。ほんの少しだけ待ちます。
ネフェリアーナ様、ご無事で何よりでございます。」
「ありがとうございます、ラミエル様。」
笑いながらお礼を言う私の横でアティリオ様が跪き私の手を取った。
「ネフェリアーナ・バルドメオ令嬢。
私、アティリオ・セレスティノ・エドマンドはあなたに永遠の愛を誓うと約束いたします。
私と結婚して頂けますか?」
「……はい。光栄です。私も愛をお誓いいたします。」
私達は互いの愛情を確認し、与え合い、交換し合うように何度も優しい口づけを繰り返した。
そろそろ怒りのノックが聞こえてきそうだけれど。
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