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第二十四話 貴方の優しい世界の終わりに

「うっぎゃああああああぁぁぁぁぁ!!!痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃ!!!真っ二つ!?私真っ二つになっちゃった!?」


俺の目の前でスパーダが頭から真っ二つに別れた状態で叫んでいる。

身体からは血などは流れていないのだが、断面は見えている。グロテスク。……えっ?生きてんの?


「なんでなんでなんで!?こんなのカッコ良くない!可愛いくない!ヒーローじゃない!ヒロインじゃないぃ!」


スパーダが剣を振るう瞬間、俺は『嫉妬(エンヴィー)』を使った。

効果はいかなる攻撃も相手に反射すること。

……これ反則じゃね?


「ユートさん!大丈夫ですか!?それに……酷い……この有様は……」


アンジュさんが困惑顔で近づいてくる。

何処にも怪我は無い。


「……良かった。今度は、守れた」

「ふぇ?ゆ、ユートさん?あの、いきなりどうしゃれたんですか?」

「え?」


気がつくと俺はアンジュさんを思い切り抱きしめていた。


「ごっごめん!なんだかアンジュさんの顔を見たら安心しちゃって」


そうだ、俺はあの時俺の過去を思い出したんだ。

大切な人達を守れなかった無念を。

しかし、その『守れなかった』という事しか思い出せない。何かから何をがさっぱりだ。

……けど俺、そんな過去なんてあったか?


「そ、それでユートさん。この状況は?というか図書館は?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アンジュさんに事の行きさつを説明しているうちに、王国の警備兵達も集まって来たのだが現場は余りにも凄惨だったため、何人も嘔吐をする人がいた。


「剣神スパーダ。知っています。このアルカディアの最古の神の一柱だと」

「うん。それが俺がいた世界の事を知っているみたいなんだよ」


今だ絶叫を続けているスパーダに目を向ける。

見た目美少女なだけにかなり怖い。

このままだと話を聞くことも出来ないためアンジュさんに頼んで痛みを軽くする魔法を少しかける。つーかよく生きてるな。


「はあはあ痛いよぉ」

「おい、スパーダ。お前地球の事を知ってるよな?どうして知ってるんだよ」

「意味わかんないゴッド・スキルもっといて何で知らないの?」

「は?このゴッド・スキルもっているのと何か関係があるのか?」

「あぁあああああ意味わかんないなんで私がこんな痛い思いしなくちゃいけないのこの世界でなんでなんでなんでなんデなンでナンデッ!!!もうっあんな…あんな思い、思い出したくない大丈夫だって言ったのにぃ。嘘つき!嘘つき!嘘つき!」

「お、おい」

「嘘つきぃぃぃ!フェブラー様のーー」

「スパーダ。駄目ではないか」


いきなり声が聞こえ、スパーダが倒れている直ぐ横の地面が揺らいだと思うとそこには漆黒を思わせるスーツに身を包んだ、生命を感じさせない真っ青の顔をした男が現れた。


「私達の主の名をその用に簡単にだして」


男は聞く者全てに不吉を振りまく様な声をしており、能面のような無表情でスパーダに話かける。


「契約違反だな。主の名を聞こえてしまっては私は出てこなければいけなくなる。悲しいよ。仲間をまた一人失うことになるのは」


男の話を聞くと、スパーダは呆然とした調子で呟く


「そんな……少しだけじゃん……この私の有様を見てよ、痛いんだよ。…口が滑ったんだよ……許してよ……」

「それは出来ない。規則は規則だ」

「おい、アンタ。いきなり出てきて一体何者なんだ?スパーダと知り合いなのか?それにそのスーツ、アンタ地球からきたのか」

「ふむ。名乗り遅れたな人間。私は闇神『ベルトニア』結末と断絶を司る神。地球、懐かしい響きだ。貴様は転移者だな。まさかとは思うが貴様がスパーダを倒したのか?」

「そうだ。そういうお前もなんだな?それに、そこのスパーダとはどういう関係なんだ?結末と断絶の神って事はスパーダと仲間なんだよな?」

「ほう。驚きだ。唯の転移者如きが私達、選ばれし者を倒すとは。色々と興味が湧くが先ずは私の仕事を終えようか」


ベルトニアと名乗った男はスパーダの半分になった頭に静かに手を置いた。すると地獄の釜を開いたかの様な禍々しい気配が周りを覆い尽くす。


「いやぁ……やだやだ……せっかく、力を手に入れたのに……もう苛められることもない世界なのに。やだよ」


汝死を思え(メメント・モリ)


言葉と同時に男の手から黒いオーラが吹き出しスパーダを包み込んだと思うとカランと乾いた音が響く

スパーダの居た場所には半分に別れた骨だけが残っていた。


「は?」

「して、貴様の話を聞きたいのだが、周りに人間が多すぎるな」

汝死を思え(メメント・モリ)


ベルトニアが言葉を言い終わる直前俺は反射的に『嫉妬(エンヴィー)」を使っていた。


「うそん」


カラン。

乾いた音が周りに木霊する。

それがベルトニアの最後の言葉だった。


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