第十七話 天井の味
いやさ、出来る限り引き受けようとは思いましたさ。
けど決闘って。
決闘ってあれですよね?
命を賭けて戦い合う的な事ですよね?
「ああ、ゴメンゴメン!勘違いさせちゃったみたいだね。決闘と言っても多分君の考えてる様な事では無いんだ。ただ僕と模擬戦をして君の力を我々に見せて欲しいんだよ。今この場に居るのは我が軍でも将軍など上の者達でね。ユート君が魔王を滅する力を持っているとは聞いていても、自らの目で見なければ……とか思ってる子もいるんだよ〜」
「は、はあ」
良かった。どうやら殺す殺されるな戦いでは無い様だ。
「我々亜人は基本的に力に惹かれる種でね。このまま君に我が国にいてもらう際、人間だから〜とか色々文句言ってくる子が出てくるだろうけど、今のうちにユート君の力を見せておけば、そういうのも減るだろうからね!」
なるほど、いくら魔王を倒したからといって、仲の悪い人間をそう簡単にすぐには受け入れられないよな。
しかし、力を見せて解決って考え方はやはり現代日本とは違う世界に来たと実感させられる。
「分かりました。俺の力で良ければお見せします」
「うん!良かったよ〜!それじゃあ僕が君に攻撃をするから、スキルでも何でも使ってそれを対処して欲しいんだ。ユート君が僕を攻撃しても良いんだけど、レーちゃんが産まれるまで最強と呼ばれていた僕の攻撃に耐える方がここに居る子達も納得するからさ!」
……えっ?ちょっと待とうか。俺がレオン国王の攻撃を受けるだって?
……えっ?俺自分のスキルまだ全然使いこなせてないんですけど?
その前に今までヴレイヴ・フォールとかいう、なんか知らないうちに敵を完全に消滅させるスキルしか使って無いんですけど?
使ったらマズイよな。国王消滅とか冗談じゃない。
ここは素直に無理ですと言おう。
俺はNOと言える日本人なのだ。
「あの」
「ユート!頑張るのだ!ユートに掛かればちなどちょちょいのちょいだ!」
レオナありがとう。だけど少し声のボリュームを抑えようか。
「あの」
「ふふん!皆も見るのだ!ユートの勇ましい戦う姿を!」
ありがとうレオナ。しかしちょっと静かにしようか。
「あの」
「父上もお気を付け下さい!いくら父上であろうともユートにはかないません!」
ありがとうレオナ。わざとかい?(^ω^#)
「ほう!それは楽しみだね!では遠慮は無しで行くよ!王獣化!!」
ほらっ!なんかレオン国王やる気になっちゃったじゃん!
レオン国王は『ライオネル』と呪文の様なものを唱えると同時にその身体が光に包まれた。そして光が収まるとそこには、体長10mはありそうな巨大な黄金色のたてがみを生やした獅子が居たのだ。その姿はとても雄大で同時に恐ろしくもあった。
ここだけの話し、少しちびった。
小か大かは内緒だ。
狼狽える俺に対し、獅子が話し掛ける。
「ああ、そうか。ユート君は異世界人だからこの『獣化』のスキルは初めて見るのかな?今は簡単に説明するけど、亜人はその身体を獣に変身させる事が出来るんだ。変身すると通常の時に比べて10倍ぐらい力が上がるんだよ。つまり、『獣化』は亜人の本気の姿だね。ちなみに『王獣化』とはこのガレウスでは僕とレーちゃんしか使えない特殊な変身でね、力は100倍ぐらいになるんだ」
100倍て。
ハハッ笑えねーよ。
「さて、そろそろ前置きはおしまいにして始めようか!」
えっ!?ちょっとまっ
「GYAAAAAaaaaaaaa!!!」
俺の考えはその鳴き声によって掻き消された。鳴き声だけで人間が持つ根源的な恐怖が浮かび上がってくる。
そして、そんな俺の状態を知ってか知らずか、レオン国王は驚異的なスピードで突撃して来た。
魔力とかの影響なのかその姿は俺の動体視力では何とかギリギリ捉えられたのだが、身体と思考のスピードが一致しない。
強…!速…避…無理!受け止める…無事で!?できる!?否…
いやいや!ゴレイ◯さんの名言で巫山戯てる
場合じゃないよな!
避ける方法……そうだ!あの豚から奪ったスキルで飛べば良いんだ!
そして俺はディザスタースキル悪魔の翼を発動させる。
狙い通り、俺の背中からは蝙蝠の翼の様な物が生えて高速で空中に浮く事が出来、レオン国王の攻撃は避ける事が出来た。
おおっぶっつけ本場でも何とか飛べるもんだな!らくしょ……
ドゴン!!!!!
俺は頭から天井に突き刺さった。
その場に居た人達「( ゜д゜)えっ」




