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炎上した高校生探索者だけど、親友ともう一度ダンジョンに潜ろうと思う  作者: 茶枝


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7話 刹那

 衝撃で視界が白く弾けた。


 音が、遅れてくる。


「——っ!!」


 ハルアの体が地面に叩きつけられる。

床が砕け、石片が跳ね上がる。


「ハルア!!」


 桜の声が響く。

だが——返事がない。


「っ……!」


 煙が晴れる。

そこにあったのは——


 クレーターの中心で、片膝をついたハルアの姿だった。


「……ぐ、ぅ……」


 剣で、受けていた。

だが完全ではない。

肩から腕にかけて、赤く染まっている。


(重い……!)


 腕が、震える。

骨が、悲鳴を上げている。


「さっきより…強くなってる…っ!」


 無理やり立ち上がる。

その瞬間——


 ゾワッ


 背筋が凍る。


(来る——!)


 考えるより早く、横に飛ぶ。

直後。


 ゴォンッ!!


 さっきまでいた場所に、拳が叩き込まれる。

地面がめくれ、岩が砕ける。


「は、はは……笑えないって……!」


「ハルア!下がって!!」


 灯里の声。

同時に——足元から氷が広がる。

滑るように後退する。


「っ玲ちゃん、今!」


「任せない!」


 氷の爆撃がオーガを襲う。

冷気の煙が立ち上り、視界が狭くなる。


 玲の横では、オーガにとどめを刺すための魔法を展開する桜がいた。

魔力が爆発的に膨れ上がり、空気が凍りつく。

温度が、一気に落ちる。

桜を中心に、霜が少しずつ降り、魔力が集まり始める。


(これで決めます…!)


 それにいち早く気づいたのはハルア。

その瞬間に他の2人に指示を出していた。


「っ!灯里ちゃん!玲ちゃん!時間作るよ!」


「お願いします!」


 ハルアが前に出る。

オーガが桜に視線を向ける。


——理解している。

“今、止めるべき相手”を。


「こっち見なって!!」


 踏み込み剣を振る。

だが——


 ガギィン!!


「っ……!!」


 弾かれる。


 攻撃が重い。

さっきよりもさらに。


(やっぱり強くなってる……!?)


 オーガが踏み込み、ハルアとの距離が一瞬で潰れる。


「ハルアちゃん!」


 灯里が割って入り、氷の刃で受け止める。

だが——


「止まらない……っ!」


 押し切られる。


 ズズッ、と足が滑る。


「——下がってください」


 桜の声が冴えわたる。

低く静かで、今まで聞いたことのないような冷たさがそこにはあった。


 空気が、凍りつく。

振り返るとそこには——


 桜の周囲に、幾重もの魔法陣が展開されていた。

淡く輝く氷の紋様が重なり、回転し、収束していく。


「これで……終わらせます」


 オーガが動く。

——標的を変えた。


「っ、来るよ!!」


「させないって!!」


 ハルアと灯里が無理やり割り込む。

叩きつけられる衝撃。

鮮血が舞う。


「ぐっ……!!」


「ハルアちゃん!」


「大丈夫……だから……!」


「っ、このっ…ハルアちゃんから離れろ!」


 氷の剣で肩に斬り掛かる

その影響でほんの一瞬だが、オーガが踏みとどまる。


(これでいい…!)


「桜ちゃん!!」


「——はい」


 灯里の声がダンジョンに反響する。

魔力が臨界に達することで空間が歪み、冷気が収束する。


「——凍て尽くせ」


 魔法を発動するその瞬間——




 グォォォォオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!




 咆哮。

それは音だけで収まらず、衝撃が走る。


 空気が震え、魔力が乱される。


「——っ!?」


 が、ブレる。


 制御が——崩れる。


「うそ……っ」


 集中が、途切れる。


 収束していた魔力が——弾ける。


バチィッ!!


「きゃっ……!」


 桜の体が弾かれる。

魔法は——不発。


「嘘でしょ……今の……」


「魔法を……敢えて…?」


「詠唱を中断させるなんて…」


 ありえない

物理的に止められたわけじゃない

咆哮という”圧”で、魔力を乱し、魔法を撃たせなくした


「……っ、まずい……!」


 桜が顔を上げた、その時——

もう、目の前にいた。


「速——」


 振り下ろされる腕。


「桜ちゃん!!!」


 ガキィンッ!!!


「……っ、間に合った……!」


 割り込んだのは——ハルア。


 だが


「ぐっ……がぁっ!!」


 肉体の限界だった

今度は完全に叩き潰される

体を起き上がらせることができない


「ハルア!!」


 ハルアの意識は手放され、言葉に反応することはない

灯里が駆けつけるも前衛を失った今、陣形が崩れる


オーガはその隙を——逃さない

灯里の攻撃をはじき、踏み込む


 狙いは——桜。


(避け……られない——)


 その瞬間


「——やりすぎだぜ、暴れん坊」


 低い声が、割り込んだ

次の瞬間、オーガの体が桜の視界から消える


ドゴォォンッ!!!


 壁に叩きつけられる巨体。


「……え?」


 首を横に向けると、そこには壁にめり込むオーガの姿があった。

3人が目を見開く

土煙の向こうに立っていたのは——


「間に合ったか」


 鍛え抜かれた肉体と茶髪、そして自身の半分ほどの長さのある銀色に輝く剣を振り抜いた男


「よく持ちこたえてくれた。遅れてすまない」


『尭尋』のリーダーである弘人だった。

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