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炎上した高校生探索者だけど、親友ともう一度ダンジョンに潜ろうと思う  作者: 茶枝


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6話 変異種の強さ

 4人は13階層に降り、周りを調べようとしたが降りた瞬間にモンスターが襲いかかってきた。

事前に魔力の気配を察知し、即座に対応することでそれといった被害は出なかった。


「ふぅ…急に襲ってくるなんて礼儀がなってないね」


「ハルア、怪我はありませんか?」


「ないよ!」


『よく反応したな今の』


『すげーなハルアちゃん』




「気をつけて2人とも。魔力が濃くなってる」


「近いわね。進みましょうか」







「「おかしい」」


「ですね」


モンスターを倒した後、彼女たちは数分ほど先に進んでいた。


「モンスターがここまでいないなんてありえるのかしら…」


『マジでなんかいるんちゃう?』


『もしかしたら変異種かもよ』


『縁起でもないこと言うな』


『人のこと考えろ』




「でも確実に魔力は濃くなってるよ」


「だね!少し肌がピリピリしてる」


「この先から大きな魔力を————」


突如、モンスターの咆哮がダンジョンに響き渡る。


「な、なに今の!?」


「最悪の万が一が出たかもね…」


「そう…ですね、気を引き締めていきましょうか」


「ええ」




 少し先を進み、カーブのような道を抜けた先は今までとは違い、もともと広かった空洞がさらに広くなったような構造になっていた。


 そこにいたのはBランクに分類されるオーガ———ではなく

通常の個体よりも二回りほど大きくなった個体だった。高さ的には目視で約4m程

【変異種】その場を見た誰もが、ここに来るまで何度もその可能性を頭によぎりながら状況を照らし合わせ、実際に直視しても受け入れることができなかった。


 その巨体は過剰な筋肉の発達をしており、コウが吹き飛ばしたオークとは比ぶべくもない。その巨体から振り出される攻撃は、岩をも簡単に砕く。


 そしてオーガの変異種のランクはAに該当する———


「は?」


「なにこれ…」


「やばいかも」


「デカすぎないかしら?」


 その場の誰もが状況をまともに把握できない


『は?』


『え、なにしてんのこいつ』


『やばくね?一回逃げたほうが…』


『ハルアちゃん!一回逃げよう!!』


 コメント欄が加速する

その理由は


「え?なに、な、なんで…」


『なんでこいつ周りのモンスター食べてんの?』




『すみません!桜さん!状況を教えてください!!』


「え、ああすいません…えっと、状況ですよね?」


 状況を飲み込めずにいながら、桜は今自分が直面していることを伝えた。


『初めて聞く現象ですね…モンスターがモンスターを捕食ですか。すみませんが討伐をお願いしてもよろしいでしょうか?』


「も、もちろんです。」


『オーガの変異種はAランクですので皆様で討伐できるかと』


「そ、そうね!やりましょうか」


「やりますかね」


「魔法を練るわ。時間を稼いで頂戴」


「まったく…無茶言うなあ玲ちゃんは!!」


 ハルアがオーガに肉壁する。

食事中だったからか、オーガは反応に遅れる。


「おっらぁ!」


 ハルアの剣がオーガの腕に深い傷を付ける。

それに苛立ったのか、攻撃の対象をハルアに絞った。


「おっと、動かないでね。アイスバインド」

「させませんよ。フロストサークル」


 灯里の作り出した氷の鎖によって動きを封じられたところに、桜の氷の結解に閉じ込められる。

時間にして10秒程経った頃、オーガは氷の檻を抜け出してきた。


「やっぱり破られるよね」


「動きは鈍ってますしちゃんと効いてます。玲ちゃんお願いしますね!」


「もういけるわ!これでも喰らって寝てなさい!【クリスタル・エクスキューション】」


 無数の氷の槍が展開され、オーガに射出される


「やったね!ナイスだよ玲ちゃん!」


「流石ですね」


「待って、まだ立ってる」


「ずいぶん頑丈なのね」


「もう一回攻めなおそうか!」


『連携が綺麗だわ』


『お互いの隙をつぶしてんのか』


『流石変異種硬すぎ』


『あれ受けて生きてるってマ?』




 全身に槍が突き刺さってもなお、オーガは絶命せずに直立していた。

その目は自身を傷つけた玲を貫く。


「今度は私が溜めます。お願いしますね」


「了解!」


「そうね、一人に攻撃を集めたら流石に魔力が足りないわ」


「そうだね、これで倒せなかったら私が———」


「ねえ見て!傷が治ってく」


「「「!!!」」」


 モンスターは魔力がある限り再生する。

人間と同じように弱点を攻撃されたり、致命傷を受けることで絶命に至る。

4人は決してその特性を知らなかったわけではない。

変異種のそれは通常のモンスターの速度を遥かに上回っていた。


 傷が治ったことを確認したオーガは、先ほどの攻撃を打った玲を一番警戒していた。

何度も攻撃を喰らえば絶命することを理解したからである。

そのため、オーガの矛先は玲に向くことになる。


「っ!来るよ!」


 その言葉を皮切りに、オーガが4人に肉薄する


ガン!


 剣と腕が交錯する


「ぐっ」


 腕の骨が軋む

剣越しに伝わるそれは、今まで受けてきたどの攻撃よりも重かった。


(何このパワー…重すぎるでしょ)

「ダメ…とめられな——」


 言葉を言い切るよりも先にハルアの体が宙に舞う


「きゃっ」


 吹き飛ばされ、壁に衝突する

背中から叩きつけられたことで肺から空気が抜ける


「っ、ぁ……かはっ」


 息ができない

視界が狭くなる


瓦礫が崩れ、砂埃が舞う


「ハルア!——っ、一度止めます!」


 声が遠く聞こえる

魔法の展開よりも早くオーガが接近する


(やば…すぐに立てな———)


「危ない!」


 ガキン!!

氷の剣を作り出した灯里が庇う。


「力つよ…っ」


 押し返され、じりじりと距離を詰められる。


「凍結させて!」


「はい!【アイススフィア】」


 パキィン!

空気ごと凍り付く音が鳴る。

先ほどよりも強力な結解がオーガを閉じ込めることに成功し、辺りに静寂が落ちる。


「はぁ……はぁ……」


 荒い呼吸が響く。


「ハルア!大丈夫!?」


 ガラガラっと岩を押しのけながら、ゆっくりとハルアが立ち上がる


「ぅ…なんとか……」


 腕が痺れている。

感覚が少しおかしい。


(今の攻撃…まともに喰らってたら、やばかったかも)


「頭から血が出てるじゃない…治すわね」


「あはは、ありがとね」


「気にしないで。それよりあなたが力負けするなんてね」


「だいぶ強いね…正直びっくり」


「……とりあえず戻りましょうか」


「あっ、スマホ…壊れちゃったな」


「ドローンも壊れてるわ…」


 スマホは画面がバキバキになっており、通話も途切れていた。

それと同時に、今の戦闘にドローンも巻き込まれ、地面に墜落していた。




「ありがとうございます灯里ちゃん」


「いいよ怪我はない?」


「怪我はないです。ハルアちゃんは大丈夫でしょうか…」


「大丈夫だと思う」


『ハルアちゃんマジで大丈夫か?』


『こんなに苦戦してるの初めて見た』


『灯里ちゃん万能すぎん?』


『ここは割とみんな全部できるよ』




「多分そろそろ出てくるかと」


「身体強化を全力で使うよ。だからそれでも無理そうなら逃げて」


「そんなの無理だよハルアちゃん」


「見捨てはしないけど余裕がないのも事実ね…」


「出し惜しみはしてる場合じゃないですね」




 パキ……パキパキ……

静寂を破る音が、背筋を撫でた。


「……え?」


 氷の表面に、ひびが入っていく。

一本、二本———


 それは少しずつ、全体に広がっていく。


「うそ……もう?」


「そんな…かなり力を使ったのに……」


ミシッ———

 次の瞬間


バキィンッ!!


氷が内側から砕け散った。


「っ、来るよ!!」


 オーガが踏み込む。


——速い!


 さっきまでとは明らかに違う。


ドンッ!!


床が砕け、空気が押し潰される。


「ちょ、ちょっと待って……速すぎ———」


言い終わる前に、オーガの拳が振り抜かれる。


「ハルア!」


ギィンッ!!


 咄嗟に剣を構えて受ける。


「ぐっ……!!」


 今度は踏ん張る。


 ———だが、

ズズッ、と足が滑り地面が抉れる。


(押されてる……!)


「離れて!」


「っ!」


 直後、足元が凍りつく。


灯里の魔法。


その隙に後ろへ跳ぶ。


だが———


「え?」


 オーガは止まらなかった。

凍った床ごと踏み砕き、そのまま距離を詰めてくる。


「効いてない……!?」


「違う……効いてるけど、無理やり押し切ってる……!」


 ありえない。

魔法で“止める”という前提が、崩れる。


「玲ちゃん!!」


「わかってる!」


 魔力が収束し空気が冷える。


「——穿て!!」


 氷の槍が、再び展開される。


「【クリスタル・エクスキューション】」


 無数の槍が、一直線に叩き込まれる。


ドドドドドドッ!!


 轟音が響く。

冷気によって視界が白く染まる。


「……今度こそ」


 桜がそう呟いたその時——


グチャッ


 嫌な音が耳を貫く。


「……え?」


 煙の奥で、影が動く。

ボトボトと、何かが落ちる音。

それは———


 さっきまで周囲にいた魔物の残骸


オーガは、それを掴み———


「……食べてる?」


 ぐちゃり、と噛み砕いた。

骨が砕ける音。

肉を引きちぎる音。

咀嚼音が、やけに大きく響く。


「ちょっと……やめてよ、それ……」


「……回復、してる」


 空気が、変わる。

現場に緊張が走る。


「嘘でしょ……まだ強くなるの……?」


 ドクン


 心臓が、大きく跳ねる。


「……っ」


 その視線が、こちらを向く。

完全に、“敵”として認識された目。


「来る———」


 玲の言葉が終わる前に——

視界からオーガが消えた。


「——は?」


 目の前にいたはずの敵を見失う。


「ハルア!!上!!!」


 反射で顔を上げる。

そこには———

振り下ろされる、巨大な影。


「っ、ガード———!」


 間に合わない。


(やば———)


ドォンッ!!!


衝撃がダンジョンを駆け抜ける。



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