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炎上した高校生探索者だけど、親友ともう一度ダンジョンに潜ろうと思う  作者: 茶枝


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4話 緊急依頼

「———急用ですか?」


『はい、緊急のため連絡させていただきました。今皆さんがおられる横浜ダンジョン内部で異常事態の確認が取れました。尭尋の皆様には特に影響は出ていない感じでしょうか?』


「いえたった今、通常5体ほどで群れるグレイファングが17体の群れを組んでおり討伐に当たりました。場所は11階入り口付近です」


『討伐及び詳細な情報の提供感謝いたします。最初に事態の確認が取れたのは皆様より少し先の階層、13階層にて変異種の確認が取れています。申し訳ありませんが至急増援に向かっていただきたいのです』


「変異種ですか…最悪のパターンですね。増援の件は承ることは可能なのですが、先ほどよりメンバーのコウが体調が優れないようなので、どなたか応援に来られる方はいませんか?」


『コウ様ですか、申し訳ありませんがすぐに向かわせることは現状困難です…今最も近い者でCランクの方が一人4階層におられます。その方からも先ほど「モンスターの数が多いような気がする」と報告を受け現在は判断を仰いでいます。一人で11階層に向かうのは厳しいかと…』


「なるほど…上層でもモンスターの数が増加している可能性があると…猶更コウを帰すことが難しくなったわけだ」


「悩んでる暇なんてないわよ、変異種がいるんですもの先に増援に向かいましょ」


「変異種がいるから猶更無暗に向かえないんですよ澪ちゃん。今の情報から最低でも1体の変異種がいるけど、もしかしたらそれだけじゃないかもしれない…そうなったらいくら私たちでもコウ君を完全に守り切れないですよ…」


「っ、そうね。でも増援に向かわないと手遅れになっちゃうかも…」


『リーダーがリーダーしてる…感動もんやで…』


『こういうとこ見ると優秀って思うわ』


『余計なこと言ってないもんな、俺ならパニックになっちまうよ』


『変異種かぁ…最悪だな』


『よりによってって感じ』


『そんなにやばいんか?』


『それは知らなすぎやろ…教えたるわ。今回みたいなダンジョンで起きる異常は何個か種類があるんやけど、さっきみたいな数が多いのはそこまで脅威じゃない。基本近くにいるパーティですぐ解決できるしな、問題は変異種。文字通りモンスターが突然変異したみたいな姿してる。基本めっちゃ強くなってる、それこそ対応できるランクが変わるようなのも中にいる。だから結構強さの幅が広いし、同じ変異種でも強さが違うとかあるらしいから対応がほんとに難しいんや↓』


『探索者が活動を継続できないような傷を負う、または命を落とす理由で一番多い理由がこれ。ほんとに警戒しなきゃいけない。長文ごめんな』


『ありがとうございます。助かります』


『ワイも復習できた、感謝』


『サンガツ長文ニキ』


『実際何回も共有するのは大事よな』


『コウ君大丈夫かな…』


『今は連れて行くのが最善な気もするけどな』


『いくら探索者でも高校生やで?俺らより若いのに命の危険あるところに向かわせるべきじゃないと思う』


『しゃーなくない?探索者なんだし』


『未成年だしなぁ…』


『両者の言い分がわかるからこそ辛いものもある』


『選ぶのはコウ君がするべきな気がする』


『いやそれはダメだろ。何かあったとき自分で選んだって言われかねない』


『まぁ見守りましょうよ皆さん』




「何言ってるんですか皆さん!俺は戦えますって!!」


「落ち着いてくれコウ、お前は今明らかに体に異常をきたしている」


「そうよ、とてもじゃないけど戦わせられないわ」


「…っ」


「それにさっきの聞いてたか?変異種がいる、危険だ」


「変異、種…」


「だから決めた。コウお前は俺たちの後ろについてこい。俺が許可するまで絶対に前に出るな」


「いや俺は!………いえわかりました」


「すまない…何かあればすべての責任は俺が取る」


「それが最善ですね…先を急ぎましょう」


「ごめんねコウ、すみませんが戦況を教えてもらえますか?」


『迅速な判断感謝いたします。戦況は大きく変わっておらず、未だ交戦中です。負傷者も確認されていません』


「だそうだ、急いで向かうぞ」


(情けないな俺は……大事な時に何やってんだ、でも変異種か…)


『いい判断だよ、リーダー』


『マジで気を付けてくれ、流石に負けんと思うけど』


『間に合うといいけど、変異種だもんなぁ…』


『今の状況はハードコアすぎる』


『なによりあいつらって倒した後がクソよな…』


『呪いかぁ…考えたやつがいたら殴りたいくらいのクソギミックよ』


『あれはマジでヤバイ』


『すみません、教えていただきたいです』


『おっけ、任しとき↓』


『本当は呪いじゃないんよ。正確には【魔力過給症】って名前なんだけど、呼びやすいし危機感覚えるからって理由で呪いって言われてる。普通モンスターを倒したときに部位を落として消滅するのが一般的なんやけど、変異種は素材を落とさなくて、しかも消滅するときに爆発するんよ。この爆発に充てられると本来変異種が持ってた魔力を浴びることになる。それで魔力が乱れたりするんよ。その症状の名前って感じ』


『ありがとうございます』


『改めて見てもクソ』


『ただでさえ強いのにバグだろ』


『魔法使うと痛みとか出るって聞いたことある』


『軽ければ気分悪くなるとかで終わるけどね~』


『普通にシャレにならん』


『けどもう既に結構な時間戦ってるのに負傷者いないってだいぶ優秀やな』


『それな、誰が戦ってるんだろ』


『いうて5分くらいじゃね』


『変異種相手にその5分がすごいんよ』




「コメントでも変異種の話題で持ちきりね」


「仕方ないですよ、珍しいですし」


「危険だしな。────それともう1つ情報を追加しておくなら、変異種は周りにいるモンスターを従える特性を持つ。あまり知られていないがな」


「えっ?!ほんとなの?」


『本当です。基本的に変異種はほかの魔物が周りに寄らないので単体でいることの方が多いのですが、もし周りに魔物がいると群れのボスのような存在になります。今まで確認されたケースも数えるくらいしかなく、本当に稀なのであまり認知されていませんが…』


「ってことだ。気をつけることに越したことはない」


『周りの魔物もビビるんかな?』


『マジで最悪やん、群れの中に変異種いるとか怖すぎやろ…』


『わいなら画面越しでもチビってまうわ』


『きったな』


『今回は大丈夫なん?』


『それな、普通に心配』


「情報を提供する時に真っ先に言うだろうから今回はその心配はない。ただ、こっちが着くまで持ってくれるかは────おっと」


ダンジョンの奥を目指し進んでいると、前からモンスターが襲ってきた。


「ウィスパーバットか、今急いでるから邪魔すんな」


剣一振でコウモリを少し大きくしたような魔物を簡単に切り伏せた


『は?』


『何を四天王』


『なんで当たるんだよ』


『もう…この人ひとりで良くないですか?』


『おっさんって呼んですみませんでした…』




「マジでなんで当てられるんだ…」


『コウくんもこれにはしょんぼり』


『これは流石に同情するわ』


『こいつってBランクあった気がするんですがそれは』


『ただのコウモリだったんだよ…きっとそうさ』


『あんなキモくてデカいコウモリがいてたまるか』


『え、Aランクだからさこの人。自分のランクと同じなら基準的に倒せるから…』


『そうだとしても瞬殺って……ねぇ…?』


『あの速さ捉えて瞬殺できるってマジっすか…』




「まぁ鍛えればこれくらいできるようになるさ」


「いや…ぁ、まぁ…頑張ります」


『できてたまるか』


『コウ君諦めたぞ』


『引かれてて草』


『どう鍛えたらそうなれるんだよ』




「死ぬ気で鍛えればこれくらいはすぐだよ」


「それって多分文字通りですよね…」


「気持ち悪いわ脳筋バカ」


「それは私でもどうかと思うますよ…?」


「なんでだよ、———っとここから12階層か、気を入れなおして行こうか」


「そうですね」


「そういえばさっきコメントにもあったし聞きたいんだけど、今戦ってるパーティってどこのパーティ?聞いてる?」


『そういえば共有が漏れていましたね、すみません。今現在戦っているのはAランクパーティの氷蒼の皆様です』


「ありがとうございます。あそこか…私あの人たちあんま知らないのよね」


「いい人たちですよ、親身になってくださいますし。私は何度か一緒に探索に行ったことがあります」


「そうなのね、そういえばこの前なんか言ってたわね」


「ええ、私たちはお休みの日だったので一狩り行こうかと」


「ねぇ休みって何か知ってる?」


「ただ、あそこは私たちと違って全員Bランクなので少し心配ですね…」


「はぁ…もういいわ。急ぎましょうか、コウ少しペースを上げてもいいかしら?」


「俺は大丈夫ですよ、急ぎましょう…厳しかったら言います」


「ごめんね、ありがと」


「雑談も終わりにしよう、気を付けてるんだがいつもより索敵の反応が悪い。周りを気にかけてほしい」




『パーティのランクが同じなら一つ上にできるからね』


『よく見てたわ桜ちゃん』


『めっちゃ可愛いよな』


『バッカお前灯里ちゃんが最高だろ』


『玲ちゃんだろ、戦争な』


『女ばっかやん、もっと他にないんか?』


『お前はここで何を見てんの?澪さんと詩織さんだろ?そういうことよ』


『そういうことだったのか…俺はなんてことを。許せ戦友』


『いいってことよ、今度見てくれ。あそこは楽園さ、女性しかいない』


『まぁ探索者自体が女性の割合若干多いし、大成しやすいのは女性のほうが有利だからね』


『そうよな、4:6だっけ?』


『そう、しかも上に行けば行くほど男性の方が少なくなる』


『まぁ体質やし、しゃーないといえばしゃーない』


先ほどよりもペースを上げ、目的地である13階層を目指しながらコメント欄を横目に見る。


(氷蒼か、知らないパーティだけど女性だけなんだな。まぁ弘人さんみたいなのが何人もいてほしくはないけど…こればかりはどうしようもないよな)


 人間の生物としての構成上、男性のほうが筋肉量で優れているが、その分魔力の通りが女性に比べて悪くなってしまう。

結果として膂力の強さは男性が優れているが、魔法分野は女性のほうが優れている。

筋肉の成長速度と魔力の成長速度では、魔力の方に圧倒的に軍配が上がる。

魔力量の増加や操作精度の向上など、成長するものが一つではないからだ。

さらに、足りない膂力を魔力でカバーできてしまうため、欠点を補えてしまっている。

男性も魔力を鍛えれば必然的に強くなれるが、同じ土俵に立つ女性に劣等感を覚える者も少なくない。

そのため、命を懸けて戦う探索者は女性のほうが多くなってしまっている現状がある。

探索者にならなかった残りの男性の多くは、能力者から市民を守る公安に所属している場合が多い。






─────13階層が目前に迫る。


 近くに来ることで感じるようになった強い魔力が、肌をひりつかせていく。


(近い…もうそろそろだな、変異種か────








────これで2()()()か…)


頭の奥が軋む感覚がある


少し頭痛がするな…


落ち着け…冷静にならなきゃ────


(…叩き潰す)


思考が追い付かない…


(あれ?俺今何を思ったんだ───


自分の頭か疑えるくらいに、言葉があふれだしてくる


心臓が強く鼓動する


ダンジョンに響いてるんじゃないかと錯覚するくらいに


ダメだ  飲まれるな


まさか高揚してんのか?この状況で?






やっとだ……今度こそ────)」


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