野良猫
「はい、例のブツ…」
「有難う、助かる」
まるで違法薬物の闇取り引きの様に…
人目に付かない様に隠れて麻由からの預かり物を照陽に横流ししていた
また俺は面倒な頼み事をされていた
先日…俺は騒がしくなる事を予想し、色々眞也の事など興味のない会話をするのが面倒だったので照陽が静風を連れて俺の家に来た時に家を出て図書館で時間を潰していた
既に眞也から聞き出した内容は照陽に伝えたし役目は十分果たしただろう
俺はもうこの件に関して関わり合いたくも無かった
しかし更に面倒な事になると知っていればあの場に立ち会って全力で止めておくんだった
その更に面倒な事とは麻由の厳選お宝コレクション…
所謂BL本の受け渡しだ
どうやらまんまと麻由にその世界の勧誘をされ、静風は開けてはいけない扉を開いてしまった様だ
照陽は受け子となり、俺が麻由から預かった危険ブツを渡す
それを照陽が後に静風に渡し使用済みのブツは静風から俺へと返却される
照陽は目立つ部類の人間だったので正直毎回人に見つからない様に渡すのは苦労した
もし照陽の取り巻きに見つかり中身が露呈したら俺も道連れにされて巻き込まれて大騒ぎになりかねん
内容が18禁の物など過激な場合は下手したら猥褻図書の所持で謹慎処分もあり得るかも知れない
段々慣れてくると麻痺してきて人はより刺激を求める生き物だからな
まだこの先高等部まで続くこの学校生活に何とか目立たず騒がれず穏やかに過ごさねば
照陽はそれほどBLには興味を示さなかった様だが、静風に悪い影響がある物は渡したく無いと最初に検閲する事にした様だ
一応麻由も今の所はそれ程過激なものは渡してない様で静風に渡る前に差し戻された事はまだ無い
俺は静風と同じクラスなので、手っ取り早く静風の机にでも押し込んで終了にしたかったのだが…
遂に静風も麻由と同じ道を歩み始めた…
眞也の事もサラ絡みで眞司の心配してると照陽から聞いたが、俺の予想では単に腐なだけではないだろうか
眞也のアレやコレやを想像して鼻の下を伸ばしてハアハア言い出すかも知れん
終いには溢れる思い堪えきれず『てえてえ!』やら『ウホッ!』等とHRで叫び出すかも知れんな
「しかし…屋上って意外に穴場かもしれんな…」
昼休みに指定された場所は屋上だった
「そうだよ!インくんから前に聞いたことがあったけど…人も殆ど来ないし静かでよく眠れるって!」
「あー…確か俺も聞いた事有ったかも。確かアンやトモハルによく怒られてたらしい」
「あはは!そうなんだ」
「お前はここで寝てるのか?」
「たまにね。風が吹いてなくてぽかぽかしてる日とかね。ご飯食べたら眠くなるから…教室だと騒がしいしね」
「無防備だな…」
やっぱりコイツは韻にソックリだ
ただ韻と違う所はそれを制止してくれる善良な友人に恵まれてない所か…
まあこっそり来てるから周りも知らないのか
俺も今初めて聞いたし
「あとコレ!良い枕になるし」
そう言って麻由から渡された数冊の本を掲げていた」
「まあ…麻由のお宝が枕になってる事は黙っててやるよ…」
「そうだね!確かにこれはちょっとマズかったね…マユさんの大切な本だもんね。今度から参考書にしとこ」
恐らく参考書の方が大切で価値のある本だと思うがな
「まあ結論としてここで寝ることはやめないんだな」
「もう少し寒くなったらやめるよ?」
「じゃあ…寒くなったらここで気持ちよくて身体が温まる事やろうぜ?」
「私は青姦なんてやらないから!」
「どこでそんな言葉覚えたんだよ…」
「コレ!」
そう言って麻由のお宝本を掲げた
「コレはやはり有害指定図書だな…」
「セイヤの方がよっぽど有害指定人物だよ。まず学校はセックスする場所じゃないから!」
お前も散々スリルを楽しんで興奮してた癖に…
そもそも最初に学校でキスして挑発して来たのはお前だからな
とも思ったが
「はい、そうですか」
そう言って多分眠気で機嫌が悪くなって吠えてる照陽から離れて俺は屋上を後にした
恐らくこれ以上何を言っても無謀だ
振り返ると照陽は早速あの本を枕にしてベンチの上で横に寝転がっていた
相変わらず人の話を聞かねえ奴だなお前は…
○○○○○○○○○○
暫く照陽とはそんな面倒なやり取りをしていた
「テルヒどこ行ったんだろう…教室にも居なかったしラインしても既読つかない…」
昼休みに静風は照陽から例のブツを受け取りたかった様だが照陽が不在で音信不通の様だった
「あー…確か前に…天気が良い日は屋上で寝てるとか言ってたなあ」
「あはは!そうなんだ!」
「何か静かだし人もあんまり来ない様だから良く寝れるらしいぞ?」
「へえ!」
「まあアイツはいつも女子に取り囲まれてるしな。教室も騒がしいしたまには1人になりたいんじゃねえか?」
「成る程ね、やっぱりテルヒはネコみたい」
「まあ…ありゃまるで野良猫だな。マイペースだし人の話し聞かねえしたまに引っ掻いたり唸って来たりして可愛げがねえ」
忠告してやっても聞かずに大地を部屋に連れ込んだり…せいぜい静風にはバレない様にしろよな
オマケに人を陥れたり実験に使ったりして腹黒だ
そして野良猫照陽は素直に屋上で青姦はさせてくれなさそうだ
「あはは!やっぱ可愛いじゃん」
どこが…
静風とは分かり合えなさそうだ
「とりあえず屋上行ってみる」
「まあせいぜい引っ掻かれないない様にな」
「あはは!チョコあげたら多分大丈夫!テルヒ好きだから!」
どうやら野良猫の扱いには慣れてる様だ
奥義野良猫手懐けチュールならぬ手懐けチョコらしい
その後また例のブツを麻由から託されてさっさと手元から手放そうと思い照陽に昼休みにラインを送ったが既読が付かなかった
照陽のクラスを覗いてみたが居ない様だった
まあどうせ屋上だろう
そう思い屋上に向かった
遠目にベンチで寝転がってる女が見えた
そんな女子は照陽以外に知らない
相変わらず無防備…
とも思ったが、どうやら誰か…
女子に頭を撫でられながら膝枕されていた
お前は中々のタラシの殿様だな…
と呆れつつ他の人が居るなら渡せないかと目を凝らすとどうやら静風の様だった
なら構わないかとそっと近づいて行くと…
静風の顔が照陽に近づいて行き重なり
唇を重ねていた
あー…
そう言う事だった様ですね、静風…
まあ今まで所々匂わせて書いてはいたので察してる方もいたかもですが…
こりゃ大地…大変だぞ




