因果
書いていて長くなりそうだったので2話に分けます
「この人が今どうしてるか調べて欲しいんですけど…」
夏休みにおばあちゃんの所から帰って来て留代が今どこでどうしているか調べる事にした
「それ必要か?」
この事を言うと星夜には呆れられていた
「私はちゃんと全て知りたいの!後世に正しく伝える為にね」
「さすが八神の次期皇太后だな。まあせいぜい頑張ってくれ」
「私はカイと結婚するかも八神家を継ぐかもまだ分からないよ!」
「じゃあ何でそんな必死に調べてんだよ…」
「私はいつも最高のパフォーマンスを見せたいの!」
「変わらねえな…その無駄なやる気と努力の結果、カイとあんな風な関係になったってのにな」
「それはそうなんだけど…でもそのおかげで本当のカイの姿を知れた訳だしカイにはエナって言う私には出来なかったカイだけを真っ直ぐ慕ってくれる子も出来た訳だし」
「その都合の良い解釈をする前向きさとしくじろうが全く折れない心と1ミリも反省の気持ちの無さには恐れ入るぜ…」
「有難う」
「因みに褒めてねえからな。しかしどうやって調べる訳…流石に三ツ矢家の親族となってたら簡単には調べたり近付けたりは出来ないと思うぞ?」
「そうだね…まあ伝手を頼ってみるから」
「どうせ田所辺りだろ?」
「田所は何か頼むとなると見返りを求められて面倒だから…別方面から頼る事にするよ」
「何だ?金にものを言わせて探偵でも雇うのか?」
「まあ…近いかな?」
「さすが八神のプリンセスだな…」
「むう!それやめてよ!今は杉田だし!」
「杉田…な」
「そうだね」
「やっぱり何か目に見えない力と言うか因果とか有るのかもな」
「…」
そして田所以外の伝手である麻里奈を頼る事にした
カフェで待ち合わせて麻里奈と会っていた
今回は光太郎は連れて来ていなかった
「ふうん…因みにどう言う関係の人?」
「私から見たら…母の母の母の母…高祖母でしょうか…」
私の母の杏の産みの母は御月で御月の産みの母は宮乃でその宮乃を産んだのは留代…となるのだが
「私から見たら?」
「まあ…八神家の人間は…見る人の立場によって関係性が変わると言うか…姉であったり母であったりとか。マコトは私からみたら実の父になりますが母から見ても実の父になりますし…」
「成る程ね」
「で…この人は本来は私の実の高祖母となりますが、その事を隠して玉代が産んだ事にしてその後名前と戸籍を変えたので戸籍上は今は八神家にとっては他人です。八神家に今住んでいる玉代と言う高祖母の双子の妹で子を産めない玉代の代わりに密かに産んであげたんです」
「へえ…」
そこからザックリと留代が家を出た経緯と玉代が子を産めない経緯を説明した
「成る程ね。中々酷い内容ね」
「まあ…そうですね」
特に玉代が子供を産めなくなった経緯は母親になりたい私にとっても酷い事だと思った
「いいわ、調べてあげる。とは言え結局こう言う事を調べるのは光太郎になるだろうけど」
「すみません…宜しくお願いします」
光太郎も田所同様に見返りを求める人で面倒なので麻里奈から頼んで貰えそうで助かった
「まあアイツは甘いものでも口に突っ込んどけば仕事してくれるから」
「そうなんですね」
今度会う事が有れば何か甘味を手土産に渡そう
それで済むなら安いものだ
「それで…今の名前が…」
「はい、三ツ矢から嫁いで杉田桔梗と言う名前になってます」
「それってやっぱり…」
「今は私の父の遠縁の親戚となっている様です」
「三ツ矢と言い…私もつくづく何か見えない因果に関わる羽目になるみたいね」
「麻里奈さんも?そうなんですか?」
「まあ…あの家の婚外子…綾って娘と昔ちょっとね…」
「そうなんですね…」
麻里奈はそれ以上語らなかったので話したくない内容なのだろう
私も敢えてこれ以上聞かないでいた
「でもあなたと親類ならそっち方面から調べた方が早いんじゃない?」
「私の家族には夏休みに八神家の歴史を調べていた事を話していなくて…おばあちゃんの家にセイヤと行っていた事も隠してるので…」
その流れでマコトと杏の子で有る櫂がこの先八神家を継ぐ為に八神家の歴史を調べていて、私も興味が有ったので冷静で知識も豊富な星夜を頼り引き連れて調べていた事を話した
星夜は八神家からは除外された存在で杏は八神家の使命を全うさせる為に私と関わらせたく無いと思っているので誰にも言わず秘密裏に同行して貰っていた事も説明した
「ふむ」
「お父さんは八神の人間では無いので八神家の事情について何も知りません。いきなり遠縁の親類について尋ねるのも不自然だしそこから色々追求されるとマズイので…」
「成る程ね」
「留代の母に送っていた手紙の差出人の住所を一応ググルマップで調べてみましたが、今はマンションになっていて当時住んでいた家も取り潰して引っ越してる様で…」
「まあ…名前と素性が分かってるからそんなに難しくは無いと思うわ」
「そうですか…良かった」
「その本名留代は三ツ矢家の養女となり杉田家へ嫁いだと」
「そうですね。その方は奥さんとは死別していて後妻として留代が嫁いでそのお相手との間に美智子と言う娘が生まれたらしいです」
「美智子…確かその名前…三ツ矢家の先代当主の奥方の名前だったと思うわ」
「そうなんですか」
「と言う事は…今の代表、三ツ矢剛は八神の血を引いている…と言う事ね。道理で…」
「?」
「三ツ矢剛は若いながらも優秀で人望も有り…まあ頭も切れて人誑しで弁も立ち人を使うのが上手く変わり者で…サイコパスだって噂もね」
「へえ…」
他人から見た八神家の人間はそんな風に見えるのか…
そんな風に思いながら聞いていた
「まあ留代って人は八神家のお役目と杉田家のお役目を果たしたって所かしら」
「そうですね…八神の子孫と杉田の子孫…果ては三ツ矢家の子孫に繋がってますからね。でも麻里奈さんは…」
「?」
「子供は居ないんですか?」
「居ないわね。結婚もしてないしする気も無いし」
「そうなんですか?」
「まあ私の親…母親だった人に子供の頃に散々な目に遭って来たから。そんな親元に居たんじゃ人格も歪むし結婚に夢も希望も見出せないわね」
確かその事が原因で殺害に及んだのだったか…
「そうですか…恋人や好きな人とかも居ないんですか?」
「居ないわね」
「子供も欲しいとか…母親になりたいとかも?」
「思わないわね。母が居なくなって今は再婚した父とも離れて親とも縁が切れて精々してるわ」
「成る程…じゃあ今はお一人で住んでるんですか?」
「いいえ。母親みたいな人と同居してるわ」
「みたいな人?」
「まあ…同業者で今は仕事仲間…に近いかしら。その人の娘は亡くなってるから…私を娘みたいに思ってくれてるし私も母親だと思ってるわ」
「そうなんですね!」
「まあこの人と出会えたキッカケは…田所のおかげなのかも知れないけどね」
「じゃあ…田所さんは麻里奈さんにとってお父さんみたいな感じですか?」
「うーん…父…と言うより…私に色々手解きしてこの世界に引きずり込んだ張本人であり…私を救った人であり…」
「それは…慕う人って事ですかね?」
「まあ、いつかは私が『支配』する相手って事かな」
「支配…」
「その為にも私も技術を磨き田所の寝首を掻く位にはならないとね」
「成る程…中々複雑な関係ですね…」
麻里奈は田所を殺害したいのだろうか?
正に複雑な感情で関係だ
「それじゃあ分かったら連絡するわ」
「宜しくお願いします」
私はそう言って頭を下げた
それから数日して麻里奈から連絡が来た
『今は旦那と死別して嫁いだ娘以外に家族も無く、杉田家の三男で分家だったので家を処分して単身介護施設に入居している模様。その介護施設は…』
有料老人ホーム「楓」
教えてもらったこの介護施設に会いに行ってみる事にした
この施設は今は三ツ矢グループが運営しており孫の剛が代表であり、その伝手で入居したのだろう
天涯孤独というよりは有る意味三ツ矢家の加護の元で生活している…とも言えるのだろうか
ただ入居費用は処分した財産から自腹で払っているらしい
留代は金銭的にも本家の杉田家や実家となっていた三ツ矢家を頼る事も無く同居と言う道は選ばなかった様だ
遠縁の親戚と名乗り面会をさせてもらう事にした
休日に会いに行く約束を取り付け、一人で会いに行った
「此方です…」
職員に談話室に案内され席まで連れて行ってくれた
談話室と言っても病院などの様な堅苦しい感じもなく大きな窓から日差しが差し込み明るい室内で椅子もソファーでまるでホテルのロビーの様でラグジュアリーな雰囲気だった
その人物は既に席についていた
「こんにちは。あなたは…?」
私の顔を見て立ち上がって驚いた顔をしていた
「私は杉田照陽と申します」
「杉田…」
「はい。杉田の家の者ですが…母の旧姓は八神と申します」
「やっぱり…」
やはり八神の顔は昔から変わらないのだろう
この人も双子だからと言う事も有るが玉代にそっくりだった
「桔梗さん…いえ…留代さん。私は貴方の玄孫です」
「そう…なのね…私を探し出してくれて…会いに来てくれて有難う…」
そう言って留代は微笑んで私の頭を撫でてくれた
麻里奈に頼り留代の近況を調べてもらう事になりましたが…
麻里奈と三ツ矢家の婚外子の綾との関係や田所との関係は「深海」を参照下さい
そして留代は照陽と遠縁の親戚となっていた様です
留代の現在はあの施設に住まいを移している様ですね
この施設については「タブレット・ジュン」を参照下さい
留代との会話は…
後半へ続く




