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明宵  作者: 水嶋
深更

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156/160

神様の言う通り

「うん、至って普通だな」


「まあ…そうだね」


町に聞き込みに行った星夜が何故かコーヒーゼリーをお土産に買って帰って来たので秘密基地で食べていた


星夜は帰ってきて早々に無言でウィッグを剥ぎ取って床に叩き落とし、折角頑張ってしたメイクを乱暴にオイルを直接顔に掛けて塗りたくってガシガシ落としシャワーを浴びて部屋着のジャージに着替えていた


「で、そっちはどうだった?」


「大した事は分からなかったな。元々八神家に居た奴らに戦時中に助けられた…とか?あと八神家に出前に行くとたまにヤバそうな奴が来てた…とかかな」


「ふむ…まあその辺りはおばあちゃんから探ってみようかな。明日このゼリー持ってって聞いてみる」


懐かしい味で当時の事を思い出すかも知れない


「でも昨日も言ったがこれで大体八神家の使命については解明されてるんじゃねえか?さっさと終わらせて帰ろうぜ」


「まあ…そうなんだけどね…」


「まだ何か気になる事でも有るのか?」


「まあ…使命よりも…」


「何だ?」


「インくんは予言とかはしないの?」


「聞いた事ねえなあ…大体口にする事と言ったらマユの名前かエロい事しか言わねえな」


「成る程…やっぱり覚醒する薬使った事が有るか無いかで差が出てるのかなあ…」


「おいおい、試そうとするなよ?家から逮捕者出して八神家を路頭に迷わせるなよな…一応アレでも貧弱ながら我が家の大黒柱なんだからな」


「そうだよね…」


「何、なんか予言でも聞きたい訳?」


「うーん…まあ気になってるって言うか…守生の予言ってほぼ当たってたじゃない?」


「まあそうだな。皇高留生足宮御事だったか?」


「そう。皇輝、高子、留代、一生、云足、宮乃、御月、眞事…」


「まあこの辺りは…守生の言葉が何かしら伝承されたか聞かされていたかで記憶に残ってて無意識に名前に付けたかも知れんがな」


「それはそうかもだけど…高子と一生の間に神の子が生まれて、家系図では玉代が産んだ事になってるけど予言の通りちゃんと留代が八神の柱の名前になってるよね」


「まあ…そうとも言えるか」


「タルムスビの神は神を生み出す仕事をして行く…これは云足が産婦人科医になって独自の神を生み出してたよね」


「まあ…アレは神と言うか何というかだが…」


「マコトさんが云足は奇形の子の事を神の子って呼んでたって」


「やはりイカれてんな…」


「オオミヤの神は人の腑をミケツの神は人の精を食す神でって…宮乃さんは地下施設の子の臓器をドナーにする事を始めたし、御月は妊娠中はマコトさんの精液飲んでたらしいし」


「とことんイカれてんな…」


「コトシロヌシの神は言葉を掌りその言葉で人々を救いその後の八神の人間の道標となる託宣を言い渡す…眞事さんは精神科医になってカウンセリングして患者を言葉で救ってる…そして」


「まあ救うってより幼女を言葉巧みに誑かすって事かもだが。道標って八神家の使命に囚われず好きな人と子を作れって奴だろ?」


「そう。マコトさんから言われてその教えを皆守ってる」


「まあ結局アンは八神家の使命継続中だがな。好きな人がマコトなら仕方ないか」


「お父さんの事も好きだもん!ただ医者になって仕事が大変だからこれ以上子供を産めないだけ!」


「はいはい、まあここまでは大体予言通り…か?」


「まあ…そうなんだけど…」


「でも違う事も有るよな?例えば…神の子である玉代はイクムスビの神が助けて長生きするって、これは留代が玉代の代わりに子を産んで助けたからであって一生では無いよな?」


「でも一生が玉代を外に出さずにずっと隠して守ってたから…とも言えるよね?」


「まあ…後は…交わりの契りから産まれ出でて八神の柱が揃いその加護を受けた9番目の神…て奴か。太陽神って多分お前の事だよな?」


「そう…だよね」


「9番目って変だよな?杏と韻は含まれてないのか?あと櫂は?」


「そうなんだよね…多分なんだけどね」


「?」


「皇輝の打ち立てた八神家の使命ってマコトさんで終わってるんじゃないかな」


「と言うと?」


「マコトさんが新たに八神家の使命を打ち立てたんだよ」


「ふむ…好きな人と好きな様にってやつか」


「そう」


「で、その意志を受け継いだアンの子がお前でお前が新たな使命をおっ始めると…」


「そう言う事なのかなあ…そんな気は全然ないけど…」


「で、お前は破壊神だと。言い得て妙だな。概ね正しいぞ」


「平等に天照らし地照らし恵みをもたらしって言ってたじゃん!放たれた光は優しいんだよ」


「でも皮膚を焦がし干ばつや飢饉にもさせ残酷でもあるんだって言ってたぞ?確か皇輝が」


「むう!」


「後は…神の子から生まれた子は太陽神に導かれ従いやがて新しい神の世界を作る…だったか。これってまさか俺の事か?」


「他に居ないでしょ。インくんの子は」


「もしかしたら他所に隠し子とか居るかも知れんぞ」


「インくんはマユさん一筋だから!」


「俺はお前に振り回されてシン・八神家の使命を作るのか?勘弁してくれよ…」


「それは分からないけど…でもね」


「まだ何か有るのかよ」


「おばあちゃんも夢でね、予言をしてるの」


「へえ」


「御月が自殺する事も、マコトさんと御月の間に神の子が生まれる事も、マコトさんもお母さんもインくんも医者になる事も」


「ほう」


「その神の子…インくんは八神以外の人と子を作る事も、お母さんが新しい神を産む事も…」


「まあその辺りは守生の予言を知っていた可能性は有るな。お前は破壊神だから」


「太陽神ね!で、お母さんが作った櫂…ってやっぱりお母さんが産んで無いから作ったって言ってるんだよね」


「まあ…その辺りは厳密なんだな」


「そのカイと私がおばあちゃんの後を受け継いで家を守って行くって」


「成る程な、やっぱりお前とカイが結婚する未来だと言う事か」


「私は…ここでカイと2人きりでこの先ずっと生活して行く事は考えられないんだけど…第一カイと居ても私とセックスしないならお母さんになれないだろうし…」


「そこはブレないんだな」


「私にとっては重要な事なの!」


「はいはい、まあお前の思う様にすれば良いんじゃね?俺には預かり知らん事だな」


「…」


「だからか…」


「何が!?」


「第三者…インの予言が知りたいと」


「まあ…そうなんだけど…」


「なら俺から忠告してやろう」


「何?」


「予言も占いも当てにするな。所詮は他人の思う勝手な理想と願望だ。自分の事は自分で決めろ。以上」


「むう!」


やっぱり星夜は相変わらず他人に同情も共感も心配もしない人だった


でもそれが心地良くも有り、真っ暗闇の中にかすかに遠くに見える道案内の如く照らす小さな星の光の様でも有り、そのおかげで冷静になれる気がした





○○○○○○○○○○





「わあ!懐かしいねえ」


次の日、おばあちゃんにコーヒーゼリーを差し入れると喜んでいた


「どう?昔食べたのと違う?」


「ううん、同じ味だねえ…色々思い出すねえ」


「そっか、良かった!云足さんも食べてたの?」


「云足はプリンが好きだったね」


「へえ!」


今度手土産に持って行ってみようかな…

そんな事を考えていた


「そう言えば…昔おばあちゃんが居た所は改装したんだよね?その後どうなったの?」


「ああ…突き当たりの部屋は…あれから母の部屋になってたよ」


「そうなんだ…結構広かったんだよね?」


「改装前はね。改装してからは普通の広さになってたよ。何部屋かに区切ってたけど結局使う人が居なくて倉庫になってたねえ」


「そっか…何か勿体無いね。旅館にでもしたら良かったのに」


「まあ…私が居たからね。他人を家に寝泊まりさせる事は無かったねえ」


「そっか…でも昔は沢山住んでたんだよね?どうして誰も居なくなったんだろう?」


「それは…私も詳しくは聞いてないけど…母が言うにはこの町の人々の為にお役に立てたとしかねえ…」


「そっか…」


この事も星夜が資料館で聞いて来た事と同じだったがおばあちゃんも詳しくは知らない様だった


おばあちゃんは言わば箱入り娘で他人とほぼ関わらず生きてきた


だからこの家に来ていたと言う怖い人…の事も知らないだろう

恐らくその辺りの手配等も母である高子がしていたのではないだろうか


高子の母が亡くなった後は実質この家を取り仕切っていたのは高子だろう

高子なら八神家から人々が消えた理由も知ってそうだと予測した


高子の部屋がこの家の突き当たりだと言う事が分かったので今夜辺り探りに行ってみよう



「じゃあ今夜もぐっすり眠れる様にハーブティーを淹れてあげるね…」


「有難うね、助かるよ」



そう言ってよく眠れるハーブティーをカップに注いだ


守生と玉代の予言を考察していますが…

韻にはその能力は無さそうですね

やっぱり指の数でなく薬の力かと…


高子の部屋で何か見つかるかな?


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