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明宵  作者: 水嶋
深更

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155/161

押しの子

「う…ん…」


「さあ、朝だよ!起きて!」


照陽がカーテンを開けて眩しくて目が覚めた

どうやら此処に着いてそのまま朝まで眠っていた様だった


「朝ご飯どうする?」


「要らん…コーヒーで良い…」


「もう!しょうがないなあ…そんなんじゃ大きくなれないよ?」


「大丈夫…朝から大きくなってるから…」


照陽はもう奥様…いや母親となっていた

少々夏バテ気味で寝起きから食欲は無かった


「朝からしょうもない下ネタ言って無いで!じゃあ顔洗って来て!」


言われるがまま顔を洗い歯を磨いた


「はいこれ」


そう言ってゼリー飲料を渡された

何だかカブトムシにでもなった気分でチュウチュウ吸っていた

どうせ吸うなら乳首がいい…


「じゃあこっちに座って」


そう言われてベッドに腰掛けた

よしよしこのまま押し倒して朝からチュウチュウ…


「じゃあ…目を瞑って?」


朝から積極的だな…

まあその気概、嫌いじゃない!


言われるがまま目を瞑っていると、何やら顔に塗りたくっていた


「何してんだ?」


「セイヤが好きなプレイだよー」


「ふむ…」


何だか知らんが色々と照陽には俺の性癖を把握されつつ有るので期待を込めつつ大人しく言う事を聞いていた



「わあ!可愛い!」


「おい…」


目の前に鏡を持って来て見せられた


「どう言う事だ?」


「さあさあ!これに着替えて!」


言われるがまま差し出された服に着替えた


「うーん…セイヤは体毛は薄い方だけど…やっぱり気になるね」


「だからどう言う事だと…」


服から覗いていた脛ににヒヤッとするジェル状の物を塗りたくり出した


「何だ?ローションなら塗る場所間違えてるぞ…」


手際よくその上にシート状の紙のような物を乗せて勢いよくベリっと剥がした


「いててて!何すんだよっ!」


「よしよし、綺麗になったー!」


マッサージのつもりか赤くなってる足に何かを塗り込みながら揉んでいたがそんな物で痛みは取れない


俺はすっかり目が覚めて涙目になっていた


「何がどうなってるんだよこの状況は…」


「最後にこれ被ったら終わりだから」


そう言って頭に黒髪ロングストレートのウィッグを被せられた


「わぁ!可愛い〜!やっぱ私天才!」


なんかどっかで同じ様な事を言われた状況を経験してるんだが…


「じゃあこっち向いて〜ハイチーズ!」


俺はムスッとして照陽を睨みつけていた


「うん、何かプライド高くて媚びない生意気美少女JKって感じ!」


「その言葉の中に何一つ賞賛の言葉がない事だけは分かった」


「何言ってんの!全部褒め言葉じゃん!」


「色々言いたい事は有るが…まずこれはどう言う状況だ?」


「セイヤを別人に変装させたんだよ?」


「何故その必要が有る…」


「町に出て星夜だってバレない様にだよ?おばあちゃんやカイやマユさんやインくんや…此処に来てる事皆に内緒にしてるんだから。どこでバレるか分からないでしょ?」


「あー…そうだった…テルヒとここに来てる事…まあマユやインには構わんがそこからシズカ達にバレたら面倒かも知れないな…今となってはシズカもマユやインと面識有るしな」


「でしょ?」


「だがしかし!それなら女装する必要は無いだろ。金髪ウィッグつけてりゃバレないだろうが。まあ変装するなんて聞いてないから持って来ては無いが」


「ダメだよ!あんな派手な頭だとかえって目立つしユヅキが居るってなると写真取られてアップされちゃうよ?そこから色々調べられたらどうするの。ネットの特定班は刑事や探偵顔負けなんだよ?」


「まあ…それも一理あるが…だがしかし!」


「何?まだ何かあるの?」


「まだまだ有るぞ。この服は何だ」


「それは私のワンピースだよ?セイヤ細いから入ったね!半袖だから袖の長さ気にしなくて良かった。でも私だと足首位の長さだけどセイヤだと膝丈位になっちゃうね」


「そりゃ身長違うんだから当たり前だろ。てか足のあの攻撃は何だ?すげー痛かったんだが」


「脱毛ワックスだよ?剃るより手っ取り早いでしょ。足が出てるから仕方ないよね。夏場だからストッキングとか履きたくないでしょ?」


「それは絶対嫌だが…いやいや、そうじゃなくて!このウィッグは何だ」


「あっ、それ難波先生に借りんだよ!」


「何で難波が…」


「セイヤを夏休みにメイクするって言ったら貸してくれたよ!その代わり写真を送る事って言われたけど」


「その頃から俺をハメて女装させる計画だったんだな。てか難波に写真なんて送るなよ」


「あー…もう送っちゃった…ごめ〜ん」


「お前…」


本気で謝ってる奴は「め」と「ん」の間を伸ばしたりしない


「何だかね、ダイチをメイクした時に目をつけられちゃったみたいで…勝手にライバル認定されちゃった」


「アレと同じ土俵で争うな…アイツは何かと嗅ぎつけて人の弱みに付け込んでなぶりものにして喜んでる麻薬捜査犬であり悪魔みたいな奴だ…」


「難波先生はネコだって言ってたよ?」


「まあ多分そうだろうがどうでも良い情報だな!こんな格好で外出歩くのかよ…」


「これなら絶対セイヤだってバレないね!」


そう言って照陽は俺の首元にスカーフを巻いた


「何だこれ…暑苦しい」


「喉仏隠さなきゃでしょ」


「ならタオルでいいだろ。汗も吸うし」


「この格好に合わない!」


「だったらジャージとかにしとけば良いだろう。単に俺にメイクして女装させたかっただけなんだろ。それに喋ったら男だって分かるだろ」


「大丈夫!セイヤはそんなに声低くないし、何か言われたら風邪ひいて喉の調子が悪いって言っとけば」


「…」


コイツ…

そこまで織り込み済みとは

もう計画的犯行だろうコレは…


「じゃあ頑張ってね!」




結局これ以上反論の余地もなくあの部屋から追い出されて仕方ないので言われた通り町に出かけた


「先ずは…」


渡されたメモを見ながらこの町の資料館へ向かった


「あぁ…生き返る…」


建物の中は涼しく暑い中徒歩で歩いて来たので思わず声が漏れた


ざっとこの町の歴史や展示してある資料などを眺めていたが大した内容は無かった


「こんにちは、この町に興味がお有りで?」


「はあ…まあ、夏休みの課題で…友人の親戚の町の歴史を調べて纏めようかと…」


職員に声をかけられた

狭い町なので知らない余所者はわかるのだろう


「そうなんですね、どの方何でしょう?」


「あー…八神です…」


まあ俺も一応八神だが


「それはそれは!なら最近寄贈された此方を」


そう言って案内された所に展示されていた資料を見せられた


「これは?」


そこには巻物がいくつか展示してあった

開かれた中には○や●などずらっと記号が並んでいた


「これは毎日の天気を表してるようですね。何百年も前からの物を江戸時代辺りに簡略化して巻物にした様です」


「へえ…」


他にも▲やら◆やら有り地震や台風等も表している様だった


「この町は八神家に長い間見守られて来ましたからね」


「そうですか…」


「特に戦時中には…」


「と言うと?」


「八神家で働く方々に助けられた様ですよ」


「そうなんですね…」


詳しくは話さなかったが何か有ったのだろう

照陽が言っていた急に八神家に居た人々が減った事に関係有りそうだった



その後、以前照陽が行ったという喫茶店に向かった


「いらっしゃいませ」


「あぁ…生き返る…」


外は暑くて席についてまたそう漏らしていた


「暑い中有難うございます。当店のおすすめはクリームソーダと硬いプリンですよ!エモいってバズってました」


「じゃあアイスコーヒーで」


「はい、かしこまりました…」



少しして注文したアイスコーヒーを持って来た


「お嬢さん、何方から?」


「あー…お…私は八神さんの…同級生で…夏休みに誘われて…」


「あー、あのお嬢さんの!お友達もお綺麗な方で!類は友を呼ぶって言うんですかね」


「はあ…それはどうも…」


ここのマスターが確か以前照陽に声をかけたんだったか

愛想の良い口も頭も軽そうな奴だな…


「そう言えば…以前八神の家へ出前をしてたとか?聞きましたが」


「ああ、父が幼い頃にね」


「そのお父さんは今は?」


確か照陽の話だと引退したが店の手伝いをしてると言っていたが…

見渡して見てもそれらしい老人は見当たらなかった


「最近…亡くなってね」


「そうだったんですか…それはご愁傷様で」


その人から話を聞くつもりだったが仕方ないか


「父は八神の家に出前に行くのが楽しみだったって。お嬢さんは綺麗で優しくしてくれたらしくてね」


「へえ…」


「いつも駄賃に飴を食べさせてくれたらしいよ。口を開ける様に言われてその中に入れてくれて。雛鳥みたいだったってさ」


「そうなんですね」


恐らく留代だろうが、一生がしていた事をその少年にもしてやっていたのだろう


「父は母親を亡くしていたから…お嬢さんは母親の様でもあり、初恋だったってね」


「それはそれは…」


どうやら留代は八神のスキルを発動させて幼気な少年を魅了させていた様だった


「でもね…」


「?」


「たまーにね、黒塗りの車で来てる…怖い感じの人と鉢合わせる事が有ったってね」


「それは…」


「その時はおっかないから物陰に隠れて…時間をずらして行ったらしいよ、あはは」


「成る程…」


それは恐らくヤのつく反社…だろう

まあその手の薬物は昔からその手のルートから入手していた、と言う事だろうか


今だに繋がりが有るのかは分からないが、その辺りは照陽が調べるだろう



「はい、じゃあコレ!」


「ども…」


「これは当時と変わらない作り方で伝統の味だからね!」


「そうですか…」


店主に勧められてお土産にコーヒーゼリーの箱詰めを買わされた

ゼリーに伝統も何も無いだろうに


「きっといまの八神家の主も懐かしく思うよ!」


「そうですね…」



無駄な手荷物が増えて些か不機嫌では有ったが店を後にした



俺はやはり押しに弱い人間だ


照陽に嵌められ女装再びとなってしまった星夜ですが…


結局言う事を聞いてしまう押しに弱い子でした


八神家の薬物入手ルートも大体予想通り…かな?

そして消えた八神家の人々は…


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