発破
『この間は有難う。落ち着いて来たから明日から学校行く』
『そうか、まあ無理するなよ』
『まあ適当に程よく宜しく』
『何か人からその言葉聞かされるとイラッとするな』
『目には歯をって奴?』
『それを言うなら目には目をな』
『貰った菊はお風呂に浮かべて使ったよ!』
『確か菊に含まれるカンフェンは肩こり、腰痛、筋肉痛に効くとされてるな。役に立った様で何より』
『何か不気味だったし部屋に合わないし捨てると呪われそうだったから』
『安心しろ、二度とやらんから。サインもな』
『じゃあ明日』
『まあ適当に程よく宜しく』
『成る程、やっぱ改めてイラッとするね』
『はい、そうですか』
『イラつかせた罰として休んでた間の授業のノート貸してよね』
『何の罰か知らんがそれ位なら貸してやる』
『じゃあ、おやすみ』
『はいはい、おやすみ』
静風は明日から学校に来るらしい
光太郎から貰ったアプリを使って星夜と静風のラインのやり取りを見て少し安心した
しかし…
静風は多分元気そうではあるが何故学校を休んでいたのか具体的な理由は分からなかった
あの日、私が麻由の元へ行っていた時に静風から星夜に話があるとラインで連絡が入り、その次の日に星夜は静風の家に呼ばれて行って恐らくそこで何かを静風から聞かされたのだろう
その後はラインのやり取りや通話なども無かった様だが、先程静風から星夜へ明日から学校に行くと連絡をしていた
私も一応毎日静風にラインを入れていたが既読はつかなくて勿論返信も無かった
大地にも聞いてみたがやはり同じ感じらしかった
毎日では無かった様だが何度かラインを送っても既読も返信も無いらしい
やっぱり私は静風から避けられてるのだろうか…
その理由も何も思い当たらなかったし、分からなかった
何か分かればと唯一静風がコンタクトを取って来た星夜のラインを覗き見たが大した内容は分からなかった
ただ、どうやら星夜は静風に菊の花をあげた様だ
そして静風はそれが不気味と感じた様だった
それで益々この件が迷宮入りとなっていた
肩こりやら筋肉痛やらに効くらしいので、何か内緒でスポーツや格闘技等でも始めたのだろうか?
それで大会等で結果を出せるまで私や大地とは連絡を絶って集中…
なら星夜にだけ教えてる理由がやはり分からなかった
そんな風に考えが行き詰まってた頃、ラインの通知が来た
『テルヒ、ずっと連絡せずにごめんね』
静風からだった
『どうしたの?凄く心配してたんだよ!?』
『ちょっと色々…冬休みに疲れが溜まったりしてて体調崩して学校行けなくて』
『風邪とかインフルエンザとか?』
『ううん、違うけど念の為病院で診てもらったら少し休んだ方が良いって言われて。ネットやライン何かもストレスになるから見ないようにって言われて』
『そうなの!?大丈夫?お医者さん紹介しようか?』
もしかして気鬱などの症状だったのだろうか?
マコトを紹介してあげようか…
静風は見た目は大人っぽいし多分マコトの好みじゃ無いだろうから普通に診察だけしてくれるだろう
医師としては宮乃の病院で実績も有るし信頼出来るし色々親身になって相談にも乗って貰えるだろう
『うん、もう大丈夫だから。明日から学校に行くから安心して』
『そっか、分かった。でも無理しない様にね!』
『有難う、毎日ラインくれてたみたいだし心配してくれて優しいね』
『そんなの当たり前だよ!1番大切な友達だしずっと心配してたよ?』
『嬉しいな、やっぱり大好きだよ』
『うん、私もだよ』
『じゃあ、おやすみ』
『おやすみ』
どうやら静風は大丈夫そう…だが
避けられてる気がしてたのに…
普段静風は大好きなんて言わないし書かないのに…
そんな言葉を送って来た
なんだか…ラインの内容に少し変な感じと言うか違和感も有った
それが何だかお別れの挨拶みたいな嫌な予感もしていた
そして生理が来ない事を悩んで検査した件については、やはり私には何も教えてくれなかったし一切触れなかった
○○○○○○○○○○
そしてラインに送って来た通り静風は次の日から学校に来た
朝静風のクラスに会いに行った
「大丈夫?」
「うん、有難う。身体は元気だから」
身体は?
何か別の病気でも見つかったのかもとあの後不安になっていたが
やはり精神的に何か有ったのだろうか
確かに少し元気は無さそうだが、見た感じやつれたり痩せたりもしてなくて身体は普通になんとも無い様に見えた
「あっ!セイヤ!おはよう」
星夜もクラスに入って来た
静風が星夜に声をかけた
「ほれ」
そう言って鞄からノートを出して静風に渡してそのまま自分の席へ向かって行った
「サンキュ!あっ、テルヒじゃあ!」
そう言って静風が星夜を追いかけて話しかけていた
「テルヒおはよう」
その様子を教室の入り口で眺めていると後ろから大地が話しかけてきた
「ダイチ、おはよう」
「シズカ…心配してたけど…元気そうだな」
「そうだね」
そう言って大地と並んで自分達のクラスへ向かって歩いた
「昨日の夜に…シズカから明日から学校行くからって連絡来た」
「うん、私も同じ」
「そっか」
静風は大地にも同じ様に連絡した様だった
しかし折角静風が学校に来たのに何だか大地はすぐれない顔をしていた
やはりさっきの星夜とのやり取りを見て…
病気とは別の何かの心配をしていて心中穏やかでは無いのだろう
私も多分大地と同じ気持ちだった
昼休みに屋上でベンチに座って大地と話していた
まだ寒い時期なので私達以外に人が居なくて人目にもつかず好都合だった
「何か…シズカとセイヤが…仲良くなってるな」
「そうだね」
「何か有ったのかなあ?シズカが休んでる間に…」
大地は何だか思い詰めてる様な顔をしていて居た堪れなくなって来て私は切り出した
「私も詳しくは分からないんだけど…シズカはある事に悩んでて…」
「ある事?」
「まあ…身体の事?」
「何か…前にセイヤもそんな事言ってたなあ」
どうしようか迷ったが、大地は静風の事が昔からずっと大好きだし本当に心配して悩んでるのでこの際話してしまおうと意を決した
恐らく大地はこの事を面白半分に揶揄ったり言いふらしたりする様な人ではない
「静風は生理がね…まだ来てないの」
「そうなんだ…」
「まあまだ人より少し遅いって位でまだ正常な範疇なんだけどね、静風は凄く悩んでたみたいでね」
「そっか…男の俺にはその事がどれ程深刻な問題かはよく分からないが…」
「で、何か成り行きでセイヤはその事を知っちゃったみたいで」
まあ私が静風が自信が無くて悩んでるって流れで話しちゃったんだけど…
星夜は別に静風の事は気にしてないし面白半分に言いふらしたりする様な人じゃないし言いふらす様な友達も居ないし…
「そうなんだ…」
何だか大地は益々暗い顔になってしまった
多分自分が知らなかった静風の悩んでる事を星夜が知っている事に落ち込んでいるのだろう
「だから…検査をちゃんとする様にってシズカに薦めたらしくてね」
「そっか」
「それで自信を取り戻して…ダイチと付き合える様にって思ってだと思うよ?」
「俺と…シズカは…付き合えるのかな…」
「大丈夫だよ!ダイチがちゃんとシズカに告白すれば!」
「俺は…ずっとシズカが好きだけど…シズカはどうなんだろうな…誰の事が好きなんだろうな…」
「シズカの好きな人は幼馴染だって言ってたんだよ?小さい頃から仲良いのはダイチでしょ?」
「そうだな…セイヤは…違うよな、多分」
「そうだよ!幼馴染って言える様な付き合いも無いしそれ程仲良いとも思えないし!」
大地を元気付けるために…
自分にも言い聞かせるかの様に…
静風が私にも秘密にして星夜にだけ何かを相談…打ち明けている事は気にしない様にした
「それにセイヤはダイチの事応援してるし!」
「そうだな…卒業式までに告白しろって…セイヤから発破かけられてるしな…」
「そうだよ!だからダイチは頑張んなきゃ!」
「そうだな…」
項垂れてそう元気なく答えた大地に私も発破をかける様に
子供を元気付ける様に大地の頭を撫でてあげていた
何だか…
照陽は手段を選ばないストーカー紛いのほぼ犯罪的なやり口で現状を探ってますがまだ真相には辿り着けず…ですかね
そして色々拗れて来てあちこちで思い悩んでる人々が…
無事気持ちよく卒業式を迎えられるのか
男を見せろ大地!
と私も発破をかけときます




