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明宵  作者: 水嶋
逢魔時

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異常で正常

『明日学校終わったら家に来て』


静風に送ったラインはすぐ既読が付き、すぐ返信がきた



あまりにに早いレスポンスに些か慄いていた


まさかスマホを握りしめてじっと凝視しながら…静風から連絡来て軽く4時間以上過ぎているがずっと返信を待ってたとか無いよな?


俺はあの時はたまたまポケットに入れていたが、普段は家にいる時はネット等はパソコンを使うのでスマホは鞄に入れっぱなしか充電器の置いてある所に充電させて放置の事も多い。


下手したら次の日までラインに気付かない事もよくある


大地や照陽には返信が遅いと普段言われていたが流石にこれは早すぎだろう


それともこれくらいのスピード感を皆求めているのだろうか?


まだこの先人生は長いと言うのに皆生き急いでるんだなあと万感の思いを馳せた





「ナニソレ…」


「お見舞い?」


指定された通り学校が終わりそのまま家には帰らずその足で静風の家に向かった

病気療養中と聞いていたので途中花屋に寄って花を買って静風に渡した


「私まだ死んで無いけど…」


「いや、だからお見舞いだって。病気療養中なんだろ?」


「それ…お墓とかに供えるやつじゃん…」


「まあ…そういう使い道も有るが…」


飾る以外にも色々使い道も有るだろと思い買って来た菊の花はお気に召さなかった様だ

白だけだと寂しいかと黄色もつけてやったんだが…


「菊の花言葉は白は『真実』『慕う』『誠実な心』で黄色は『わずかな愛』『破れた心』『長寿と幸福』だぞ?皇室や宮家などの紋章にも使われていて高貴な花なんだからな」


「破れた心…」


「そこはピックアップするな。あと菊はめまいや眼精疲労、解毒や消炎、鎮静作用、高血圧などといった症状に効果的だぞ?」


「今はその効能はどれも必要ないかも…頗る鎮静状態だし…」


「後は9月9日の重陽の節句には欠かせないぞ?菊の節句とも言われててだなあ、邪気をはらい、不老長寿の力を持つ高貴な花だから酒やお茶に入れて…」


「不老長寿は間に合ってるしお酒はまだ飲めないから…まあ折角持って来てくれたんだから一応貰っとく」


そう言ってなんだか仕方ないと言う風に渋々受け取っていた


どうせならただ綺麗なだけじゃなく他の花より長く日持ちもするし色々ご利益や効能など兼ね備えた花をと思ったが…


どうやらお見舞いや女子に花を渡す場合は菊は喜ばれないと言う事を今回知った



「まあわざわざ来てもらって気を使わせた挙句花までくれて悪いね…とりあえず入って」


「ふむ」


玄関で無駄にやり取りが長くなってしまったが、そう促されて静風の家に入った


学校を休んでいて人目もあるし流石に外で…誰かに目撃されると静風仮病でサボり疑惑が起きそうなカフェなどで会うわけにも行かず…


呼びつけられて他に誰にも見られず接触する場所も手立ても思いつかなかったのでやむを得ずまたホイホイ女子部屋に単身乗り込む事になってしまったが…


流石に病み上がりの女、まして静風とどうこうなる事はやはりあり得ないなと改めて思った


しかしまたこの事を照陽に知られると面倒そうなので黙っていようと決意した



静風は暫く休んでいたが暫く寝込んでいて病み上がりな感じは無く比較的元気そうに見えた


ただやはり今までの元気過ぎな状態とは言えず身体の具合が悪いと言うより気落ちしてる様に見えた


「で、話って?」


「まあ…何から話せば…とりあえず順序立てて話す」


「ふむ」


「冬休みに入ってね、お母さんの働く病院…まあテルヒのお母さんの病院で検査したの」


「そうか」


「でね…ちょっと…いや、かなり大ごとなと言うか…あの病院じゃ手に負えないってなってね」


「手に負えない?」


「うん…だから…テルヒのお婆さん…アンさんのお母さんが働いてる病院でちゃんと検査してもらう様に紹介状を書いて貰って…そこで改めてしっかり検査したの」


「マジか…」


杏の母、宮乃が働く病院は大病院だ

紹介状が無いと飛び込みでは診察して貰えない


俺は余りに楽観的に考え過ぎていたのかも知れない

もしかしたら深刻な問題が…悪性腫瘍などが見つかったのかも知れない


しかしそれなら即入院とか治療とかになりそうだが…

その割には体に大きな負担のかかる抗がん剤などの影響、副作用などの症状は見られず身体は辛そうでもなく元気そうに見えるがまだ症状が出ていないのだろうか?


それに…


その場合、照陽でなく俺に話と言うのも何だか変な感じがした


「その検査で…ハッキリ分かったの」


「何が…」


「私…女じゃ無かった」


「は?どう言う事?」


全く予想していなかった事を言われて頭で直ぐに理解出来なかった


「アンドロゲン不応症…て言うんだって」


「アンドロゲン…?」


医学分野は流石に俺は疎かったのでイマイチピンと来ない言葉だった


「私も専門的な事はよく分からないけど…ただ分かってるのは私には子宮も卵巣も無くて、XY染色体を持ってて、CAISで精巣が有るって事…」


「精巣!?XY染色体って…そんな事あるのか?お前には男のアレが付いてるのか?」


「そんなもん付いてたらとっくに気づいてたよ!形は女のソレとほぼ同じなんだよ」


「ふむ…」


「体も…作りはほぼ女なんだよ…実際私はずっと女だと思ってたし。トランスジェンダーみたいに自分が男だって認識は全く無いし」


「ふむ…」


確かに見た目は完全に女だ

男みたいに骨張ってたり筋肉質だったりと言うようなゴツゴツもしてないし胸もちゃんと有る

寧ろもしかしたら照陽よりデカいかも知れない


「でも…私に生理なんて一生来ないの…」


「確かに卵巣も子宮も無けりゃ…そうなるか。しかし精巣が有るって事は…ホルモン的にどうなんだ?何か色々その体型とか謎なんだが…」


「なんでもね、精巣から分泌される男性ホルモンがね、病気だから正しく変換しなくて性徴を誘導するから女の子の身体で居られるんだってさ」


「何か…逆転の発想ってやつか?そりゃ」


「何だか…異常な状態が正常でいられる様に保たせてるって感じ?あはは」


「成る程な…正に人体の神秘だな…」


「まあ…結局は異常な事には変わりないんだろうけど…」


「ふむ…」


「でね、この厄介な精巣はね、一応女の子で居られる為にまだ必要なんだけどね…この先ずっとあると悪性腫瘍化しやすいらしいから…女性化が完了したら…18になったら摘出手術をするってなった」


「そっか…」


「まあそんな感じ!」


「中々…想像を超えてたが…大変だったな」


「まだ…今はただ真相を知っただけの段階だよ。大変なのはこの先だろうね…手術したり色々…多分ホルモン治療は一生続くだろうって」


「そうなんだ…」


「私…こんなだから…病気だから…テルヒの事が好きになったりしたのかなあ…」


「でも…お前はやっぱり女子だろ?アイドルや芸能人が好きで化粧もして綺麗で可愛い服を着たりするのも好きだろ?別にテルヒ以外には女が好きって訳でも無いんだろ?」


「うん、そうだよ」


「男になりたいのか?」


「なりたく無い」


「ならお前は女だろ」


「まあイケメンなら男になってみても良いかもだけど…」


「まあお前は顔も身体も誰が見ても女だからそれは無理だな」


「あはは!そうだね!」



そう言って泣き笑いしていた静風に…


他に何て言葉を掛けていいか

多分何を言っても薄っぺらい言葉にしかならない気がして




俺はそれ以上言葉を口に出さず黙って静風の頭をただ撫でていた


静風…


何だか大変な事になっていた様ですが…


星夜や静風は照陽にこの事打ち明けるんでしょうか?


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