暗躍
「意外にお呼び出しが早かったわね」
「すみません、他に頼れそうな方が思い付かなくって…」
「まあ構わないわよ?私から何か困った事が有ったら連絡してって言ったんだから」
「有難うございます」
とりあえず頼れそうな人…
で思い出したのが以前名刺を貰った麻里奈だった
田所には余り借りを作りたく無かったので今回こちらに白羽の矢を立ててみた
麻里奈から指定された日時と場所のカフェで待ち合わせて会っていた
「頼み事についての経緯は大まかにメールで教えて貰ったから、今回は私よりコッチの方が頼りになると思うから連れて来たわ」
そう言って麻里奈の隣に座っていた男の人を指差していた
少し遅れて来てやって来たその人は服装はボーダーの長袖Tシャツにパーカーでシルバーのピアスやアクセサリーを色々つけていてキャップを被り若い人が着そうな格好だったが見た目は神経質そうなお父さん位の歳に見える人だった
そして何だか女の子が好きそうなホイップが沢山乗っていてキャラメルソースやチョコチップ等がトッピングされた凄く甘そうな飲み物とチョコチップの甘そうなマフィンとクッキーを手にしていた
服装はともかくそんなに若くは無さそうだけど糖尿病とか大丈夫かな?
「初めまして、杉田照陽と申します」
「てか…マジそっくりでビビった…」
第一声がその言葉だった
お母さんかな?それとも韻くんか…
「コッチは坂田光太郎」
麻里奈が代わりに自己紹介していた
「坂田さんは…」
「光太郎でいいぞ」
「じゃあ光太郎さんはお母さんかインくんとお知り合いでしたか?」
「知ってるも何も…散々振り回されたぞ?」
「じゃあインくんの方ですかね…」
「まあな…インには相当振り回されたな」
「そうでしたか…で、光太郎さんはお願いした事が出来ると?」
「何が有ったか深堀はされたくは無いが少しもその事に興味が無いと言う事は分かった」
「大体何が有ったかは知ってますので」
麻由原作の漫画で…
この人が恐らく榎本先生の元交際相手だろう
「あっそ、まあそれ程難しくは無いな」
「そうですか!助かります!」
「そのアプリは今手元にあるから渡してやってもいいが俺はタダで働くほどお人好しじゃねえ。対価を求めるタイプだからな」
成る程、この人はいい歳をして子供に金を請求するケチな人なんだな
「そうですか…如何程ご入用ですか?」
お小遣いは殆ど使ってないし確かお年玉や入学祝いやら貰ったお金は全て手付かずで多少貯金はあった筈だからその中で払える額を交渉してみよう
「まあ…俺は金にはそれ程困ってはないから…俺の価値基準は情報だな」
「ふむ…私が光太郎さんに何かお渡し出来る情報がありますかね?」
「そうだな…じゃあ…八神星夜の情報でも」
「セイヤですか?」
「正確にはセイヤの仕事で関わった南野焔についてだが…何か知らないか?」
「うーん…その人に関してはお会いした事も無いので…でも何故ですか?」
「まあ仕事絡みで…調査対象だから…かな」
「成る程」
まああの人の被害者とか色々恨んでる人も多そうだ
麻里奈の時の様に何かの依頼を受けているのだろう
「じゃあ…南野さんに子供を紹介してる人とか…じゃダメですか?」
「ふむ…いいだろう」
そこでニリ…葛西南留について詳細を教えてあげた
田所には話が長くなると思い椎那を南野に紹介して貰ったニリについてはセイヤの仕事で一緒になったサラの知り合いの人とだけ説明していて詳しく話しては居なかったので多分初耳の筈だと思う
「成る程な、まあ色々グレーな奴だが…決定的な共犯者と断言までは難しそうな奴だな」
「まあ…ニリさんも多少汚い手を使わないとですかね。仕事のコネを作るのも必要だし…紹介する子にも進んで勧誘したり騙したり強要はしてないですし、あくまで南野さんへの紹介を頼まれて後は自己責任でって感じですかね」
「まあ…そうだろうな」
「お役に立ちましたか?」
「まあな、じゃあスマホ出しな」
そう言われてスマホを取り出すと何かのファイルを送って来た
「これを相手のスマホに入れろ。まあそれが一番の難関かもだがな」
「ふむ…でもこんなファイル有ったら気付かれませんか?」
「非表示のやり方は…」
そう言ってファイルの非表示の仕方を教えて貰った
「で、このアプリから相手のラインが閲覧可能…と」
そう言って光太郎のアプリを開くと私のラインの内容が表示されていた
「わあ!凄い!」
「じゃあこのアプリはここから入手しろ」
そう言っていつの間にか登録されていたラインからURLを送って来た
「でも…私のラインの内容も光太郎さんに監視され続けるんですか?」
「安心しろ。俺のアプリからお前のスマホの登録消したから」
そう言って光太郎のアプリを開くともう私のラインのトークは表示されていなかった
「まあ心配なら相手にそのファイル入れた後お前のスマホに入れたファイルをすぐ削除しろ。そしたら2度と閲覧不可だ」
「分かりました」
さっさとこのファイルは消したいので早めに実行しよう
それからそのアプリを入れてアプリの使い方を教わった
「こんな便利なアプリがあるんですね」
「俺の自作だ、凄いだろ」
「ええ、自分で自分を褒めていて凄いです」
「…」
麻里奈は苦笑いをしていた
「何か…お前アンとインのハイブリッドみたいな奴だな…」
「そうですか?」
「アンの腹黒さとインの傍若無人ぶりを兼ね備えてるな…まあインみたいなアホの子では無さそうだが」
「お褒めに預かり恐悦至極です」
「因みに褒めてねえからな…」
「これで困ってる事が解決する訳?」
麻里奈が尋ねて来た
「はい、かなり…」
「そう、まあその内田所から結果を教えて貰えると思うから。じゃあ健闘を祈るわ」
私が田所に報告している事は知っているのでわざわざ麻里奈に知らせずとも田所経由でどうなったか知らせられるだろう
「今日はお時間を作って頂き有難うございました」
そう言ってお辞儀すると麻里奈は片手を上げて立ち去った
その後に続いて光太郎が何やらぶつぶつ文句を言いながら後ろからついて行っていた
何だか飼い主とペットみたいだな…
そんな風に2人を眺めながら見送った
○○○○○○○○○○
そしてチャンスは意外に早く訪れた
「あれ?マユさん?」
「あっ!テルヒ!丁度良かった!」
朝学校に向かっていると校門に麻由がいた
「どうしたの?」
「インが…間違えてセイヤのお弁当が入ったバッグ持って行っちゃって…気付いてインを追いかけて取り替えて来たんだけど…セイヤが遅刻するって学校行っちゃって。悪いけど渡して貰えない?」
そう言ってバッグを渡された
「中に財布とかスマホとか入ってるから無いと困ると思って。私が学校入ると目立つからってあの子嫌がるからどうしようかと思ってたのよ」
「相変わらず反抗期中ですね…いいですよ?」
「有難う!じゃあお願いね!」
そう言って麻由はホッとした様に帰って行った
星夜はどうやら余りスマホを肌身離さず持たないタイプの様だ
と言う事は…多分…
バッグからスマホを取り出し電源を入れた
以前星夜の部屋で見つけたメモの写真を撮った画像を開いて入力してみた
154649
ロックは解除出来た
そこから光太郎から送られたファイルを送信してファイルを非表示にした
ラインも確認したかったが余り時間をかけると遅刻しそうだったのでそのまま電源を落としバッグに戻した
「セイヤ、はいこれ」
星夜のクラスに寄ってバッグを渡した
「あー…ども。てかなんでお前が?」
「校門でマユさんから。あんまり困らせたらだめだよ!」
「はい、そうですか」
眠そうな顔をして一言そう言ってバッグを受け取り席に戻っていた
一応クラスを眺めて確認してみたが、まだ静風は学校に来てない様だった
もうすぐ始業時間になりそうだったので慌てて教室に戻った
確か以前自分のパソコンのロックも簡単に麻由に突破されてサラとの音声ファイルも見つかっていた
星夜は知識もあって頭は回るがスマホのパスコードも以前から変えていなかったので恐らくセキュリティ等には無頓着でスマホの中身を詳しく調べたりしないだろう
そして多少の違和感にも気づかないだろう
好都合だ
麻里奈を頼って連れて来られたのは…久々の光太郎登場です
光太郎と韻については「晏陰」参照下さい
そしてターゲットは星夜だった様です
照陽は星夜に届いた静風からのメッセージに気付いていた様ですね
しかしやり方…それ犯罪じゃないですかね?
まあ尋ねた所で素直に星夜は教えてくれ無さそうでは有りますが
そして星夜のセキュリティの甘さも見破られてた様です




