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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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179/228

179話

「お世話になりました。ありがとう」

「大したことはしてない。あんたを受け入れたのは貴類の意思だ」


 ルノーから教えてもらった抜け道に向け、二人で歩いていく。ルノーは、森の中に留まり、目的地までは一緒に行くことはできないようだ。守り人がいなくなると、ルヴァリスの結界が弱まるという。


「家の中までは入れないが、この森には結構奥まで入れちまう。普段は別にいいんだけどな。そいつらが貴類に会えるわけでもなし。ただ、今はあんたを追ってる連中が待ち構えてる」

「うん……」


 ロアンの手下が森まで入ってきてしまえば、逃げる時間がぐっと短くなる。


「この抜け道は、安全なの?」

「通路は内から強い魔術に守られている。外から侵入はまず不可能だ」

「そっか。良かった。出口は?」

「地下神殿のアジトと繋がっている。向こうとこちら、両方の魔力で扉が開く仕組みだ」

「え? スラジまで繋がってるの!? めちゃめちゃ遠いんじゃ」

「普通に歩いて行けば、四か月はかかる」

「よっ!?」

「迎えを頼んでるから安心しろ。魔術を使えばひとっ飛びだ」

「あ、それで出発を待ったんだ」


 貴類と話した日から今日まで、一週間ほどルヴァリスに留まっていた。玲奈に協力してくれる、スラジの反王政派閥の人間が近くに来るのを、待っていたわけだ。


森の外れまで来ると、ルノーは玲奈に微笑んだ。


「頑張れよ」

「……うん。ありがとう」

「もう聞いたよ」


 背中を押されて、玲奈はルノーに背を向けた。寂しさ。そして、それ以上に、安全地帯から外れる、恐怖と不安に襲われた。しかし、足を止めるわけにはいかない。事前に教えられた通りの道を進んでいく。


(まずは、竹藪に紛れている入り口を……あった、これだ)


 枝葉で、見逃してしまいそうな、人がやっと一人通れそうな程の穴を見つける。入ると、土は柔らかかった。狭いのは入口だけだったようで、少し進むと、だだっ広い洞穴に繋がった。


(この道をひたすら進めば、扉にぶつかる……)


 洞穴は密閉されているが、薄く灯りがともっている。魔術が施されているというのは本当らしい。ひたひたと進むこと、一時間は経っただろうか。天井まで続く、大きな石造りの扉が目の前に現れた。


「これだ……!」


 向こうから、地下神殿の人間が来れば、扉を開けられる。それまで、玲奈はここで待機だ。幸い、寒くも熱くもなく、適温だった。座り込んで、ルノーに持たされたテクの実をかじっておく。


(地下神殿……協力者だからといって、全てを信頼して任せられるかは、別)


 どんな組織なのか。どういった人たちがいるのか。しっかり、見極めなければいけない。思考に耽っていると、カツン、カツン、と扉の向こうから音がした。


(来た……!)


 玲奈は、これもルノーに持たされた、古めかしい魔石を扉に翳した。向こうでも、同じことが行われているはずだ。程なく、ギギギ、と扉が独りでに動き出した。一歩下がって、それを見つめる。


 そこに、現れた人物。


「やぁ! 初めまして。きみが『破滅の子』かぁ。なんだ、普通にかわいい女の子じゃん」


 玲奈は、その人物を見て、硬直した。



 ――そして、すぐに逆廻を発動した。

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