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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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152/163

152話

(自分の部屋だ……朝に戻ったの?)


 着いたのは、枢晶宮の玲奈に割り当てられた部屋。朝日が差し込んでいる。


(日にちを確認しなきゃ)


 ここにあるカレンダー代わりのものというと、食堂前にある、石造りの暦帳だ。見に行こうとして、思い留まる。


(誰が内通者か分からない。軽率に部屋出たらまずい)

 

「あっ、そうだ」


 玲奈は机の引き出しを開けて、暫く閉まっていた魔石を取り出した。 


(持ち歩かないと)


 懐に入れると、扉からノックの音が届いた。


(ヒコトさん? なら、大丈夫……? いや、確証はもてない……)


 返事もせず固まっていると、ヒコトは勝手に扉を開けて中に入ってきた。


「起きてんなら返事しろ」

「あ……はい」

「……どうした」

「えっと……今日って何日ですか」

「三日」


(三日? 結構前に戻ってる……)


 玲奈が襲われた日は、十一日だ。この日に戻されたのは、理由があるはず。


(それまでに、内通者を特定する。もしくは、隠れてやり過ごす)


「……リュウと何かあったか」

「はい?」

「いつにも増してぼんやりしてるから」

「あー……ユランといるのを見てしまって」

「鉢合わせないように仕込むか」

「そんな、大丈夫ですよ。そこまでしないで」

「……そうか」


 全然違うことで狼狽えていたのだが、誤解させてしまった。今日もヒコトは玲奈に寄り添ってくれる気配がある。以前の拒絶っぷりから思うと、偉い違いだ。


(そう思うと怪しい気がしてくる)


 ヒコトの変化がみられて、割とすぐ、今回の事件が起きた。玲奈に近づいてきたのは、ロアンに内情を報告するためだったら。実際、玲奈の居場所を一番よく知っているのはヒコトだ。


 一歩、距離を取る。


「私、ご飯食べに」

「ああ」


 駆け足で食堂へ逃げ込む。部屋を出るのは危険かと思っていたが、内通者が部屋に入ってこれるなら意味がない。


(流石にヒコトさんはない? 首護隊は王を守る一番の要なわけで、その人が裏切りなんて……)


 そこまで考えて、浮かんだのはシャロフ。要人とどんなに近しかろうが、可能性を排除はできない。


 食堂はいつも通り人で溢れていて、そのことにホッとする。食事を取りながら、考えを整理する。


(襲われたのは、誰もいない時だった。一人になったら駄目だ。部屋でも首護隊についててもらった方がいい? でも、その首護隊が危険かもしれない……)


 玲奈は考えに耽り、近付いてくる足音に気付かなかった。


「おい」

「え? あっ……」


 声をかけてきたのは、リュウだった。これは記憶にはない出来事だ。


「何呑気に飯食ってんだよ」

「え……ごめん」

「チッ……」


 それだけ言って、リュウは居なくなった。


(何で声かけてきたんだろ……あれ以来、近づいてこなかったのに)


 リュウのことは全然吹っ切れてないが、今は命の危機だ。それを気に掛ける余裕はない。


(リュウに助けを……、無理だ)


 少し前ならすぐに彼を頼っていただろうが、今、その勇気は出ない。


 一頻り考えて、思いついたのはこの国一の力を持つ人だった。


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