表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

151/162

151話

「ん……」


(ここは……)


 霞む視界の中、段々と焦点が合っていく。薄暗くて、埃っぽい。倉庫のようだ。きょろ、と辺りを見回す。


「おはよう。ご機嫌いかがかな」

「―――――ッッ!」


 目の前に映り込んできた鮮烈な赤に、喉が引き攣った。やはり、前に同じようなことを、経験していた。


(ロアン……)


 その人物は、微笑んでいた。目を横に細めて、愉快と言わんばかりだ。


 恐らく、玲奈を一番殺したがってる男。それが今、目の前にいる。


(どうして……ここは胡王国なのに。待って、もしかして意識を失ってる間にスラジに?)


 外の景色を見たいと首を捻るが、窓らしきものはここにはなかった。


「安心しろ。まだスラジではない」

「……」

「すぐに行くことになるがな」


 玲奈の視線だけで、考えが分かったようだ。体は、動かない。座ってる椅子に、縄で括り付けられているのだ。


(縛り方も、前と同じ)

 

 シャロフに裏切られて、ロアンの元へ差し出された、あの後。逆廻を行って、そのまま逃げて迷宮に入ったのだ。デジャヴに、脳裏がチカチカと揺れる。


 ロアンはコツ、コツとゆっくり玲奈の前に近づき、目線を合わせるように膝をついた。


「っ」


 唇に、親指が這う。長い指は、かさついた唇を優しくなぞる。


「ずっと、お前に会いたかった。焦がれていたと言ってもいい。夢で何度も、お前の姿を描いた。やっと会えた」


 ロアンはうっそりと笑う。囁くように耳元に吹き込まれる。


「やはり、殺したくて堪らないな……」


 ゾクゾク! と背筋を悪寒が走る。


「ああ、良い顔だ。お前の絶望に染まる顔を何度も夢想した」

「っ……あなたに、恨みを持たれる覚えはありません」

「俺が誰だか分かってるような口ぶりだな」

「……いえ。知らない人なので、恨みを買った記憶はないです」

「成程。それが何処まで演技か知れたものではないが……、いいだろう。教えてやる。俺はスラジ王国第一王子、ロアンだ」

「……なぜ、私を追うのですか」

「それも知らぬふりか。協力者を庇い立てしたいか?」

「…………」


(長居して取り戻しつかなくなる前に)


 逆廻は、いつに戻してくれるか、分からないのだ。胡王国に来て、束の間の安寧を得ていた。久しぶりの危機に、玲奈の感覚は鈍くなっていた。いつまでもロアンとのんびりお喋りしている暇はないが、気になることばかりだ。


「どうやって私の居場所がわかったの」

「さあ、どうしてかな」


 勿論、簡単に言うわけはないだろう。


「胡王国に協力者がいるのね」

「好きに想像しろ。どちらにしろ、お前の行く先は決まっている。国を挙げて歓迎してやる」

「……」

「お前がどうやってここまで逃げてきたかは、じっくりと炙り出してやる」


(サディのこと、まだバレてるわけではないんだ)


 喉元に、ロアンの掌が添えられた。以前、捕まって、首を絞められた時の事が蘇る。目を閉じて、久しぶりに、時を戻した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ