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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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146/164

146話

「おい」

「ぎゃっ!?」

「……うるさ」

「!……、ヒコトさん……?」

「別れたんだって? 遅かったな」

「……嫌味言いに来たんですか」


 久々に見たヒコトは、相変わらず気怠そうにしている。最後に会ったのは、九垓から任務を言い渡された時だ。


「あれ、スラジに行ってたんじゃ」 

「もう終わった」

「えっ、じゃあ成功したんですか!?」

「それをお前に伝える権限は俺にない」

「そうですか……」


 今度九垓に聞くしかない、と考えて、思い留まる。


(もうリュウを頼れないんだ……会いたくても、どうやって)


 ヒコトをちら、と見て、桃凰に言われたことを思い出す。


『レナが頼った時、アイツがちゃんと力になってくれるかは怪しい』


(翠夏さんに聞いてみよ)


「何だよその目は」

「いえ、別に……あの、何故ここに」

「監視」

「ああ……」


(でも、前はうるさかったから出てきたんでしょ。泣いてもないし)


「…………昔」

「はい?」

「カンシュタットが統一する以前、あの大陸は戦乱の世だった。トビメクという国の王は、かなり小心者だったが、その癖プライドが高く、隣国の挑発に乗って戦争することになった」


 突然、長文をぺらぺら喋り倒すヒコトに、目を丸くする。


「ところがいざ国境に砲撃を撃ち込まれるとビビりにビビって、開戦三十分後に降伏したんだと」

「三十分!?」

「そんなに臆病なら最初から戦争するなって話だ」


 間抜けな王様の話に思わず笑った玲奈は、ハッと気づく。


(もしや、私を励まそうと? いやいや、あり得ない。何が狙いだ)


 じーっと見つめる玲奈に、ヒコトは舌打ちした。


「何だ」

「どういう風の吹き回しかなと」

「折角気遣ってやったのに随分だな」


 玲奈は今度こそ目を丸くする。ヒコトが玲奈を、気遣ったと言っている。


「……そのまま信じるわけじゃないですけど、ありがとうございます」

「別に」

「…………」


 これ以上粘っても進展はなさそうだ。真意はどうあれ、折角レア人物が近寄ってきてくれたのだからと、ミーハー気分で質問してみる。リュウのことから、気を反らしたいというのもあった。


「ヒコトさんて恋愛に興味」

「ない」

「ですよね」


 食い気味に返ってきた。


「趣味とかあります?」

「あるように見えるか」

「分からないので聞いたんですけど」

「……静かな場所を探すこと」

「あー」


 喧騒を嫌う人物らしい答えだった。


「仲良い人いないんですか? 首護隊の人たちとか」


 その質問には、否の答えさえなく、スルーされた。


(居るわけなかったか)


「群れる意味が分からない」

「気心知れた人と一緒にいると、楽しいですよ」

「それで裏切られて、傷付いてるんだろ」

「うっ……一瞬忘れてたのに」

「そりゃ悪かったな」


 ヒコトは玲奈が離れるまで、ここにいるつもりのようだった。二人の会話は途切れつつも、着実に時計の針を進めていった。



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