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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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135/169

135話


(これ……肌見えすぎでは!?)


「わー、可愛い可愛いー」

「こんな横開いていいんですかこれ……」


 皆が着てる時から凄い服だとは思っていたが。自分で着ると、予想以上に心許ない造りだった。前部と後部の布は、腰元の数センチでのみ繋がれている。ストッパーとして脇や太腿辺りに紐が通され服を引き締めているが、体の横の素肌は丸見えである。


「体表面が大気と触れる面積が大きいほど、魔力は出力しやすいの。それで昔からこの形が武官服に取り入れられてて、催服もそれに倣ってる」

「へぇ……」


 確かに肌が出てる面積は大きい。しかし、羞恥心というのものは、胡王国の人々はないのだろうか。鏡の前で、横を向く。ヒラヒラと布が舞って、惜しげもなく脇が写った。恥ずかしさもあるが、可愛い、と自然に思った。


 鏡の前でくるくる回って着飾った自分の姿を楽しむと、翠夏に呼ばれる。


「座って。髪も結ってあげよう!」

「いいんですか!」

「化粧はまだいいかな。口紅だけ……」


 玲奈は簡単なお団子くらいしかヘアアレンジのレパートリーがない。美容室に来た気分で翠夏の手に身を委ねた。





「よぉし! どうよ!」

「わ〜っ、ありがとうございます!」


 綺麗に編み込まれ、アップにされた姿は、催服によく合っている。華やかな桃色の紅がのって、玲奈の控えめな顔立ちが、華やかになった感じがする。


(せっかくなら、リュウに見てもらいたかったな)


 寂しさからか、リュウへの気持ちが自然と膨れ上がった。それを押し込めて、翠夏にお礼を言う。にこやかに返した翠夏はドアに目をやって、「さすが」と指を鳴らした。


「間の読める男ね」

「え?」

「ドア開けてみて」

「はい……」


 何のことだか分からないまま、部屋のドアを開ける。黒い胴体が映り込んで、息を止めた。


「なっ……んで」

「…………」


 そこにいた男――リュウは、玲奈をじっと見つめるだけで、何も喋らない。


「リュウ……だよね?」

「……それ以外に見えんのか」

「いえ全く……」


 久しぶりに会ったからだろうか。会話が続かない。口ごもる二人に、翠夏が助け舟を出した。


「今日はリュウ、途中抜けられる時間があるって聞いてたから呼んだのよ」

「翠夏さんが?」

「まだ暫く会える時間なさそうだから、少しの隙間も活用しないとでしょ」

「そういう事だから、行くぞ」

「え、わっ」


 腕をぐっと引っ張られ、リュウが進み出すのに足を合わせる。慌てて翠夏を振り返ると、ひらひらと手を振っていた。何とか「ありがとうございます」とお礼を言って、前を向く。


(こんなに背中大きかったっけ)


 玲奈は、胸の高鳴りを抑えられなかった。

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