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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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129/165

129話

「やあ、ご機嫌いかがかな」

「兄様!」


 飛びついてきた美音(みおん)の頭をぽんと撫でて、その表情を窺い見る。


「部屋から出るな、なんて酷いですー! 退屈です!」

「雫那が大分お怒りのようでね」

「ちょーっと悩みとか聞いてもらってただけなのに、雫那は心が狭いですっ。何とか言ってください!」


 九垓は美音を椅子に座らせる。いつも末妹には甘い態度を取ってしまう九垓だが、王として毅然とした態度を取らねばならない。


「美音、いくつになった」

「二十一です」

「もう子供とは呼べない年齢になった。王家の一員として、庇護されるだけでなく、立場に責任をもたないといけない」

「……」

「雨明には近づかないこと。雨明だけでなく、人の夫には接触しない。これは兄ではなく、王からの命令だ」

「……兄様はやっぱり、雫那の味方なんですね」

「中立な立場から見ての判断だ。お前の行動は王家の品位を欠く」

「私は雨明と恋愛関係になるつもりはないです。雫那がヤキモチ妬いて過剰に騒いでるだけです」

「お前には前科があるだろう。それを言葉通り皆が信じるのは難しい」

「……もういいです。兄様のお気持ちは十分分かりました!」

「約束できるか?」

「はいはい、分かりましたってば! もう出てってください!」


 背中を叩かれ、半ば追い出されるように美音の部屋を出る。


(あれで言いつけを本当に守るかは微妙だな。首護隊を一人つけて……)


 今は玲奈への警護体制に加え、ヒコトは任務に出していて不在で、動かせる駒が手薄だ。リュウは禍を封じている。実戦にはまだ出せない。


(美音の監視に割けるのはリュウしかいないか……)


 戻ってきてからリュウの状態を見ているが、精神はかなり安定している。魔術を使うことに過度な恐れもない。かといって、本来の力が思うように使えない状況に、ジレンマもないという。


 玲奈と良い関係を築いていることが、間違いなくその要因。しかし、彼女はあまり近い関係になってもらうのは困る相手でもある。


(ヒコトの報告では、フリではなく、本当に付き合い出したという。リュウが僕に報告しないのは以前釘を刺されたからだろうが……彼女と距離を置かせるなら今……)


「陛下、いかがでした」

「――拗ねさせた。今は身内のゴタゴタに時間を割いてる暇、ないんだけどなぁ」

「これも王のお務めです」

「……全く」


 九垓は出されたお茶を啜り、束の間の休息に入った。

 


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