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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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126/163

126話

(すっごい疲れたぁ……)


 九垓は人当たりが良いが、やはり為政者というところか、若くして貫禄が凄い。ずっと対峙していたら、どっと疲れた。気が抜けてベッドにダイブすると、直ぐに眠気が訪れる。


 


 翌朝。今日はリュウは不在のようで、玲奈は一人で食堂へ向かう。以前絡んできた女子たちが視界に映ったが、玲奈が一人きりでも、近寄ってこない。


(良かった……今日は目立たず過ごしたい)


 そそくさと朝食を取ると、直ぐに席を立った。自分の持ち場に行くと一心不乱に洗濯をこなした。フミノがその様子を見て驚いている。


「あんた、今日はやけに張り切ってるのね」

「うん、早く終わらせてさっさとお昼取ろうと思って!」


 混まない内に食堂を使ってしまおう。それなら志陽にも、ユランにも会わずにすむ。


(志陽は何考えてるか分かんないし目立つし、ユランは会わせる顔がないし)


 特にユランには、複雑な感情を抱く立場になってしまった。なんと、リュウと本当に付き合うことになってしまったのだから。


(嘘ついてて申し訳ないとか思っておきながら、もっと酷なことを)


 しかも、玲奈はうっかり、そしてしっかり、リュウの彼氏ムーブにときめいている。ユランへの後ろめたさが増していく。


(確かに、リュウかっこいいもん……幼い頃から近くにいたら、好きになっちゃうよ)


 リュウの逞しい筋肉が頭に浮かび、玲奈の顔はぷすぷすと、赤く火照っていた。




 数日後、玲奈は夜にまた、内郭に訪れていた。リンファと会うためだ。リンファ曰く、長く接しているほど、はっきりと先見ができるらしく、三日に一度、リンファに会いに来るように言われたのだ。茶菓子を食べている内に、二人の空気は解け、和やかになっていった。リンファは玲奈と年も近く、喋りやすい、普通の子だった。この前会ったときは、九垓がいて厳かな空気だったというのもあり、やっと年相応の彼女が垣間見えた。


「リンファっていくつ?」

「十五になります」

「お、二つ下だ」

「レナさん十七歳ですか……気をつけた方がいいですね」

「えっ、何が」

「七の付く年は、自身の自立精神が旺盛になり、龍神の守り力を得にくくなるといわれているのです」

「自立精神が高くなると加護が減ってしまうの?」

「龍神信仰においては、自尊自立の心は良しとされません。龍神の意思を組み添うことが正しいことなのです」

「えー、珍しい信仰だね」

「人は間違います。龍神に従うことが平穏無事の近道です」

「ふーん……」

「……村の若い人たちは、この教えを疎む者もいます。そして、村が分かたれ破滅をもたらす」

「……、なんの話?」

「いえ」


 リンファは砂糖菓子を摘んで言葉を切った。彼女の村には色々厄介ごとがあるようだ。


(若いのにこんな仕事して、大変だ……)


 ずずっとお茶を啜りながら、彼女の境遇を想う。


「レナさんは、逞しいですね」

「ええ?」

「異界から知らない国へやってきても、前に進まれています」

「……」

「私だったら、打ちひしがれて、膝を折ってるやもしれません。そして、抵抗する気力もなく、死を受け入れてしまうでしょう」


(そんなこと初めて言われた)


 自分はタフとか、精神的に強いといったところとは真逆にいる人間だった。でも確かに、しょっちゅう不安になりながらも、玲奈は前向きに頑張っていた。

 

「帰りたいから」

「帰りたい理由があるのですか?」

「理由……やっぱり一番は家族かな。家族に会いたい」

「……良いご家族なのですね」

「普通の家だよ」

「それが一番です」


 リンファの所は、そうじゃないのだろうか。そう思ったが、突っ込んで聞くことはしなかった。神職であることを見ても、家族との間柄は、複雑なのかもしれなかった。


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