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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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121/165

121話

(昨日のは……現実だよね)


 翌朝、迎えに来たリュウはいつも通りに見えた。部屋を出て、食堂へ向かう道のりで、その横顔をちらりと伺う。


「ン」

「え?」


 仏頂面と共に、差し伸べられた手。


「恋人だろ」

「……うん」


 ぎゃーっと内心わめきながら、その手を取った。きゅ、と握り返されて、いよいよ血流が沸騰する。


 玲奈には男性経験がない。彼氏いない歴=年齢。まだ高校生なので周りもそういう子は多く、生々しい経験談も殆ど耳にしたことかない。いきなりこんな、経験豊富そうな男が彼氏になって、スマートにリードされる展開に、目がくらくら廻っている。


(昨日、リュウとキスした……)


 その唇を盗み見る。薄い唇を観察し、早々に耐えられなくなって、目を逸らした。


「何百面相してんだよ不審者」

「うっ……、そういうのは言わないのが優しさじゃん!」

「あんまり面白い顔してたからつい」

「もー……」


(待ってなんか、会話がカップルっぽい! 気がする!)


 再び、内心でぎゃーっと騒ぐ。口に出さないだけ頑張っている方だ。


 食堂まではすぐに辿り着き、朝の混み合う時間に、多くの目が二人に向いた。リュウと二人で来るのは少し日にちが空いていて、しかも二人は手を繋いで登場。好奇の目に晒される。


「ここ」

「うん」


 朝食の匂いに、少し心が落ち着いた。朝は大抵、焼き魚がメインのことが多い。日本人の口によく合うメニューで非常に喜ばしい。


「頂きます」


 玲奈が言う前にリュウは既に手を付けており、お椀をずず、と啜っている。茶碗を持つ手の大きさに一度気付くと、そこから目が離せなくなって、暫し見惚れた。


「……視線が熱いんだけど?」

「――ハッ! つい、いや、あの、違くて!」


 慌てて弁解しようとすると、「落ち着け」と柔らかくいなされる。


(ひーっ、なんか、なんか声が甘くない!? 気の所為? 気の所為ですか!)


 そわそわと落ち着かないまま、朝食を終える。立ち上がって片付ける最中に、


「今日は一緒にいられっから」


 と告げられた。


「あ、そうなんだ」

「ん、向こうは一旦落ち着いた」


 相槌を打って、外へ向かう。いつも通り裏庭の洗濯場へ行く道すがら、先日リンチにされかけた女子たちが前方に見えた。


 彼女らは玲奈を見つけてキッと目を吊り上げるも、その横にいる男を見て、気まずげに顔を反らす。しかし、リュウはそれを許さなかった。


「お前らか。人の女に喧嘩売ってくれたのは」


 女子たちは、ぎゅっと一塊になってリュウの威圧に耐える。


「っ、私たちは、ただ」

「ああ? 何だよ、言い訳くらい聞いてやるから言えよ」


 喧嘩腰のリュウに、女子たちはビビって後ずさる。しかし、そんな中でもリーダー格の女子は涙目になりながらも反論した。


「だって! ユランならまだしも、そんな芋っぽいのがリュウの相手なんて受け入れられない!」

「そうよ! 何かソイツ、ヒコトさんにも庇われてたしっ!」

「ハッ、人の女捕まえて芋っぽいかよ。おまけにムカつく名前も出してくれやがって……お前ら、よっぽど俺を怒らせたいようだな」

「ぁ……! そ、そんなつもりはっ……」


 リュウは羽織を脱いで、地面に落とす。女子たちはガクガクと震え、団子状態になって怯える。リュウはそれを高い視線から見下ろすと、首をコキ、と鳴らした。それが合図だった。


「キャアーーーっ!」

「ごめんなさい!!」



 女子たちはリュウの剣幕にビビり、脱兎の如く駆けていった。


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