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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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120/165

120話

 きょとんとリュウを見返して、たっぷり間を取って、やっと脳を再起動させる。


「へぁ!?? な、なんて!?」

「本当に付き合うかって」


 どうやら、聞き間違いではなかった。


「嘘つきたくないなら、事実にしちゃあいいだろ」

「いやいやいや……、リュウは別に私のことが好きなわけじゃないでしょ」 

「……こんな事言い出すくらいの気持ちはあるけど」


 その返答に、どうにか平静を装おうとしていた心持ちは崩れ、とうとう絶えきれず頬が赤く染まっていく。口からは音にならない、空気だけがぷすぶす溢れた。


「そんな感じ微塵もなかったですけど」


 玲奈が絞り出した声は蚊の泣くような大きさだった。


「伝えようと思ってなかったし」

「…………」

「お前は嫌かよ。本当に俺の恋人になるの」

「その……本当になったら、何か変わるの?」

「そりゃ、するんじゃねえの。色々」


 色々、に含まれることを想像し、玲奈は小さくなって悶えた。迷宮の中で、リュウの唇をすぐ間近で見た景色が甦る。


「向こうに好きな男がいるとか」

「な、ないよ」


 好きな人、と言われても、もうサディの顔は浮かばなかった。

 

「……嫌か分かんねえなら、試してみるか?」

「あ……」


 リュウの足は長い。一歩ですぐに玲奈の体が触れそうな距離まで詰められてしまう。見上げた顔がゆっくりと迫ってくる。嫌なら嫌だと、言えばいい。でも、玲奈の唇はぴたりと閉じて、声を発しようとしない。リュウの顔が目の前まで降りてくるのに合わせて、目を閉じた。


(っ……)


 柔らかさに驚いて、びくりと体を跳ねさせた。一秒、触れ合って離れていった唇を、ぼやける視界の中見つめる。


「どうだった」

「……分かんないよ」


 分かるのは、ただ、鼓動がとてつもなく速く音を立てていること。顔が、赤く染まってるだろうこと。


「……じゃあ、もっかいするか」


 うん、ともいや、とも言えなくて、こくりと頷くので精一杯だった。羞恥に、目元に涙が溜まってくる。


 二回目のキスは、さっきより少し長かった。



  

 

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