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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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104/165

104話

 翌朝。体を揺り起こされ、玲奈は渋々目を開けた。


「はよ」

「……おはよ……また勝手に入ったの…………」

「ノックはした」


 寝起きで動かない頭、カサカサの喉から何とか言葉を捻り出す。


「飯食ったら、一度顔合わせする」

「……誰と?」

「お前の護衛だ」




 人目につかないように連れていかれた小部屋には、既に先客がいた。


「お、来たか」

「……?」

「陛下の首護隊の任に当たる奴らだ。暫く、お前の護衛を兼任する」

「私の護衛……」

「そういうことだ。宜しく」

「お、お願いします」


 男性が一人。女性が二人。いずれも、二十代半ば頃にみえる。まず真っ先に、その服装に目がいった。


(皆脇空いてる!)


 ユランが着ていたものと同じ型だ。彼女が特別露出の高い服を着ていたわけでなく、制服のようなものらしい。男女の区別なく、脇から横腹までがざっくりと空いてるが、ここにいる三人が身を包んでいる服は黒一色だった。


 何となく目をそらすと、リュウに「何よそ見してんだ」と首を掴まれる。


「ごめん、ちょっと慣れなくて……。えっと、首護隊ってリュウもそうなんだよね」

「まあな」

「っても、リュウは先王の首護隊員だ。そのまま国を出てったから、俺らが一緒に組んだことはなかった」

「あ、そうなんですね」


 九該の父である先王、慧燿の首護隊は、そのまま現在も隠居した慧燿に仕えているらしい。リュウは国へ戻ってきたのを機に、正式に九該の首護隊に入ったという。


「リュウは陛下が後見人だからな。既定路線だ」

「……あまり乗り気じゃないが、そういうことになった。俺がずっとお前に付いてるわけにはいかねえ」

「うん」

「この人たちと交代でお前の護衛と監視に当たる。この人たちは俺と違って、全員導士だ」

「導士……」


 その言葉に、玲奈は一瞬息を止めた。


(お母さんと同じ……魔石を使わずに、魔術を使える)

 

 リュウは気にすることなく、続ける。

 

「ただ、首護隊が代わる代わるくっついてたら目立つから、俺以外は見えない位置に控えるようになる」

「あ、うん」


 確かに、王の直轄部隊が目に付く所にいたら、私は危険人物ですと背中に書いて言ってるようなものだ。


「視界に入ってなくても、部屋から出れば、誰かしらがお前を見張ってる」

「分かった。ナシュカたちと同じように生活すればいいんだよね」


 ここを当面の安住の地にして、今後の方策をゆっくり練っていきたい。そのためにも、自分がボロを出すようなことは避けよう。


 玲奈が決心を固めると、男性が爽やかに話し出す。


「話はまとまったようだし、俺らの自己紹介をしておこうか」

「はい!」

「俺が桃鳳(たお)。宜しく」


 桃鳳はリュウと同じくらいの背丈だったが、体格はリュウより一回り大きく、がっしりとした人物だった。暗い赤髪を短く刈り上げている。


「こっちが雪璃(せつり)、奥のが翠夏(すいか)


 無表情のまま、ぺこりと頭を下げた雪璃は、肩の下程までのさらりとした黒髪に、水色の瞳が涼し気な雰囲気を増していた。一方、翠夏の方は人懐っこそうな笑顔を玲奈に向けた。彼女は青みの強い髪を一つに結い上げ、サファイアブルーの瞳が爛々と輝いている。どちらも背が高く、玲奈より頭一つ大きい。


「それと、今は陛下に付いていていないが、もう一人、氷來兜(ひこと)という男がいる。リュウを入れて五名の体制だ」

「あんまり大っぴら喋ることはできないけど、宜しくね」

「はい、こちらこそお願いします」


 三人と挨拶を交わし、リュウと部屋を後にする。次いで連れて行かれたのは、王宮敷地内の入り口だ。そこには、トキとナシュカもいた。そして、むすっとした表情で待ち構えていたのは、紅那だ。


「揃ったな。君たちは全員、秤を終え、この国の一員となった……。一名は事情が違うようだが」


 ぎくりと跳ねた玲奈は苦笑いするしかない。紅那は眉を上げた。


「それはひとまず後だ。次の官吏登用試験は三ヶ月後だ。その間、お前たちは下働きとして王宮内の雑事に当たる。造りを一通り説明する。ついてきなさい」


 紅那は玲奈たちを微塵も気遣わない速足で進んだ。

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