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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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103/161

103話

 リュウはユランの背中を見て、溜息を吐いた。


「いいの、本当に」

「これが一番だろ。ちゃんと話合わせろよ」

「……分かった」


 少し離れているが、まだ食堂には取り巻きが残ってるので、リュウは耳元で囁いた。


(あの子、本気でリュウが好きなんだろうな……。凄い罪悪感……)


 その胸中を思うと、玲奈までずきんと胸が傷んだ。サディとミトラの逢瀬を盗み見た、目の前が暗くなるような感覚。今、彼女があれを味わっているのだろうか。


(事実ならまだしも……嘘なのに……)


「おいリュウ! さっきの本当かよ!」

「この子と付き合ってんの? まじ?」

「そう言ってんだろ」

「お前……ユランの気持ち分かってんだろ?」

「今日は泣き明かすんだろうなあ、可哀想に」

「知るか。慰めてやれば」

「うわっ、最低」

「何でこの子選んだんだよ。ユランの方が可愛いしスタイルも上じゃん」


(はあ? 本人の目の前で言うの、それ)


 玲奈の怒りを感じたのか、そう発言した男は、慌てて「あ、ご、ごめん」とにへらと笑った。リュウはそれらを無視して、玲奈の手を引っ張った。


「もう寝ろ。疲れたろ」

「……、うん」

「うわ、リュウが女子に優しい……」

「本気なのか……」

「ユラン……ご愁傷さま……」



 リュウに送ってもらって、部屋に辿り着く。リュウは当たり前のように部屋の中まで入ってきた。元がリュウの部屋だしいいのだが、カモフラージュとは言え恋仲だと宣言された直後で、心が落ち着かない。


「この部屋は風呂もついてる」

「ほんと? やった」

「一緒に入るか」

「は……ハァ!? 何言ってっ!」

「冗談だわ」

「な……っ、」

「お前な、分かってんのか? 恋人のふりすんだぞ。あんまテンパんなよ」

「わ、分かってるよ」

「…………」

「なに……?」

「ちょっと練習しとくか」

「え? ちょ、な、なに」


 リュウの長い足は、一歩出しただけで瞬く間にぐっと玲奈との距離を詰めてしまった。見上げる角度がぐっと高くなる。一歩後退りするも、腕が絡められて動けない。


 リュウの顔が、ゆっくりと玲奈のところまで堕ちてくるのを、スローモーションのように目が追った。


「っ……」


 リュウの息を感じるくらい距離が縮まって、ようやくリュウはぴたりと静止した。


「……、避けねえの?」

「っ!」


 硬直していた頭をぐりんと横へ捻った。もっと距離を取ろうとしたが、相変わらず腕は掴まれたままだった。


「こんな……っ、急に何の真似!」

「だから、練習だって。恋人なのに距離取ってたら怪しまれるだろ。ただでさえ、あいつ納得してなかったし」

「だからって……外でしっかり演じればいいんでしょ。こんな所でやる必要ないし!」

「フーン。じゃ、明日からしっかり演技しろよ」

「あたっ」


 デコピンされて額を抑える。リュウはひらひらと手を振って去っていった。



「…………」


 部屋の扉が完全に閉まったのを見送って、その場へうずくまって膝を抱えた。


(なんなの今のは!!! もう少しでキス……! 何で受け入れようとした! 抵抗しろよ私!)


 雰囲気に流されるままだった自分に怒号を浴びせる。リュウが止めてなければ、間違いなくあのまましていた。さっき玲奈は、抵抗をする気が微塵もなかった。近づいてくるリュウの整った顔が、リフレインする。


 膝から上げた頬は、真っ赤に茹だっていた。



 

 

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