第11話:目指せ、家族ぐるみのお付き合い
カフェテラスでの会話もそこそこに盛り上がる。
そして、その雑談の中でもオレは幾つかの情報を仕入れることができた。チャートを組むためには情報は絶対に必要なものだからな。
彼らが関わる物語と、詩織を助けた状況ってのは違いがある。
ゲームで言えば詩織のそれはサブクエスト……つまり、ゲームで言えば『寄り道』でしかない。
一方の静間たちのそれはメインクエスト、お話の中核であり、大きな区切りがつくまでにたっぷり一年がゲーム内で進行するほどに長いのだ。
ここでのチャート組み立てミスはそのまま未来が閉ざされる可能性すらある。
彼らとの会話でわかったことは、二人はまだ力に目覚めていない。
つまり原作的に言えばまだシナリオ開始前ってことになる。
本来のシナリオラインで言えば、『大喰らいの満島』って半グレとの戦いになる。
結人のクラスメイトの女子がいかがわしいアイドル活動(非合法)に駆り出されそうになっていることを知った人たちが他の仲間と共に助けようとするも、満島は契約を盾に拒否。
打つ手がない彼らだったが、何者か(ネタバレをするとラスボスだ)が自らの立てた計画のために舞台となっている現実世界に繋がる異世界、【夜と夢の世界】への行き方を教えた。
そこは夢や無意識などが集まる場所であり、満島は結人たちが凸って来たことから自分の罪をより深く隠蔽するために必死に思考していた痕跡を見つける。
曰く、あのミスをどうするか、このミスをどう隠すかなど。
満島のミス──いかがわしいアイドル活動をさせて、相手を脅すために用意したであろうデータを捨ててしまったものを拾得するだとか、他の被害者が他にも数名いて、満島に抵抗していることも知ったので協力してことにあたるだとか。
そうした証拠や味方を揃えて弾劾すると満島は怪異の力を使って主人公たち、つまり結人たちを亡き者にしようとして、初めてのボス戦が始まる。とまあ、そういう流れだ。
ここで助けられる予定のヒロインは先程の『抵抗している』アイドルの子で、事件前後で結人がよく遭遇し、カフェテリアなどが遭遇のための定点だったりするが、それもない。
つまりは満島関連のイベント発火が早まっているようなことはない、とそういうことだ。
それと、結人のクラスメイトの情報も仕入れることができた。彼の周りにはもう少しシナリオが進めば仲間になってくれる人たちもいる。
下手にオレが突っつかないほうが本筋通りにスムーズに行くかもしれない。
勿論、これがルナティックであることを加味して満島との戦い付近ではあれこれと勝手に手伝わせてもらうつもりではあるが。
あとはまあ、それとなく状況を知るための断片を雑談から拾い集めさせてもらった。
そこから導き出されるのは、あと一ヶ月程度で満島のイベントは発火するってことだ。
逆に言えばそれまではオレも助っ人として参戦できるように『稼ぎ』を行ったりしてルナティックでもオレ自身が何かの役割を持てるようにしておく猶予がある。
──そんな風に聞いてばっかりに見えるかもしれないが、お茶会自体は和やかに、楽しげに終わった。また近々お茶しようと勇気を出して誘ってみれば、
「そのうちね」ではなく、「じゃ、明日にしよう」と帰ってきた。
ありがたい話だ。
飽きられるまでは放課後の時間は彼らと共に、それ以外の可処分時間はルナティック対策に走り回ることにしようと決めた。
✘✘✘
直衛と帰路を分かれたあと。
「どうだった、トーコ。ドキドキした?」
「ん……。まあ、……した」
人と話すときは目を合わせて喋りなさい、と直衛は親から数少ない薫陶を与えられており、数少ない教えだからこそ、それを律儀に守っている。
今回に関してはその効果は覿面だったわけである。
顔を赤くした少女。
誰もが彼女のオッドアイの圧の強さにまんじりともせず目を合わせる、といったことができるものは少ない。
だが、直衛は違った。
キレイだと褒めてくれたあとも、それがおためごかしではないのだと告げるように空色の瞳を見てくれていた、そうトーコも結人も感じている。
「押せ押せムードを出すのはまだお兄ちゃんとしては早いぞと戒めたくなるけど」
「結人こそデレデレじゃん、直衛に」
「まあ、だっていい奴だからさ」
「男友達少ないもんね、結人って……」
「なんでだろうね……」
原作においてはヒロインや準ヒロインの殆どが女性であるからこそ、同性の友人やヒロインは少なくなってしまう。割を食う、という奴だった。
現実世界であるここにおいては、彼の顔立ちのせいである。
美しすぎるからであった。整った顔立ちというのは異性も同性も触り難いものになる。
「それじゃあ目指すは俺は直衛と友だちになることで、トーコは恋ごこ──」
「わー、いいっていいって! ちゃんと自分の心と相談するから大丈夫!!」
「あはは」
「ったく、からかわないでよ!」
直衛はくっつけるべき相手として認識している二人だが、二人はそうした感情なくとも最高のパートナーとして既に成立していた。
かわりのいない家族であり、かけがえのない相棒であったのだ。
毎日一話ずつ更新させていただきます!
お楽しみいただけましたら是非、評価やお気に入り登録などしていただけますと人生の喜びになります!




