【いつもの帰り道】
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「がおーーーっ、ガブゥッ」
「痛いっ痛いってば──」
「どうしたんだい、二人とも」
月面のような世界。
世界の中心、別世界とも呼ばれるその場所で。
「ミリスが、ボクの頭をかじるんだよ」
カオスの頭を齧り付く僕。
「だって、僕はね──カオスが瘴気を食べてパンパンになった魔力を食べてあげなくちゃならないんだ」
「どうして、それでボクの頭をかじるのさ」
「それはだね──なんでかな?」
「やれやれ、完全に間違いとは言えないんだけどね──カオスにはその世界から産まれる瘴気となる魔力を取り込み、ミリスがその魔力を食らうことで希望の魔力に変換し世界の魔力が混沌に傾かないようにしないとならないんだ」
「なんだい、父君様、それはようするにボクはカオスの頭をかじってもいい、そういうことかい?」
僕はガジガジとカオスの頭に嚙みつきながらそう尋ねる。
─────
学校──
「げっ──毒島」
「なんだよ、水無瀬──あんたに用じゃないんだけど、ねぇ、結代──」
「な、なんだ──?」
ナギサやユイとかと会話するようにはなったものの──
未だに話しなれないクラスメイト、女子との会話に思わず緊張する。
「ねぇ──この間、なんか灰色のツンツン頭でさ、いつも来ているのか知らないけど白いロングコート着た凄い、イケメン──あれ、あんたの知り合い?」
「真解──ユズルさんのこと?」
したくない会話に俺は思わず目線を反らしてしまう。
「ねぇ──結代、紹介してよ」
* * *
「え──あ──そうだったんだ……ごめん」
隠してもしょうがないと思った。
事実を話す。
「ねぇ、毒島──その人、ユズルさんは毒島に何を聞いたんだ?」
「えっと──確か、結代──あんたの名前を言って、同じクラスかって、それで、お前らの担任は男か女か確かそんな質問を──」
「男か──女?」
ナギサも何か引っかかるように俺と毒島の会話を聞いている。
「毒島、なんて答えたんだ?」
「私は確か──“男”、あれなんで──」
俺たちが、今抱いている違和感に──
あのすべてを正す探偵は、真っ先にその不正に気づいていた。
「ねぇ、トウカ──私とトウカって、私がなんかトウカにイチャもんつけて、そっから仲良くなったよな」
「まぁ──あぁ」
「確か、誰かの印象操作だ──みたいな、確かトウカには効かないんじゃ」
「トウカくんには感情的な魔力操作が効かないのであって、記憶、誰かの認識操作的な部分はまた別だったんじゃないでしょうか」
いつの間にか、俺の隣に立っていたユイがそう推測する。
「なんだ、トウカ──気合が足りてないぞッそんな認識操作になぞに騙されおって」
リヴィが自分の席から振り返り俺に言う。
「私やリヴィア、あんたはそっちどころか、感情操作までされてたからな」
ナギサが俺の代わりにリヴィへとツッコむ。
「なぁ──トウカ」
「ん?」
ナギサが机に突っ伏した状態で俺の顔を見上げ、どこか不安そうな瞳を向けている。
「その、ノウムのおっちゃんのとこ、会いに行ってみない?」
「ノウムさん?」
「うん──この辺のマンションに今住んでるみたいだ」
「あそこ、出たんだ──やけに詳しいんだな」
ナギサがどこか申し訳なさそうに目線を反らし
「メッセ──連絡取ってた──トウカには言おうと思ってたのにごめん」
「なんで、謝るんだ?」
「えっ?だって──トウカが嫉妬するだろ」
「嫉妬?なんでだよ」
「なんでだよは、なんでだよッ──しろよっ、嫉妬ッ」
「なんでだよっ」
「ねぇ──結代、あんたと水無瀬って付き合ってるの?」
「「なんでだよっ」」
同時にナギサと俺が毒島にツッコむ。
「トウカは私にかわいいって言うくらい好感度上がってんだろ」
「はぁ、何の話だよ」
そう言ってしまったと思う。
にやりと不敵な笑みと共に、ポケットに手を入れる。
「ナギサ、まさかまだ持ち歩いて──」
カチッ
「──ナギサは可愛いと思うけど──」
「あら、本当にトウカくんの声、言ってますね……」
俺が取り上げれないようにナギサが頭より高く掲げた手に握られたテープレコーダーをユイが眺める。
「馬鹿者ーーーッ」
なぜかリヴィが席から立ちあがり──
「トウカ、あたしにも可愛いと言え、今すぐにだッ」
「な──なんだ?」
言ったリヴィがなぜか顔を真っ赤にし──廊下の方に向かっていく。
「なんだったんだ?」
「もしかして──ですけど、その彼女なりの嫉妬でしょうか?」
ユイがそう──俺たちと一緒にリヴィの背中を見ながら言う。
「結代──あんたって変なところからモテるんだな」
毒島が感心するような──微妙な表情で言う。
* * *
「お待たせ──」
学校帰り──自宅に帰り私服に着替え、
ナギサの家の前の塀を背に時間をつぶしていると、
いつものジャージ姿。
猫?のような帽子を被り、ナギサが出てくる。
日中の会話のせいだろうか。
少しだけ、お互いに意識するように会話がいつもよりぎこちない。
「お腹、空いた──コンビニで何か買っていこう」
ノウムさんの家に向かうだけ。
俺はナギサと一緒にコンビニでナギサが肉まん、俺がじゃがバターまんを買う。
「それ、こっちの地方、限定なんだってな」
「へぇ、うまいのにな──」
「ほんと、そっちの一口くれ、トウカ」
「お、おいっ」
パクリッと俺の食べかけの部分をかまわず、ナギサが俺のじゃがバターまんへと食らいつく。
「うんまっ──トウカも食べる、肉まん」
そう、俺に食いつきやすく場所に肉まんを差し出してくる。
「そ、それじゃ──」
俺はナギサの食いついていた場所に持っていた口を口一個分離した場所にかぶりつく。
「うまいだろ──」
「まぁ、いつも食ってるけどな」
「私の食いかけだからうまいんだよっ」
「なんでだよ──まぁ、一人で食べるより、うまいけどな──」
「もう一口たべちゃおっ」
「おいっ」
「うんまっ──」
そう、ナギサが俺のじゃがバターまんを二口で4分の1くらいをかぶりつき、少し照れ臭そうに俺に笑顔を向ける。
「可愛いな──」
「えっ──?もういっかい」
ナギサが驚いた顔でテープレコーダーを俺に差し出す。
「可愛いな──その猫の帽子」
俺はそう付け加える。




