【二人の銃弾】
夜──廃工場となった場所にある倉庫。
そこで、ユズルは催稀を追い詰めるが──
囚われ、両足を拘束されている、キズナと再会する。
感動の再会とも行かず──
再び姿を見せた催稀。
「てめぇだけは──必ず正してやる、逃げれると思うな」
「いいのか──ほんとうに?」
「いや──私は先輩の重りには──先輩の罪にはなりたくない」
ガシャッガシャッとその銃弾でも切断できなかった鎖を足を乱暴に動かし引きはがそうとする。
「やめろ、キズナ──安心しろ、俺が必ず──」
手錠のような特殊な鉄が足に食い込み、痣をつくりながらもその拘束を自ら解こうとキズナが若干自暴自棄になるがユズルが宥める。
「ほら、だったら早く助けろ、鍵もそこに置いてある」
催稀がそのカギの場所を示す。
キズナのいるすぐ近くにある机の上。
だが、拘束されるキズナにはそこまで腕が伸ばせない。
キズナを助けることは簡単だ。
だが──目の前の男を逃がす訳にはいかない。
それに、この男がもし俺がその選択を選んでも黙ってそれを許すわけがない。
一つを成功させるためにも──ユズルはその二つを成し遂げようとする。
「黙って──死ねよクソ野郎」
ユズルの持つ拳銃が催稀を狙う。
「人が黙って死ぬと思うか、探偵──それができるのはこの能力だけだ」
「くたばれっ」
ダンッと銃弾が発射される。
暗闇の中、それでも──
「正せ──そこが貴様の心臓だ」
そのユズルの声に銃弾の軌道が修正される。
「──確かに探偵、お前の能力は厄介だ」
ギンッと銃弾が途中で何かに弾かれる。
「な──トウカ、あのクソガキのような結界?」
いや──違う。
だったらなんだ。
「だれも──俺の能力が人の感情や物質にだけ“干渉”するなんて言った覚えはないぜ、探偵」
「空間に──干渉させたというのか」
「感情を拘束させるようにこの一部の空間に俺の魔力を干渉させた──」
暗闇でよく見えなかったが、黒い鎖のようなものがあたり一面に張り巡らされている。
その鎖に銃弾がふれ──催稀はその鎖から銃弾に干渉をし銃弾を破壊した。
「無駄だ、探偵──俺がただ、この場所に逃げ込んだと思ったか?」
ありとあらゆるものに“干渉”を終えている。
いえば、催稀のテリトリーの中。
「どうだ、探偵──“3つ目”の選択肢だ」
「クソ野郎──」
「女を助けるか──俺を殺すか、それとも──どちらもせず、こっから“逃げ出す”か、さぁ選べ探偵」
蔑むような目で口元を緩ませながら催稀が言う。
「キズナは助ける、てめぇも殺す……そしてこいつと一緒に帰る、選ぶじゃねぇよ、そうする、そんだけだ」
「この状況でまだ、それができると思っているのか?」
「できる、できねぇじゃねぇ──ひとつひとつ俺が正す、全部俺が正すそれだけだ」
「いい加減、壊れろ──」
「───!?」
暗闇の中、いつの間にか迫っていた催稀の能力の鎖がユズルの右腕に絡みつく。
「一つ、興味深い話をしてやろうか探偵──この能力ってのは、負の感情、そこから生まれる魔力となり能力となる──なぜ、それが今までは発動せずにいたのか──」
「何を言ってやがる」
「それらの負の感情を暴走、発動させないための器があったのさ──その器が人の手に落ちた──その器をこの俺の能力で繋がれているとしたら?」
「お前が、その魔力を──好き勝手に使っていたとでも言うのか?」
「まだ、足りない──まだな、世界を壊すほどの感情──なぁ、お前らのどっちかが壊れたら手に入るか?」
「私は──もうあなたの思い通りにはならないっ」
ユズルの後ろ、キズナが拳銃を構え銃口をかなり距離の離れた位置に立つ催稀へと向けてる。
「無駄だというのがわからないのか──」
「私が──先輩を導く──」
ダンッ──と銃声が響く。
鎖がその銃弾の軌道先に延びていく。
「引責しろっ──その銃弾があなたに引導するっ」
銃弾が鎖を避けるように軌道を変えながら催稀を狙い飛んでいく。
「無駄なことだ──」
鎖がキズナの持っていた拳銃に絡みつくと──
放った銃弾が──催稀の体に軌道を誘導するのを放棄する。
ダンッダンッと懲りずにキズナが銃弾を放つ。
「俺には届かない──そう言ってやらないとわからないのか」
「俺が正す──それはてめぇの体に俺が届ける──」
「えっ?」
ユズルの銃口がキズナに向かう。
「正せ──俺の銃弾に触れたその鎖は“俺の能力”に干渉した」
その催稀の鎖がキズナの能力に干渉しその能力を壊したことを上書きする。
「──引責しろっ──その銃弾はあなたを引導するっ」
「がっ──なんだ──と」
二つの銃弾が──催稀の体を貫通している。
「くそ──が──一度ならず二度も、真解ユズル、てめぇは壊す、絶対に壊す」
銃弾が貫通した傷口を抑えながら催稀がユズルを睨みつける。
「はぁ──はぁ──」
催稀が二人から逃れるように──その暗闇の中、障害物の積み上げられた鉄骨に身をひそめるように体を小さくしている。
「この俺が──逃げている?」
ダンッダンッ──と銃声が響く。
咄嗟に鎖を周囲に巡らせるが──
「引責するっ──あの男に引導を渡すっ」
キズナの声がそんな暗い倉庫に響き渡る。
「ぐっ──がはぁ」
二発の銃弾はそんな催稀のテリトリーでもその追跡を容赦しない。
まるで誘導弾のように、物理法則を無視し、あらゆる角度から銃弾が飛んでくる。
二発の銃弾が催稀の体を貫通する。
「はぁ──はぁ──こんなところで──壊れてたまるか──壊す、壊せ──」
催稀の能力──そのダメージとなる魔力に干渉ができるため、その銃弾を受けながらも未だ意識を保ってはいるが──完全無敵というわけではない。
「お前の負けだ──ここですべてを正す」
「ふざけるなぁーーーーッ」
催稀が初めて感情的に叫び声をあげる。




