【夜の職員室】
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「どうだ──今日も立派に世界は守れたのか?」
その男を家に匿ってから数日がたった。
「やだなぁ、カイナ──僕の捉え方によっては、でたらめなこと言って働かないダメ男に、皮肉を言ってるみたいに聞こえちゃうよ?」
「──いや、割とそれで間違えてないが」
「相変わらず、僕に厳しいよね、カイナは──」
「得体の知れない男を拾った身にもなりな」
「あはは──」
「──笑ってないで少しは弁解しろ」
「話してくれなければ信じることもできない」
「あんたは何と戦っているんだ?」
「──守っているのさ、世界を──」
「戦うと守る──何か違うと──?」
「守るというのは“勝ち続ける”ことじゃない」
「それで、どうやって世界を守るんだ?」
「──守るってのは“負けない”ことなんだ」
「勝たなくていい──でも負けてはならない、簡単なようで難しいことなんだ」
「あんた──なにものなんだ」
「──世界ってのは正と負の感情、そこから生まれる魔力で制御されている──それを管理する聖獣──それを僕が制御している──」
「──どっちも守る──だからどっちも勝たせないってこと?」
「──そうだね」
「もし──どちらかが“負けたり”、"勝った”ときはどうなる?」
「──そうならないために、僕は戦い続けているのさ、どう凄いだろ?」
「──その話を私に信じさせられたのならな」
「ひ、ひどい──それってほんの少ししか信じてないってことだろ」
「今の会話に、私が少しでも信じている要素の言葉があったか──ポジティブなのかよくわからない奴だね、あんた」
本当は──その話が嘘か本当かなんてどうでもよかった。
一人で孤高に生きていく──そう決めた私には──
そんな同じ境遇のそいつは余りにも優しすぎて──
でも、いつだって──笑いながら簡単に世界を救うという発言をするあいつが──
ひどく寂しそうに見えたんだ。
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PM─10:00
結代家──俺の部屋。
俺が母に言われ修理した外ドア。
なんとか機能はしている。
カリンとリヴィが入ってくる。
学園が変わっても問題ないくらいだ。
この二人に関しては心配いらなそうだが──
「ユイ、シュウ──それにナギサも家の方は大丈夫なのか?」
こんな夜遅くに──集まってくれた、チームの仲間。
「女友達の家にお泊りと言ってきました、その友人にも口裏合わせるようお願いしてありますから」
「──まぁ、俺の親は一日帰らなくても心配しないしな──」
「あぁ、私もさっきトウカんとこ泊まるってハゲおやじに連絡しといた」
「馬鹿──それ、そういう心配させないために、男の名前は伏せるとこだろ?」
「はっ?だって──私にそんな友達いねーの知ってるし──他にいねーんだからしゃーないじゃん」
「だからって──」
「心配ないって──ほら、返事返ってきた───」
「………」
「やば──なんかめっちゃキレてる、今度、トウカ連れて来いって──いつにする?」
「いつにするじゃない──今からでも訂正しておけ」
「ねーーー、そろそろ本題入ってもいい?」
ノアが割って入る。
「で──その転校生を信用してその煩理家に侵入すると──」
「カリン──お前の転入もあまりノアと変わらないからな」
「そんなもの──気合と根性とパワー、で正面から入ればいいだろ」
「それ、確実に正面ドア破壊しちゃってますよね」
ユイが居てくれると突っ込み役が俺一人じゃなくて助かる。
「地下──そっから侵入する」
「豪邸ともなると──非常経路が出入口以外にもあるわけか、それが逆に侵入経路にもなってしまう、複雑だな」
シュウが腕を組み、一人頷く。
「ただ──十中八九──トウカたちが来ることは向こうは気付いている」
「え──意味ねーじゃん、それ、気合と根性とパワーに任せていいんじゃね?」
「いえ──目立って、煩理家以外の人間の目につけば厄介です、それに──煩理家に仕えている者中にも、この件に関与、知らされていない者も居るかもしれません──巻き込んだり、余計な敵を増やさない為にも、ノアさんの協力は必要だと思いますよ」
「とはいえ──能力者の出迎えが考えられるって訳だな」
カリンがノアを見る。
「うん──私も養子になったばかりだから──数もどんなのが居るかもわからないけどね──」
「少なくとも──あの元格闘家おっさんと、ニート社員のおっちゃんは居るってことだろ?」
ナギサが座っている俺の机のイスを無駄にくるりと回転させながら言う。
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PM─10:40
学園。
白いロングコートの男。
真解ユズルが、夜の校内を歩いている。
職員室──
ドアを横にスライドしようとしたが、もちろん鍵がかかっている。
得意のドアを蹴破ってもいいが──
証拠を残すわけにはいかない。
証拠を消されるわけにはいかない。
慎重に──正さなければならない。
一つのカギを取り出す。
予め、昼間に拝借し予備のカギを作っておいた。
ドアを開く。
一つ、一つ、並んだ机──その持ち主が誰なのかわかりそうなものを漁っていく。
* * *
一つの机──
机の上、引き出しは男性を予想させる。
だが──引き出しの中には女性ものと思われる小物もある。
前任者が女性でだれかに机を引き継がれたのか──
「これは──」
真解ユズルと書かれた名刺。
俺が以前に結代トウカに渡したもの──
それとは別に一枚の写真を見つける。
友達同士で撮った写真だろうか。
女性3人で撮った写真。
男は一人も写っていない。
「この女──トウカと委員長の女が襲われていた──」
拒絶の能力の女?
「まて──」
思い出せ──あの女、ぶつぶつと何かをクソガキとあの委員長に言っていた。
「──あれは」
二人の名前を呼んでいた──聞き取りにくかったが──聞き取れた部分を思い返せば確かに二人の名前を呼んでいる。
パチンッと職員室の電気がつく。
「困るな──夜の学校へ侵入なんて──今の探偵は学生からテストの答案を盗む依頼まで受けているのか?」
催稀──トウカたちの担任の教師が呆れた表情でドアの横のスイッチに手をかけ立っている。




