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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【守る理由】

────


 私にはもう見ることができません。


 もう──その瞳が光を取り戻すことはありません。


 私がそんな不幸に見舞われながらも、

 それでも、その時はまだ、神は私を見放してはいないのだと思っていた。


 私のそんな目に光を取り戻そうと寄り添ってくれた人が居たから。

 その人が、神や富では与えられないものを与えてくれたから。


 それでもやはり“やつは見ている”のです。



────


 

 「なぜ──私のすべてを奪った悪は救われ──私は──助けようとしてくれたそれは──」


 その服のどこにそれを潜ませているのか──

 びゅんっ──ひゅんっと次々と飛んでくるクナイを両腕の結界で弾く。


 「なぜ──助けるのですか?なぜ、あなたはその者を助けるために戦うのですか?」


 「見てきたんだ──ずっと、ずっと近くで──負けない正義だれかを──」



────


 それがいつだって正しいか──なんて知らない。


 それが仕事なんだって言われればそうなのかもしれない。


 でも、それは──俺は──いつも守られて──誰かをいつも守っていた。


 俺も──そうなりたかったのか?


 結代トウカ──幼い俺がそこに居る。


 父親──それは思い出せない。

 だから──俺の記憶にあるのは母親だけだ。


 厳しくておっかなくて──でもいつだって凛とした態度で──

 いつも、自分が正しいと言い切ってしまうような性格で──


 職場でも敵は多かったと思う。



 決して俺を甘やかしてくれたことなどない。

 それでも──周囲からは俺を守るときの母はどこか過保護に見えるところがったのだろうか──


 俺が間違っていなければ──いつも母は俺を庇ってくれた。

 その正義を──凛とした態度で──相手が誰であろうと──


 ある日──俺はそんな母に感化されたのか──

 自分より弱い──自分より幼ない少女を守ろうと思った。


 ただ──その相手、その親が──少し相手として悪かった。


 国の権力者の息子──

 でも──いつでもあの人を止められる人なんていない。


 「トウカ──お前は自分が“間違っていた”と思うのか──だったら真っすぐ前を見るんだ──勝たなくてもいいんだ──自分が正しいと思ったのなら絶対に負けたらいけないよ──」

 「その自分が信じた正しさだけは、ひっくり返したらいけない──大丈夫、今のトウカに届かないなら──私が届けてあげる──」


 「──トウカ、あんただけは私を正しく動かす感情せいぎだ──だから、あんたのためなら、母さんは負けないよ」


 取り巻き──エスピーのような大柄な男たちを母は押しのけ──なぎ倒し──

 その右のてのひらを──


 パシンッ

 迷うことなく──男の頬を叩いた。



 ──その後、結局──母はクビにならないまでも、会社では隅に覆いやられ──

 世間的には──たぶん──そんな母を負けたというのだろう。


 でも──母は一度もそれを悔いたように口にしない。

 俺を責めることもない。


 だから──




────


 「──だから、そんなかのじょが信じた──正義おれを裏切りたくない」


 「──それが、守る理由だと?」


 「──ミリスを守る──助けたい、俺の“感情”がそう思った──だから、それを俺は貫く──それだけだよ、勝つんじゃない──守るんだ」


 「だけど──神はそれを見ていない──あなたに救いなど与えない」


 「そうだな──それでも、あの人は泣き言一つ言わずに俺が正しかったと信じてくれた」


 「なぜ──なぜ、そんなに──その誰かを信じられるのですかっ、なぜっなぜっ!!」


 何処からか取り出したクナイ。

 俺は両手でそれを弾きながら──


 指の先から結界弾を発射する。


 慣れた動作でそれを回避されるが──


 ギンッ ギンッ


 最小限の結界──をいくつか設置し──

 単純な反射ではなく、多彩な角度に反射させ──

 弾でシスターを狙う。



 カァ──カァ──

 カラスがこちらを見ている気がした。


 シスターはまるでそこら中に目があるかのように──


 その軌道を全て読んでいたかのように回避される。



 「なるほど──自分の範囲内──自分を視界に入れているすべての視線を自分の視界として見ている訳だね」

 ミリスが周囲の電線に止まっているカラスに目を向ける。


 「なるほど──そして、誰かに暗殺術でも習ったかのような動き──」



 「信じてはいけません──信じてはなりません──」

 「信じればそれは“依存”──“依存”とは“他力本願”──裏切られればそこまでの経過で得た全てを失うのです──」


 ゆっくりとクナイを両手に装着する。


 「当然、他人が持っていたものに依存した者は──その他人が居なくなればそこには何も残らないのですから──」



─────


 法眼ほうげんルミネ──親の後を継ぎ、シスターとして生きる私の名前。


 そうして、両親を失い──そして視力を失った──私を支えてくれた相手が居た。

 優しい人だった。


 医学の勉強をしていて──そんな私の視力を回復させるための医学の研究を続けてくれていた。


 本当は、その理由はどうでもよかったのです──私はただその人が側に居てくれるだけで──幸せと思えていたのですから。


 この人と結婚し、子供を授かり──視力は戻らなくて──それでも障害この人と一緒に──



 「どうか──あなたの技術を私たちの娘のために──」


 突如現れた──富豪の男。

 自分の娘のため──と、その財産を富をすべて彼に渡してでも──


 “私”ではなく──自分の“娘”を助けるために──彼を──

 そこに確かにあった感情を──その男は全て“買い占めた”




────



 「信じる者は救われない──信じた者は──裏切られすべてを失う」

 「──神はそれを救わない──」


 「救うんじゃない──守るんだ──勝つのじゃなくて負けない──なんだ」


 「それでは、守られたい人間はどうすればいいのでしょう──どうすれば負けなかったのでしょう?」

 「もう──終わったことなのです──仕方のないことだったのです──だったら、今の私には、あなたのその信じる正義とやらを否定することしかできないじゃないですか──」


 シスターがクナイを構える。

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