【神を信じますか?】
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小さな街──そんな場所には合わない大きな豪邸。
「おや──お帰り、ノア──転校、初日はどうだった楽しかったかい」
男性にも女性にも見える──少し水色のかかった美しい白の短い髪。
男モノのような黒いタキシードを着ている。
広いリビング──
その豪邸の主である人物。
一人の客人を向かい入れている最中だったが、
帰宅したノアにそう呼びかける。
「さすがは、煩理家──若くしてその地位を手にしたリエン様、彼女を養子として引き取ってくれたこと感謝しているよ」
深くマントのフードをかぶり、真っ黒なゴーグルを巻いた男。
「何度も言わせるな──君のためではない、私は私の考えで彼女を引き取った」
「そのあんたのモノ好きに感謝していると言っているのさ──“罪人である彼女”の調子はどうだ?」
「言葉を慎め──君は、私の年上でこの能力を気づかせてもらった恩はある──が、私に君の“支配”は届かない──この私をも利用できると思うな」
「安心しろ──俺も、富を権力を──名声を──その全ての煩悩を支配するあんたに逆らうほど自惚れていないさ──」
「私は──富豪も王も──英雄も──そのすべてを演じてみせる──“神”なんて居ない──そんな哀れな者に、救いを与えなかった愚かな神にこの私が罰を与える」
「──先輩……私は──私──」
窓際──3人掛けくらいのソファ。
横向きに体育座りでそのソファに座る女性。
大きな毛布を──体中、頭の上まで覆うように両手をクロスさせて端をしっかりとつかみ──身体を震わせている。
「大丈夫だよ──キズナ、君が怯えなくていい世界を私が作ってあげる──」
「──ふははは──壊しがいがある──」
「何がおかしい──」
「いやいや──何でもないさ、そろそろ──リエン様にも伝えておきたいことがあってね──」
ノアは黙って──そんな二人の様子を見ている。
「君が嫌う──“神”と呼ぶべきかはわからないが、周囲の子供に能力を与え、その子供を使って世界を手にでも入れようかとしている“小竜”の話だ──」
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ナギサと別れ──帰宅途中。
と言っても──家までは数分。
「時にトウカ──追加のコロッケは買わなくてよかったのかい?」
「なんのためだよ──」
「もちろん、帰ってから僕が食べるためだよ」
「まだ、食べるつもりか──十分食べただろ」
「何を言っているんだい──トウカ、あんな美味な食べ物を僕に一枚と半分で満足しろとそんな無理難題を押し付けるつもりかい?」
「俺だって──そんなにお小遣いもらってないんだ、無理言うな──」
「何を解消の無いことを言っているんだい──君は僕の面倒を見たいと言ったのだよ、その責任を放棄した理由を短い文章で僕を説得させるんだね──」
「お金が無い──そう言っただろ。あと、面倒をみたいとも俺からは言ってないからな──」
「それは──そうと、あれは知り合いかい、トウカ?」
ミリスの興味が俺の家の付近に立っている女性に向かう。
「──だれだ、知らないな」
漫画やゲームの世界でしか見たことのない──シスター、黒の修道服を着ている。
眠っているようにずっと目を閉じている。
年齢は20代──前半くらいだろうか。
「──どうも、遅いお帰りですね」
瞼を閉じたまま──優しく微笑む女性。
怪しい宗教、勧誘か──
「行くぞ──ミリス」
「あなたは“神を信じますか”?──トウカくん」
「なんで──俺の名前を──」
糸目というやつだろうか──ずっと目を閉じているのに。
その視線はずっと俺を見ている。
「やっぱ、知り合いだったのかいトウカ?」
「いや──」
知らない──。
「神は信じたものだけを救います──」
「凄いな──神様は信じたらコロッケいっぱいくれるのかいトウカ?」
「ふふ、いっぱいのコロッケですか──可愛らしい願いですね」
「何を言っているんだい、シスター、あのコンビニに売っているコロッケはそう、僕の大好きなハンバーグにも匹敵するうまさなのだよ」
「しかし──“神には”その願いをかなえることはできないでしょう」
「なんだい──神様とはたいしたことないもんだね」
「馬鹿か──神様にお前のくだらない私欲な願いは届かないって言われてるんだよ」
「あなたは神を信じますか?──その願いを叶えない神──そんな神を信仰した私の願いも──救いも与えない──」
「あなたは──神を信じますか?──わたしは神を“信じません”」
「──えっ?でもあんた──」
シスターだろ?
「目に見えるものだけを信じますか?──目に見えないものは信じませんか?」
「なんだ──?」
一瞬──空間が歪んだ気がした。
ミリスも不思議そうに瞳を左右、空へと向けている。
「トウカ──ここは能力空間内だよ」
「能力空間内?」
「私の能力ではありませんよ──能力は能力者以外には見えないと言っても──その様子を見られてしまうのはさすがによくありませんから──この周囲の空間を能力者以外に目視できなくしただけです」
そういったアイテム──そんなものを誰かが作ったのか。
丸いカプセルのようなものを手に持っている。
「それで、なんの用なんだい──シスター?」
「“あの方”にお願いされたのです──トウカくん、あなたを救ってほしいと──」
「俺を救う?」
「──“悪い神”が、あなたを利用していると──」
「がおーーー、シスター、ドラゴンはとっても腹ペコなのさ、君なんて簡単にペロリだよ──怖くて逃げだしてもいいんだよ」
いつもの表情──ミリスは目の前のシスターを優しく睨みつける。




