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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【不運の再会】

 ──迷早リクが入院していたはずの病院。


 その病室に──あの日のあの能力と同じ力を持った男。

 外見は別物──


 廊下に逃げて行ったその男を追う──

 ──妙だ。


 人が居ない──

 別の能力者が居て──

 迷早リクのような別の空間を作りだしたとでも言うのだろうか。



 まぁ──人目が無いと言うのならかえって都合がいい。

 拳銃こいつを自由にぶっ放せる。



 黒い影が現れる──


 誰も居ない病院に──



 「マヨエ──マヨエ──」


 「勝手に喋ってんじゃねーぞッ──クソ野郎ッ」

 ダンッ──手にした拳銃の引き金を引く。


 「ケヒッ──マヨエ──マヨエ──」


 銃弾を受けた黒い影はその痛みを感じていないかのように起き上がろうとする。


 「正せ──その銃弾いたみはその化け物を消滅させるッ」

 その言葉通りに化け物が消滅する。


 「ケヒッ──マヨエッ──マヨエ──」

 背後から新たな黒い影の化け物が数体産まれる。


 「センタク──シロ──」


 「ミギノヘヤハ、オマエニ──コウアツノデンアツ──ヒダリノヘヤハ──」


 いつの間にか──白い正方形の形をした部屋の中。


 詳しく聞いた訳じゃないが──結代トウカが閉じ込められていたという、迷早リクの能力に余りにも類似している。


 あの男が生きているというのか──?


 さっきの男が殺した──のではないのか?


 「死者を操る能力者でも居るのか──馬鹿馬鹿しい──」


 流れる映像──

 映像にはこの病院の本来のどこかの病室──


 全く見知らぬ一般人を人質にその選択の対象としている。



 その誰かを守る義理も無いが──

 こんな遊びに付き合うつもりもない。


 右の部屋へと向かう。



 「ぐっ──あぁ──なるほど──」

 電圧が身体を巡る。

 しかも──しつこく流れ続けている。


 このまま──受け続ければ──



 「ぐっ──」

 自分の頬をぐうで殴る。


 「正せ──俺が本来流れる痛みはそれだ──俺はこの部屋の電圧を否定するッ」

 未だ──流れている電圧の中を俺は何事もないように歩き出す。


 「何処から見ている──」

 俺は部屋をきょろきょろと見渡す。


 「ナゼ──ナゼ──センタクシロッ──」


 次の質問をしようと──スピーカーから声が漏れる。


 映像に見える俺の顔が──映像を映し出している目線と一致する。


 拳銃を向ける──


 「正せ──お前が俺を見るこの空間を否定する」


 ダンッ──



 「ナニ──ナンダ──オマエハ──」


 病院の廊下──

 まだ──この能力者の作る病院の空間内ではあるが──


 「誰だ──てめぇは?」

 迷早リクとは別人。


 誰かが死んだ人間を操っているという訳では無いが──


 たまたま同じ能力者?


 それも二人も同時に──考えにくい。



 「まともに会話ができる相手じゃないとは理解しているが──聞いてやる、その力はどうやって手に入れた──」


 「ゲヒ──ノウリョク──モラッタ──“アノヒト”カラ──」


 「貰った──?この能力を──受け渡しできる──そんな奴が居るというのか──」


 いったい──誰が──これも全部──あの日の事件に──


 「言えッ誰だ──キズナは何処だッ!!その男に聞けッその男の居場所を教えろッ」


 「ゲヒ──ダレ?──ダレダ?」


 「ふざけるなっ──正せ──それは本来の貴様の力ではない──」

 男の額に銃口を突きつける。


 ダンッ──


 「アガァーーーーーッ」

 男がもだえ苦しむと──空間は割れるように──



 ガヤガヤと病室が騒ぎ立っている。



 死んではいない──

 だが──魔力で守られているとはいえ──

 魔力の銃弾でその頭部を貫いた。


 能力は一般人には見えていない。


 それでも──不意に目の前に現れ──

 俺の目の前で狂った男が苦しみ悶えている。


 周囲からしてみれば俺がこの男に何かをしたというのは一目瞭然だ。


 「あの爪の男も──どうにかしておきたかったが──」

 この病院にこれ以上居続けるのは危険だ。


 「キズナ──どんな形であっても俺が正してやる──あれは俺が背負うべき罪だ──どこをほっつき歩いている──てめぇは俺の助手だろ──泣きべそかくまで罵倒してやるから覚悟しろ──」


 「──だから無事で居ろ──」

 俺はただ──誰に向ける訳でもなく呟く。



─────


 

 「なんで──お姉ちゃん、“結代”じゃなくて──旧姓で名乗ってるの?」


 「なんで、仕事でまで──何処行ったかわかんないアイツの名前を名乗らないとならないのよ」


 「天重あましげカイナ──先輩、本気でその名前だと思ってますよ」


 「──天重、こっちも私が親からもらったちゃんとした苗字だよ──」


 「私たちのお母さんも15年後に違う男の子供を孕むとか大概だけど──」


 「あんたの方こそ、どうなの──ユズルとは?」


 「いや──私はいつだってウェルカムなんだよ?いつだって襲われてもいいように身を清めてるのに──」


 「あーいうのは、あんたの方から行かないと駄目だよ──あの手の性格、言葉遣いの奴って、ああいう性格拗らせて、女にも触れた事の無い童貞の場合が多いからね──」


 「やば──いつもお姉ちゃんの言葉って根拠ないなっての多いのに、ちょっとだけ説得力あるかも」




─────



 ──学校──ホームルーム。


 「今日は──転校生を紹介する、男子喜べーー、女子だぞ」

 担任の催稀先生が口元を緩めながら言う。


 「トウカ──女子だってよーー」


 後ろの席のナギサが長い足を延ばし、俺の椅子をコンコンとつつく。


 「しかし──こんな時期に転校生とは──」


 「お前言うな──カリン」


 俺はいつの間にか当たり前のように座る、もう一人の眼鏡女子へ突っ込む。



 「どうもー、錯夜ノアでーす」


 言葉とは反対に怠そうな表情で──赤茶色のセミロングの髪、左側のもみあげにかかる横髪だけが少し長く、その長い横髪を白いレースのリボンを巻いて整えている。


 その怠そうな瞳を俺──そしてその後ろに向かう。


 「やっほーー、ナギサ、久しぶり──」


 「あーーー、まぢで不運だ」


 後ろでナギサが机に突っ伏すようにだれるように崩れる。

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