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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【届かなかった言葉】

 武力ではこの空間は支配できない──


 あの教師の魔力に関与している能力、それを解除するにも一度この空間を解除させる必要があるだろう。


 「で、その正義で討論──評価はしてはいけない、その評価とは具体的にどう考えたらいいんですか?」

 国語の女教師が俺を見る。


 「そうですね──価値を定める優劣を示すような言葉がタブーになる──それらが審判される」

 不気味に立っている鎧を着た髑髏。


 「そして、その審判の騎士があなたたちの言動をポイント、魔力として返還する──タブーを踏まず、私を言い負けさせたのなら、空間は解除される、魔力も皆に返る──また一定時間発言がなく、ポイントを還元できなかった場合も魔力を抜かれるペナルティを追いますから」


 「主語が“大事”ってことですね──この場合の今の評価はセーフということですね」

 ユイがその言葉を堂々と口にする。


 「どういうこと──?」

 ナギサがユイを見る。


 「先ほどの二人みたいに主語なく評価の言葉をすると、審判にそれが女教師への言葉だと判定されるとういことです」


 雑魚──そらは間違いなく教師への言葉だっただろう。

 だが、くだらない──あれはこのゲームはくだらないという言い方をしていればセーフだった。



 「それでは──始めましょうか──正義、その必要性を私に証明してください」


 「評価の言葉無くして──正義をどう証明しろと──」


 「言葉だ──」

 カリンが発言する。


 「言葉?」

 国語の教師と髑髏の瞳がカリンに向かう。


 「正義──それだけで、善悪を評価できる言葉だ」

 善悪のどちらかとは“評価”せずに──

 ギギっと一瞬、髑髏が手に持った剣を持ち上げるが──停止する。


 「さて、それだけで正義は必ずも“正しかった”と言えますか?」

 髑髏は動かない疑問形──正義をそう評価したわけでは無い。


 「私としてはどっちでもいいんだけどね──」

 ナギサは正義と言う概念そのものに興味が無さそうに──

 髑髏がナギサを見るが──その審判は降りない。


 「その正義ことばはその証明──そうだろ、トウカくん」


 「──俺に振るなよ……そうだな、そもそも──その評価のないものを正義と呼ばないだろ」


 「そうですね、結代くん──それはもちろん、でも──私が言いたいのはそれは必ずしもいつも正しく使われていますか?」



─────



 10年前──私がまだ、彼ら彼女たちと同じ学生だった頃。


 私のクラスには誰もが認める──

 誰よりも美人、誰よりも頭がよく──礼儀正しい。

 絵にかいたような優等生、生徒会長の女性が居て──


 私はその一位には遠く及ばない学力は二番手候補。


 そんな彼女の正しさに憧れていた──

 だから──だからこそ──許せなかった。


 「離せよッ──あーー、イライラするッ」


 ガンッガンッと見たことも無い──その憧れていた女性の冷たい目。

 蹴りつけられている生徒──


 いつも正義の味方が助けていたと思っていた生徒──

 身を固めその行為にただ怯えるように耐えている。


 誰も見ていない──そう思っていたのだろう。


 私は私の正義はそんなわたしの正義を裏切った彼女の行為を──

 その私が話した噂はすぐに広まり──



 「どうしましたか?」

 彼女は何も動じず──一瞬にして理解したように私を見る。

 ただ、冷笑するように──


 「──そうですか、この噂は──ねぇ、討国さん──私、何かあなたに嫌われてしまうことしちゃったのでしょうか」

 ただ、落ち着いて──女は言葉を選ぶ。



──────



 「言葉は人を騙し──そして、その言葉で塗り固められ、言葉いつわりで正義を証明する──」


 「“誰かのため”に正しくあれ──それが誰のためか──そこが見えているのなら、それは問題ではないと思いますけど」

 ユイが主語の対象を濁らせるように──

 髑髏はユイの方を見るが──瞳はすぐに元の位置へと戻る。


 「正義、その言葉をあんたが正しく見えてるかそうではないかの違いだ──」

 カリンは国語の教師を冷たく見る。


 「──そうですね、ですが──それで、そんな言葉で私を審判を納得させられると──」


 「そもそも、興味ないテーマを押し付けられて──どうすれと」

 ナギサが机に突っ伏す。


 「な──どうなってるのよっ──ふざけんなッわたしは、こんなのッ」


 髑髏が剣を頭上に掲げる──。


 毒島の身体が薄れていく。

 薄い紫色の火の球だけが残る。


 「発言をしなかったから──」

 そう考えると発言しているとはいえ、俺やナギサは弱いかもしれない。



 しかし、そもそもこの状況でどうやってこの国語教師を論破しろというのか──



─────



 ガンッガンッ──

 屋上に繋がる扉のある踊り場──人目は無かった。

 たまたま、本当にたまたま通りかかった。


 確かにあの女は──自分が虐めから助けた生徒を──そんな彼女に憧れ──その心の内を伝えた男子生徒を──軽蔑するような目で何度も何度も蹴りつけていた。


 そして、勢いが余り、男は階段から転げ落ち──意識を失った。

 彼はまだ、目を覚ましてない。


 自分の内申点のために彼の立場を利用し──

 そんな彼を同じ人間ではないかのような目で──


 「確かに見たんです──信じて──」


 「どうした──何があった?」

 担任の教師が騒ぎを聞いて駆けつける。


 「先生……なんでも──いえ、ここまで来たら正直に話すしかありませんね──」


 やっと──観念した──そう思った彼女は冷たい目で私を見る。



 「これだけは──秘密にしようと思っていたのですが──討国さん、私──本当はあの日見ていたんです──」


 「なにを──?」

 言っている?


 「あの日、あなたが彼に告白されているところ──」


 なにを言っている?


 「しつこく迫られてましたよね──私、後悔していたんです──あなたを助けられなかったこと──彼があまりにも本気だったから──その気持ちだけは邪魔しちゃいけないと思って──私があの時、間に入って──嫌がるあなたのために彼を止められていれば──」


 「何を言って──」


 「さすがに──あなたがそんなことするとは思わなかったんです──でも、ごめんなさい──やっぱりどう考えてもあの場でそれができたのはあなただけ──“たまたま通りかかって”見てしまったのに──」



 「あっ──そういえば、私も討国さんが屋上の方に向かうの見たかも──」


 何を言っている?

 周りがガヤガヤと騒ぎ出し──


 その女はその言葉で正義なにを──証明する?




─────



 「ムキになれば──言葉は崩壊する──正義は遠ざかる──冷静な言葉うそだけがそれを証明する」


 「知っている──」

 カリンは国語教師を見ながら──


 「トウカくん──探してくれ──」


 「探す?」


 「この──討論を終わらせる言葉だ──」


 「そんな言葉──」


 「そんな事ができるのは誰か──考えろ」

 私を信じろとカリンが俺を見る。

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