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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【言葉の牢獄】

 昼休み終了間際──教室へと戻る。

 白竜のぬいぐるみをカバンに収める。


 「よかった──無事だったかアルティーシア、居ないから心配した、しかし随分と遅かったようだなトウカくん」


 「あぁ──今日は珍しく、食堂でご飯を食べてたんだ」


 俺は一度彼女の顔を見て答えすぐ前を向き席に座る──



 「って──カリン?」


 「馬鹿者、何を後ろで騒いでいるトウカ、カリンだ、昨日の今日でもう忘れたのか」


 「いや──ちげーよ、なんで俺の隣の席に──」


 「この席が一番、アルティーシアを監視できるからだッ」

 「トウカくん、君一人には、アルティーシアは任せられない」


 「だから──リヴィとカリン、お前ら自分らの学校は──」


 「無論、私が手続きは済ませてきた──探偵への依頼の件もあったが、私が遅刻した理由はそこにもある」


 「──あぁ、外れた、不幸だ」

 後ろから知らんぷりするように不幸を呪うナギサの声がする。



 「馬鹿者ッ──トウカ、後ろで煩いぞ、理由など常に、気合、根性、そしてど根性それで十分だッ」


 「意味わかんねーよ」


 「──トウカくん、迷早リクの事はもう聞いたな?これはあの、口の悪い探偵とも話をした結論だ──トウカくん、君が私たちを守ってくれる──それも一つの理由だが、君は操られた私たちに狙われた──」


 「あ──あぁ」


 「──そして、迷早を消した、これはあの探偵の言っていた言葉だが、それは何故か──せっかく“外にも能力者が居る”そう視線を反らしたのに、共通する目的がある──そこには必ずトウカくん、君が居るということだ、その証拠を消そうとした結果、彼は消されたと」


 「随分と物騒な推理じゃないか──」


 「犯人の目的が何かはわからないが──互いを互いにかばい合う、そんな関係も悪くはないだろ?」


 チャイムが鳴る──

 そして、5分後にまた授業開始のチャイムが鳴ると──



 国語の女教師──30手前くらいの──

 一番、呼び方、扱いの難しい年ごろ──討国とうこくミズホ先生。


 「それでは、授業を始めます──」

 国語の教師は黒縁眼鏡をくいっと指で持ち上げ教室全体を見渡す。


 「それでは──今日は少し気分を変えて、皆さんと“討論”でもしてみましょうか」


 不意の教師の申し出に少しだけ教室がざわつく。


 「静かに──いいですか、言葉は体を表す──その言葉はその人の行動以上に本質を示す──実に便利な物だと思いませんか?」


 「馬鹿者──くだらん、あたしの本質は気合、根性、そして気合だーーーッ」


 「リヴィ──それ、全部、言葉だ」


 「馬鹿者──あたしが言いたいのはその言葉の中の──こう本質のようなものだ」


 「まぁ、言いたいことはわかる──」



 「そう──そこです、その行為を証明するにも“ことば”が必要なのです」

 国語の教師がいつの間にか俺たちを見ている。


 「うん──“あの人”が言っていたようにあなた達となら面白い討論ができそうね」


 指示棒を国語の教師は伸ばすと──


 カンッ


 黒板を軽くその先で叩く。



 「な──んだ?」


 教室が白い世界に黒い線だけで描かれたような空間になる。

 俺、ナギサ、カリン、リヴィ──そして離れた場所にユイ、シュウ──そして毒島だけがその場所に残され、他の生徒はそれぞれいろんな色の火の球のようなものが、それぞれの居た場所に浮かび上がっている。



 「何をした──?」


 「ちょい、トウカ──これまた能力者じゃない?」



 「別に命のやり取りをするつもりはありません──」

 「ただ、このゲームに負けた場合、どうなってしまうのか──保証はできませんが」


 「どういう意味だよ──」


 「ルールはそうですね──ある“テーマ”に反って、私とあなたたちで討論をしましょう──そこで、自信、そして相手──そのテーマに対する“評価”する言葉を禁止します──あと、この空間で暴力を振るうことは禁止されています、即敗北、この空間に魔力を抜き取られますので注意してください」


 周囲を見渡す──


 「それでテーマというのはなんだ──教師よ」

 カリンが国語の教師を睨む。


 「そうね──正義、あなたたちが定義するこの言葉が果たして正しいのか、“評価”をせずに証明してみてください──それで、私を論破できたのならあなたたちの勝ちです」



 「めんどくせー、先生だろうが、女だろうが関係ねぇー、“雑魚”はさっさと潰してやる」

 シュウが魔力の手甲を作り上げるが──

 その空間からシュウの色が少しずつ薄れていく。


 そして──赤い火の球だけが残る。


 「だから──言いましたのに──でもこれでわかっていただけましたよね」


 「馬鹿者──シュウ、貴様は“気合”が足りん──こんな“くだらない”遊び──あたしが、“気合”と“根性”とそして──」

 そんな言葉の途中──リヴィの姿が薄れていく。

 リヴィの居た場所にオレンジ色の火の球だけが残る。



 「やべ──どの辺が境界線なんだかわからんないけど──トウカどうする?」

 迂闊に言葉がつかえない──言葉を選んでいると何一つ会話が成立しない。



 「さぁ、言葉なしに評価を覆すことはできますか?」

 「私がテーマに沿って投げかけた言葉に10秒間の間に誰か一人が受け答えすれば成立です──できなかった場合、ランダムで一人退場してもらいます」


 「退場させられた、壊島とあの女はどうなったんだよ」

 巻き込まれている毒島が国語の教師へ言う。


 「魔力を失い──魂を失ったような状態と言うところでしょうか」


 「相手や自分──テーマを評価するなということか、それ以外には許される」

 俺はそう整理するが──


 「言葉、一つにも意味合いが違う──私にとっては評価に値しない言葉はどうなる?」

 カリンが国語の教師を見る。


 「──それは彼が判断します」

 いつの間にか教室の隅に立っている、鎧を着た髑髏のような化け物。


 「──それは、私も同様──」


 「それでは、そろそろ討論を開始しましょう」

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