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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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31/57

【だから仲直りは簡単だ】

────


 ダンッ──


 甲子園予選の大会。

 金髪の男の球が俺のキャッチャーミットに収まる。


 それは俺の望む結果かそうではないのか──

 予選はあっという間に決勝戦まで勝ち進む。


 準決勝の勝利──

 その勝利を祝福するように金髪のピッチャーに肩を抱かれながら──照れ臭そうに笑うマネージャー。


 そうだ──人生など、そんな簡単な訳がない。


────




 「うおおおおおっ」

 傍から見ればもはや、暴力的な競技。


 リヴィがそのタマゴリラの投球を受け止める。


 「ほう、気合と根性は乗っている──だが貴様の投球にはまだ──気合が足りていないッ」


 「乗ってねぇーのかよ、気合──」

 能力を駆使しながらも、苦しそうにボールを受け止めていた俺はそうリヴィへとつっこむ。


 「気合も根性も──人生も乗せたッ──もう一度、俺の努力をその結果を取り戻そうとしたッ」


 「だったら、なぜ──あたしにそれが届かん言ってみろッ──それは根性だッ!!」


 「お前が先言うのかよ──しかもそっちも載って無かったのかよ」

 この際、つっこみに専念しておく──


 「受け取れっそして投げ返してこい、マタゴリラーーーーッ」


 「いや、タマな?あと、本人にはいうな──リヴィ」


 ダンっとタマゴリラが掴みそこなった球が宙に浮く。

 それを右手で握りつぶす様に掴み取る。


 「その──チャンスは奇跡だと思った──そのチャンスは神が俺に与えた最後のチャンスだと思った」


 激しい投球──苦しそうに顔を歪ませるリヴィ。

 受け止めきれずに左肩を強く打ち突けるようにボールが左斜めに飛んでいく。


 受け止めきれない──これ以上の魔力の消費は──リヴィの投球にも影響する。


 ペナルティにドッヂボールのルールが適応されるというのなら──


 「トウカ──貴様はなにをッ」

 俺は結界床と対になるように少し高い場所に発生させると、それを足場に高く飛び上る。


 キャッチすることはできない──ただ俺はそのボールに右のてのひらをふれる。


 ダンッ

 ボールが壁にぶちあたる。


 「ぐっ……うぁーーーッ」

 能力──そのルールは絶対のようだ。

 激しい苦しみ──魔力が消耗されていく。



 「馬鹿者──トウカ、だが──中々にかっこよかったぞ」

 リヴィが俺のそばに転がったボールを掴む。



────



 『2対1──9回の裏──2OUT満塁──』

 抑えきれば俺たちの高校の勝利。


 勝てば念願の甲子園。

 遊び半分で──すべての期待を背負った金髪の男。

 だが、そのプレッシャーに今にも押しつぶされそうに──


 「ターーーイムッ」

 監督の声が響き渡る。


 「やれるか──?」

 目線が定まらない金髪の男。


 「なに──まじになってんだよ──俺はついこの間までボールをまともに投げた事なかったんだぜ──そんな責任、俺におしつけてんじゃねーよ」


 「ふざけるな、お前にとっては遊びでも──こいつらには最後の舞台だ、その責任を一球をお前に託すんだ」


 「ば、馬鹿馬鹿しい──いいだろ、負けたって──」


 「──監督──最後の一球、俺に投げさせてください」

 俺は前に出る。

 これまでの努力──これまでの人生を全てこの一球に──。



 カキ───ン。

 白い球が俺の頭上を高くとても高く通り越していく。


 しかし──そんな奇跡チャンスなんて言葉は──

 俺が投球した相手チームのバッターに与えられた。




────



 「そんなチャンスは二度とやってこない──届かなかったものは二度と届く訳が無いッ」


 「狂人化バーサクモード──良いか、マタゴロウッ」

 もう──誰だよというレベルだが。


 「貴様の想いが届かなくとも、生徒ほかおもいを届かせるのが貴様の役目ではないのかーーーーッ!!」


 リヴィの髪が真っ赤に逆立つ。


 目にも終えぬような一投。


 タマゴリラの身体にぶつかると同時に球が破裂するように消滅する。



 「これが、気合──根性、そして気合だッ!!」



 タマゴリラの身体が白目をむくように──吹っ飛ぶ。



 (あぁ──そうか──そうかも──知れないな)


 タマゴリラが体育館に倒れる。


 3時限目の終わりの合図。

 そんな二人+αの対決を横目に見ながらもクラスメイト達は体育館の外へと出て行く。


 「さぁ──勝負の続きだ、シュウ──」

 体育館を去ろうとするシュウにリヴィが暴れたり無さそうに叫ぶ。



────


 昼休み──学食。


 「今日は日替わりのハンバーグ定食──ミリスちゃん好きでしたよね?」


 「うん──好き、むしろ大好きまである」

 白髪、女子高生姿のミリス。


 「たべないの?冷めちゃいますよ?」


 「うん──食べたい」


 「お腹空いてない?お腹痛い?」


 「ううん──腹ペコ」


 「じゃぁ──」


 「──トウカ、居ない」

 「──トウカ、一緒に食べるともっと美味しい」


 「あら──困りました」



 空いていたミリスの隣の席に影が降りる。


 「隣──いいか」


 「ん──?」

 ユイとミリスが見上げる。


 「冷めたら美味しくないだろ──こっちの食べろ」

 ハンバーグの乗った皿を交換する。


 ミリスは嬉しそうに笑い。


 「なぁ──トウカ!!」


 「ん?どした──」


 「ハンバーグ、旨いな!!」


 「あぁ──」



 だから──仲直りのきっかけなど──簡単だ。

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