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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【届かなかった球】

 学校 3時限目──体育の授業。


 「気合、根性──そしてど根性だッ!!」


 体育館をネットを引き半分に分け。

 男子はドッチボールの授業。

 女子はバレーボールの授業をしている。


 リヴィの投げたボールが敵チームの生徒を吹っ飛ばす。

 味方チームに居るととてもありがたいのだが──


 「リヴィ──お前は隣でバレーをするべきだ」


 「馬鹿者──トウカ、お前が私抜きでアイツら、シュウを出し抜けると思おうかッ!!」


 「俺は、今さっきのリヴィの転入発言が受け入れられていることにびっくりだが──」


 「うらーーーっ、あたりだぜッ狂羅ッ!!」

 リヴィの身体にシュウの投げたボールが当たる。


 「馬鹿者ッ──効かん、全くキサマのそんな一撃、全く効かぬわッ、どうした、もっと撃ってこいッ」


 「いや──狂羅、コートの外でろよッ」


 「なぜ──あたしが外に出る、シュウ─キサマのそんな攻撃全く効いていないと言っているッ」


 「ルールは守れよ、狂暴女ッ」


 「ほぉ──その暴言、あたしへの挑戦と取っていいのだな──おい、キサマ等、ボールを追加しろっあるだけ持ってこいッ!!」


 「いや──リヴィ、競技が破綻する」


 体育教師──球豪きゅうごアキラ。

 野球部の顧問もしていて、学生時代は甲子園手前までいった成績を持っているらしい。


 あだ名は、タマゴリラ──その体格と名前からつけられた。

 すでに、昨日リヴィに一度ぶっとばされ、会っているはずだが──

 脳筋のリヴィはもちろん、タマゴリラ本人もそのことを忘れているようだ。


 それに、リヴィが当たり前のように俺らの授業に参加しているというのに──


 そんなことを考えていると──タマゴリラがこっちへと近づいてくる。



 「よし──狂羅、だったなら勝負しようじゃないか」


 「ん?だれだ、貴様は?」


 「教師だよ──体育の教師」


 「馬鹿者─ッ、あたしは貴様との勝負になど興味はないはッ!」


 「そういうなよ──お前たちになら“見えているんだろ”?」

 タマゴリラが持つボールが赤黒いオーラを放っている。


 「能力者か──」

 俺はため息交じりにボールを見る。



 「ルールは簡単だ──ドッヂボールのルールで──ボールを受け止められなければそれ相応のペナルティが与えられる──どちらが最後まで立っていられるかだ」

 「結代──おまえもだ、俺とおまえら二人で勝負だ」


 結局──巻き込まれる訳か。


 能力の無い傍から見れば──ただのボールのぶつけ合い。

 男子の数人は女子に交じりバレーをはじめ、数人は見学として残る。





────



 カキ───ンッ


 晴天の空に白い球が浮かび上がる。


 高校野球──青春。

 ベンチに立つ、美人マネージャー。


 そんな密かな恋心も内に閉じ込め──ただ、練習に打ち込んできた。

 そして、その努力の末、つかみ取った、先発ピッチャー。



 「きゃーーーーー」

 そんな歓声、ピッチングの練習をしている俺に対するものではなく。


 隣のサッカー部。

 髪を金髪に染めた男が練習そっちのけで、後輩の女子にリフティングを見えつけている。


 関係ない──俺はこの腕でチームを甲子園に──

 そして、その時は──彼女マネージャーへ──その心の内を──



────



 「どうした──狂羅、その程度か」

 狂羅のボールをタマゴリラがキャッチしている。


 コートの中にはタマゴリラ一人。

 そして、対するコートには俺とリヴィだけが立っている。


 「今度はこっちからッいくぞーーーッ」


 「受けてたーーーーつッ」

 


 「ぐっ」


 「馬鹿者ッ─トウカッ!!」


 俺は得意でもない競技──それでも二人の間に割って入る様に結界を両手に巻き付けボールを受け止める。


 「なるほど──ボールを受け止めるだけで魔力を吸い取られるようにダメージが入る訳か」


 ──ボール、自体がタマゴリラの能力になる。

 だが、ボールは赤黒いオーラを放ったまま──

 さすがは元、球児──スポーツマンシップに乗っ取り、自らも同じルールで勝負している。


 「よし──任せろ、トウカッ」

 俺は黙って、その球をリヴィへ受け渡す。


 「制裁ッ成敗ッそして──制裁だッ!!!」

 その激しい一撃を──タマゴリラは腹にめり込ませながらも受け止め──

 られず、ボールが床へと落ちる。


 「ぐぅ──うぁーーーー」

 タマゴリラが体育館中に響き渡るような声をあげる。


 「──ペナルティ、本来以上に魔力が削られるということか」


 「ルールはどちらが先に倒れるかだ──まだ、勝負は終わっていないぞ」

 タマゴリラが転がったボールを掴み取る。




────



 カキーーーン。


 響き渡る俺の青春の音。

 ビジンマネージャーは今日もそんな俺たちの俺の練習を見守っている。

 もしかしたら──彼女も──


 「ねぇ──君、めっちゃ美人じゃん、ねぇ──あんな暑苦しい奴ら見ててもつまんないっしょ?俺とどっか遊びに行こうよ、丁度、行ってみたいオシャレな喫茶店あるんだよね、ねぇ、どうかな」

 金髪の男──


 「離して下さい──」


 「ねぇ、一日、一日でいいからさ──付き合ってみようよ」


 「私、野球の上手い人にしか興味ありませんからっ」


 「ふーーーん、じゃぁ、やってみようかなーー、野球」


 馬鹿が──そんなサッカーもなぁなぁの貴様に──

 ──今さら、野球のレギュラーになんて。


 ──


 ──なんだ?  ──なんで?


 「それじゃ──球豪、お前は明日から控えだ──明日からお前が先発のピッチャーだやれるな」


 ──なんだ、どうして?

 ──マネージャーがあいつと取っていた距離も近くなった気がした。



────


 「努力──魂を込めた一球──なぜ、なぜ届かないと言うのだっ」


 ダンッ

 俺はその一投を受け止めようとするが、翡翠色のオーラを纏う両腕ではさみこんだボールは腕を抜け、身体にぶつかると──天井高くまでボールが浮く。


 落としたら──やばい。

 それだけは理解する──が、その球が身体にあたっただけで酷い苦痛が襲う。


 「馬鹿者──よくやったぞ、トウカ」

 そのボールをリヴィがキャッチする。


 「届かぬなら届くまで投げればよいッ」


 「投げた結果だ──チャンスは二度とやってはこないんだッ」


 「気合、根性──そして気合だーーーッ想いというのはそれだけで十分に伝わるもんだっ」


 「思いは残っても──残せる結果は変わらないんだッ」


 リヴィの投げた球を後ずさりながらもタマゴリラが受け止める。

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