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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【言葉を残して】

 「トウカくん──姉は同等の評価を得るにはどうすればよかったと思う?」


 「──たぶん、俺には出来ないが──きちんと口に出すべきだった──とか」


 「そうだな──トウカくん、その姉はそうそれを言葉にした──だから壊れたんだ」


 「だから──壊れた?」


 「不当な弟より自分は努力している──だから私を評価しろと、そう弟も居る前で両親に──そうでなければ自分はもうおまえらの評価を受けるような結果を産まないとね──」


 「それで──」


 「それで──どうもしないさ、だから壊れた──姉は努力は続けた──でも結果は出さなかった、テストでもわざと不正解をえらんだ──かけっこでもわざと最後で手を抜いた──評価、その言葉の意味するものに見合っただけの自分を演じた」


 「──だったら壊れたのは、犠牲なのは──カリンだけだろ」


 「いいや──親は私の事も──弟のことも評価しなくなった──姉の言葉はその二人の評価を壊した──両親の評価を壊した」


 「壊したって──」


 「会話がなくなったのさ──その家庭から言葉が無くなった──」

 「誰もが、その言葉に──言葉の結果に責任を終えなかったのさ──」



 「別に──それがそういう結果だったってだけじゃん──あぁ、いてぇ、トウカ──私の肩どうなってる、ちょっと見て見て、ほらナギサちゃんのブラちらチャンス」

 ブレザーの中のワイシャツの上からふたつボタンを外し負傷した左肩を見せてくる。


 「あれ──空気読めなくてごめん、でもさ──求めた結果、言葉にした結果でしょ?」


 「だから──そのせいで、私が家族を壊したと言っている」


 「でも、それってカリンからすればって話じゃん」


 「どういう意味だッ」


 「まんま──あっ、私──カリンからの評価、どうでもいいから言っちゃうけどさ──今の話を聞いてる限り、それは両親の評価が姉弟を壊してるし、弟の言葉あまえが原因な訳でしょ──」


 「弟は──病弱でッ──ナギサ、お前は私の弟を──ッ」


 「じゃぁ──カリンは弟に何を感じて、両親にそれは不当な評価だと訴えた?」


 「まぁ──他人からの評価なんて価値、私にはわからないからさーーー」

 「ほら、トウカ──嘘でもいい、今にも死にそうな私に慰めの──愛の囁きを呟いてみてよ──」


 「どういう話の流れだよ──」


 「私にだってわかるかもしれないじゃん、言葉の大切さ」


 「なんて言えばいいんだ?」


 「──愛してるよ……とか?」


 「なんで嘘つかせるんだよ──」


 「嘘でもいいっていったじゃん──あぁ、そうですか、そうやって命がけの私にトウカは労いの言葉一つくれないんですね」


 「な、なんでそうなるんだよ──嘘でいいんだな?」


 「あ──あ……いし……てる」


 「動揺しすぎだろ──あと、最後にナギサくらいつけろ、はいやり直しー」


 「あ──愛してるよッ……ナギサッ」


 カチッ


 「おいっ──今、カチッて音しなかったか?」


 「え──そう?」


 「おい──今、胸の谷間に何隠したッ」


 「何も隠してないってうっさいなぁ」

 そう乱れた衣服をナギサが戻す。



 「さて──エネルギー充電、やられたら、やり返す──いっくぜぃ」

 いつものノリ──片足のつまさきを立て、ぴょんぴょんと跳ねる。


 「何度やっても同じだ──ナギサ、私の言葉のうりょくがお前を否定するッ」


 「悪いけど、漫画やアニメを頼りに独りで生きてきた私にはさ──愛より深い言葉は知らないのさッ」


 最後の水をぶちまける。


 「形どれ──突き刺さるナイフ」


 周囲にはもうカリンの身を護る机は無い。


 「──水へと還れ」

 透明な刃がそれを払う。


 水がカリンの足元へと落ちる。


 「形どれ──水蛇ッ」

 床に落ちた水がそのまま水蛇に形を作る。


 水蛇がカリンの足元へと絡みつく。


 「なっ」

 その水蛇のしっぽを駆け寄ったナギサが引っ張ると──

 バランスを崩すカリンが膝をつく──


 だが──


 「重力よ──3倍となれ──」

 自分を中心に半径──3Mくらいがその領域になる。


 「くっ──」

 ナギサがその領域の手前で止まる。


 「ナギサ──後ろだッ」


 「ん?──さっすがトウカッ」


 ナギサがカリンの方を向いたまま後ろに高く飛ぶと後ろにある透明な壁に両足を引っ付け、その壁で足のばねを生かしさらに高く、3Mよりも高く──天井スレスレの高さに飛び上る。


 「な──なんだと」

 カリンの頭上──高さ3Mの位置からその領域にナギサが踏み込む。

 突き出した右足、ナギサの身体は3倍の重力に引っ張られる。


 カリンの右腕は自ら作り出した重力であがらない。


 慌てて重力を解除するが──一度重力に引き寄せられた身体の勢いは収まらない。


 その重い一撃を──カリンは受け、教室と廊下を隔てる壁に激突する。


 そのまま壁を背に座り込むように──



 「私たちの勝ちだ──トウカッ」


 「あぁ──」


 俺はナギサの方へナギサは俺の方へと歩く。

 すれ違いざまに──互いの右のてのひらを互いの頭上の高さでパチンッと音を立てるように重ね──立ち位置を入れ替える。


 それは勝利への祝福か──こっから先は俺の仕事だと言いたいのか──


 俺はそのハイタッチ後の右腕に魔力を送る。



 「──負けたのか──私は」


 「まだ──やり直せるだろ」


 「──壊したものは、元には戻らないものさ」


 「だが、カリン──お前はまだ言葉を送ることはできるだろ」


 「ふふ──案外、お節介なんだな──トウカくん」


 「人の学校に名指しで殴り込みに来ておいてよく言うな──だまって頬をだせ」


 「優しく──してくれよ」


 「あぁ──」

 そう俺はカリンの頬へ触れる。

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