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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【愛より深い言葉】

 「言日岐さん──だったか?」


 「カリンでいい──私も君をトウカくんと呼んでいる」


 「だめだよ──好感度達してないでしょ」



 「えっと──カリンさん」


 「カリン──でいい」


 「だめだって言ってるのに──」

 ナギサだけが不快そうに俺とカリンのやり取りを見ている。


 「最近までは俺も──他人の評価なんてクソくらえくらいに思ってたんだけど──カリンの悩みがなんなのか──俺には解らないし言えた義理もないけどな」

 「同じように──努力が評価されないって──仲間が居て、でもその周りの期待に振り回されて自分自身を見失っちまっててさ──」


 カリンは黙って睨むような瞳を俺に向ける。

 ただ、俺の声を聞いている。


 「私はそんなに立派な人間ではないのだ──トウカくん、私はその誰かのように誰かの期待のために結果を出したのではない──その結果に評価たいかを求めた愚かな人間さ──」


 「だってさーー、トウカ、試しにトウカも私のこと、褒めたり労ったりしなよ、この前みたいに可愛いって言ってもいいんだぞ?」


 「だぞ?じゃねー、やだよ、おまえ、また録音してそうだし」


 「ひっど──今、こんな場所で、それに持ってるわけないじゃん」


 「評価に興味ないんだろ──」


 「あーー、トウカはそうやって私を突き放すんだね──こうしてナギサちゃんは捻くれていくのでしたー」

 「いいよ──トウカも、ああ言ってるし、私が評価なんてもんは否定してあげる──カリン」


 「──ナギサ、あんたはどうせそういった不当な評価など見ずに平和に育ったのだろ?」


 「どうかな?案外ひどいぜ──私の評価じんせい、なんて言ってもいじめられっ娘ですからねぇ、まぁ──そんな自分をそう評価もそんな誰にも無関心に生きてきたんだけどさ」


 「──こんなに戦えるのなら──そんな評価、いくらでもひっくり返せただろ」


 「まぁね──最初は悔しくて、漫画や映画で見た格闘術めっちゃ独学で勉強してさ──そいつらをみかえしてやろーとは思ったんだけどさ──なんかいつでもこんなやつらどうにでもできるかもって思ったら、めんどくさくなって、評価なんてどうでもよくなった」

 独学だったのかよ──

 ナギサの恐ろしさを改める。


 「そんなことに時間使うくらいなら──好きな事に時間使いたいじゃん?」

 「で──どうする?私は別に言葉で決着をつけようなんて器用な人間じゃないからさ──」


 ナギサとカリンが同時に構える。


 「跳べッ」

 椅子を飛ばす。


 ガンッ


 「あぶなっ」

 片足だけで椅子を蹴り飛ばす。


 「今度はこっちから──形どれ突き刺さるナイフ」

 同時にナギサが地面を蹴り上げる。


 「浮けッ」

 カリンに斬られた机が浮く。

 最初に見た光景、創り出されたナイフは浮き上がった机に防がれるが──


 「跳べっ!!」

 ナギサが机の面を足裏で蹴りつけると──机はカリン目掛け落下する。


 「──跳べッ」

 さらにカリンが落下してきた机を斬る。


 「水蛇──」

 残り少ないペッドボトルの水をぶちまける。


 「おっもぉっ」

 水蛇を椅子の時のように机の脚に巻き付け──そのカリンの能力の遠心力を利用し、ぐるりと身体を旋回させながらさらに投げ返す。


 ──ハイレベル過ぎる。


 「砕け散ろ──跳べッ」

 水蛇が絡みつく脚の部分一つを残し──

 ばらばらになった机の部品がナギサに向かい飛んでいく。


 ──諦めていない瞳、まだ策を持っていそうなナギサを見る。



 「ぎゃーーーーッ」

 一周回って可愛い悲鳴をあげた。


 ガンッカンッカンッ


 「は──へ?」

 透明な板に遮られるように机の部品が落ちる。


 「魔力は消費するが──結界を作りなおせば幽体化は戻せるようだな」


 「本当に厄介な結界だな──」


 「それを否定されたら本当に俺の価値がなくなっちまうからな──それにカリン、あんたの能力の方が驚異的だろ」




 「おい──こら、私抜きに互いに互い褒め合ってんなよ──あぁ、やっぱカリンの言う通り評価されないってきついのかもね──なーーんてねッ」


 「やられたら──やり返す──」

 残っている机の上を移動するように──素早く机に飛び乗りながらカリンの場所を目指す。


 「跳べッ」

 そんなナギサの移動を喰いとめるように机を斬りつける──


 ダンッと同時にその斬りつけた机を同時に踏みつけ高く飛び上る。


 単純な蹴り、それでも狂羅やシュウ同様に、その蹴りには魔力が乗っている。


 「重力よ──3倍にしろっ」

 空を斬る。


 「なぁ──はぁ?」

 蹴りがカリンに届く前にナギサの身体が落下する。


 俺の場所までは届かない。

 彼女たちのいる半径3Mくらい──


 もちろん、カリン自身もその重力の圧で追撃はできない。

 通常であれば──


 「跳べッ」

 透明な刃がナギサの左肩辺りを貫いている──


 「いっつぅーーーッ」

 3倍の重力で刀の突きさす方向に突き飛ばされるように──

 直線状にあった机や椅子を背中で弾き飛ばしながらナギサの身体が俺の傍まで吹っ飛ばされる。

 


 

 「おいっ──ナギサっ、大丈夫なのか?」


 「いったぁ──死んだかも──」

 軽口を叩ける元気はありそうだが──



 「なぁ──トウカくん、親に不当に──不当に産まれそんなハンデの中で生きた人間とそんな弟と比較され不当に評価を得た人間はどうなったと思う?」

 「どちらが壊れたと思う──」


 「姉の──方か?」

 その話の流れから──


 「両方だよ──両方、私が壊した──」

 得意げに──寂しそうにカリンが笑う。

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