表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/50

【最高に強くて、可愛かった】

 「良く言ったシュウッ!良い気合いだ──評価しよう全力の全力で相手をするっ」


 立ち上がるシュウに再び狂羅が振り返る。


 「俺が負けたのはトウカ──お前が最初で最後、行くぞ狂暴女ッ」

 力では狂羅、技術ではシュウ。

 直撃を回避するようにシュウは身体を動かし、狂羅はシュウの攻撃を受けながら──ただその拳を振り回す。


 見るからに──優勢になってきたのはシュウのはずなのだが──


 「狂人化──あーーーーーッ」

 子供を持ち上げるようにシュウの身体を両手で持ち上げる──そのまま


 「ぐぅ──がぁ」

 そのままシュウの身体を頭上で持ち上げたまま、周りの机を巻き込むように背中から倒れ、シュウを背中から床に叩きつける。


 ガシャーーンッ

 そんなシュウが叩きつけられる大きな音だけが教室に響く。


 静まり返る中で狂羅だけが起き上がる。


 シュウはぴくりとも動けない。

 無理もない。

 あんなバックドロップ、やらせのようなプロレスのテレビの中継でしか見たことがない。


 「──おい、終わってねーぞ?そう簡単に何度も背中見せてんじゃねーよ」


 「うむ──面白い、面白いぞ、シュウ」


 「ようやく名前も覚えたみてーだな、認められたってことでいいか?」


 「あぁ──認めようッ、さぁかかってこいッ──トウカッ!」


 「俺はシュウだよっ──わざとか、狂暴女──いや狂羅」


 「そうだな──シュウ」

 お互いにきちんと名前を呼ぶ。


 「いくぜ──俺も馬鹿だから、ただ殴ることしか、てめぇへの勝ち方はわからねーけどなッ──狂羅ッ」


 「それでいい──全力でこいッ──シュウッ」

 狂人化はしていない──それでも互いの頬に互いの拳が食い込んでいる。


 「くっ」


 「うむっ」


 狂人化──一時的に身体能力、主に筋力を強化しているのだろう。

 瞬間的とはいえ、その魔力の消耗は激しい。

 使える回数に限界もあるだろう──


 何より──使用後──俺たち能力者にとってHPとMPの両方に等しい魔力を消耗しているということだ。


 狂羅が一歩後ろに後退し──膝を折る。


 だがシュウも同じような姿勢──互いに限界は近い。




────


 「なぁ──リヴィア、お誕生日プレゼントは何が欲しい?」

 あぁ──これはあたしの別の誕生日の時の記憶だ──


 なんでこんな時に──


 可愛い服が沢山並んでいる──

 母の横に並んで服を見ている。

 あたしに似合うとか憧れとか──そういうのは無かった。

 たぶん──それは本当。


 でも、母とそれを眺めているのが嬉しかったんだと思う。

 あたしは女の子なんだって──許された気がした。


 「おい、何してる?リヴィアはそういうのよりこっちのが好きなんだよな」

 男の声──日本人の男──父の声。


 隣接する二つの店を繋ぐ通路──男性と女性の服とで店舗を分けている。

 男がそんなあたしと母を男性服の方へと誘導した。


 「うん──お母さん、あたしあっちの方がいい──」


 だから、あたしは命一杯にあたしを演じるんだ。


 ──だから、これがこの物語の主人公あたし



─────



 ガンッ

 ドスッ


 再びお互いの拳が互いの頬を殴る。

 もはや、シュウも回避に体力を回す余裕もない。

 互いに拳を突き出すだけ──


 「狂人化──」

 シュウが体制を整えるより先に狂羅が動く。


 ガンッ

 卑怯だとは思ったが俺の作った透明な板がそれを防ぐ。


 「二体一……よい、実によい──強敵あたしと認めたのだな──こんな状況こそ主人公わたしに相応しい──かかってこい、シュウ、トウカッ」


 「勘違いすんな──俺はてめぇしか見てねーぞ、こらぁーーっ」

 シュウが再び手甲の右腕を振り上げる。


 「あぁーーー、可愛いなんていらない──それがあたし、これがあたしのすべてだ」


 何度目か──お互いの拳をいお互いで受け止め合う──狂羅とシュウ。


 お互いに一、二歩後ろに下がり、後ろに倒れそうな身体を持ちこたえる。



 「くそ──」

 震える足──

 バタンッと先にシュウの身体が後ろに倒れる。


 「なんで──そんなに自分かわいいを否定するんだよ」


 「それは──あたしではないからだ、トウカ」

 顔を向けるのがやっと──狂羅の瞳が俺を見る。


 「なんでだよ──俺なんかの言葉じゃ価値はねぇと思うけど、十分に女として可愛いだろお前も」


 「だから、その価値は不要だと言っている──あたしに求められる価値、それはあたし自身が一番に知っているッ」


 「でも──俺がお前を見る価値には少なくとも可愛それはあるぜ?」


 「トウカ──あたしが今さらそんな言葉を求めるとでも思うか?」


 「さっき言ってだろ──狂羅リヴィア、その言葉が大好きだって……だから、お前じゃなくても、望んだ相手じゃなくても──言ってやる、狂羅リヴィア、おまえ可愛いな──」


 「ばかものが……」

 弱々しい声。


 「まぁ──俺はお前のその馬鹿っぽい台詞も、勢いだけで突っ走る性格も好きだけどな──俺たちもそれを受け止めてやるから、お前は可愛い──それも含めてお前だ受け入れろ」


 「──ばかものが……」


 「トウカ──あたしは今、シュウとの激戦で腕ひとつ上げる事が出来ん──キサマごときがあたしの頬を触れることができるのは今だけだぞ──」


 「──少し、卑怯っぽいけど、遠慮しねーぞ」


 「あぁ──全力でくるがよい、トウカ」


 「あぁ──狂羅リヴィア──最高に強くて──可愛かったぜ」

 俺はそんな──狂羅の頬に軽く拳で触れる。


 「あたしの──負けだ……トウカ──シュウ」

 狂羅の瞳から不穏な魔力が消える。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ