【最強に可愛い女】
「おいっ──トウカ明らかになんかやべーぞ」
明らかにパワーが数倍に跳ね上がっている褐色の金髪から赤髪に変化した女性。
「気合、根性──そしてど根性ーーーッ!!」
「気合と根性なんて言葉ですむ狂人化じゃないよな」
俺の張った結界にその渾身の一撃を振り下ろす。
「くっ──」
その拳が透明な結界にめり込んでいくようにヒビ割れを起こす様に結界が崩壊していく。
「トウカッ──大丈夫か?」
「なんとか──でもこのままだと押し負けるッ」
再度魔力を送り結界を補強しひび割れを消し去るが、魔力の供給が遅れるとすぐに崩壊を再開する。
「女性と喧嘩すんのは流儀じゃねーけど、しゃーねーよなぁ」
俺の結界破壊に夢中の褐色の女──狂羅リヴィアだったか。
シュウは狂羅へ手甲を振りおろす。
「馬鹿者──ッ、そんな気合の足りない攻撃──全く効かぬわぁーーーッ」
明らかに、シュウの一撃で膝を一瞬下げながらも気合で持ちこたえる。
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あ───、確かこんなこともあったけ───
「どうしたんだい、狂羅、今日は随分と女の子らしい恰好じゃないか?」
「ま──まぁ、今日はその──先輩と…で、デートだから──どんな格好がいいかわからなくて──」
「え?何もいいのに──いつもみたいな恰好で」
「でも、先輩──結構、周りからも人気あるし──せめて釣り合うくらいに」
「狂羅はいつも通りでも十分イケてるって──それに、俺──結構、男からは敵作るタイプでさ──《《いつものような》》狂羅が隣に居た方が安全でしょ」
そう──あたしを証明できるのはいつもそんなあたしだった。
────
「そうかトウカ──それにシュン、確かに覚えたぞ」
「あ──いや、そいつシュウな?間違ってるからな?」
そうシュウの名前を訂正しておく。
狂羅の髪の色と瞳の色は元に戻っている。
狂人化──持続時間はそこまで長くないということか。
「さぁ──シュン、勝負──キサマの気合と根性、見せて見ろッ」
「だから、シュウだって──トウカが言ってたろ、あぁ──受けて立つ」
互いに肩の上で手のひらを合わせ、互いの指の間に指が入る様にがっしりとつかみ合い、力比べを始める。
「卑怯者が──ッこの手甲ッ手が掴みにくいではないかッ」
「あたしには嫌いな言葉が三つある──わかるかッ?」
「わからぬならっ教えてやる──卑屈、怠慢───そして無駄だッ!!」
「さっきと変わってんじゃないか──しかも卑怯がはいってない、狂羅、あんた勢いで頭に浮かんだワードを叫んでるだろ」
俺はそう言いながら、両手に結界を巻き付ける。
「狂人化ッ──」
互角を保っていたシュウが──押され始める。
耐えて居はいるが、完全に背中が反りはじめ、後ろに押し倒されそうになっている。
「そのまま──シュウ、その腕を離すなよっ」
「くそ、無茶言いやがって──いいぜっ……わかったよ相棒ッ」
狂人化した女の力──ぎりぎりその力比べに耐えるシュウ。
俺は翡翠色の魔力を纏った腕を振り上げる。
「馬鹿者───ッ」
「ぬぉッ」
押し込まれていたシュウの身体を今度は逆に狂羅は引っ張りあげるように持ち上げると、突っ込んでいった俺の身体目掛け、シュウの身体を放り投げる。
俺の身体にシュウの身体が背中からぶつかり一緒に背中から倒れる。
「シュウ──どうする?相手が悪すぎる──ここは一旦引いて、みんなと合流するか?」
「トウカ──俺には嫌いな言葉が3つある──」
「敗北、降参──それと、断念だッ!!」
シュウは起き上がる。
「そして、好きな言葉は──」
「根気、忍耐───そして──ど根性ッ!!」
手甲を構え、シュウが地面を蹴り上げる。
「よく言ったぞッ──シュン、そうだ、その言葉はあたしも大好きだ、気合、努力、そして勇気ッ!!」
類は似ているかもしれないが、全く違う言葉を並べる狂羅。
ガンッ
ドンッ
お互いの拳がお互いの頬を捕らえている。
「ぐっ──ぐはっ」
その重い一撃にシュウの身体が廊下を転がる。
「──く」
狂羅も涼しい顔を保って見せているが数歩下がったところで膝に来ている様子がわかる。
狂人化が解けるようにその髪と瞳の色が戻る。
「ほぉ──立ち上がるか、シュウ……いや、シュンッ!」
「いや、俺の名前──最初のがあってるって」
「まぁ──立ち上がることをやめたら、自分を否定したことになるからな──悪いがゾンビのように立ち上がるぞ、俺はッ!!」
拳を構え、地面を蹴り上げる。
「だが──その拳はあたしが上だッ!!」
ブンッと空気を斬るような音ッ
鋭い拳がシュウを襲う。
「確かに力では負けている──けどなっ」
小柄な身体を生かし、シュウがその一撃を一度見て、その拳から身を反らし手甲を狂羅の身体に叩き込む。
「よくやった──よくやったぞ、シュン──いや、シュウッ!!」
「だから──俺はシュ……いや、あってるのか」
「だが、シュウ──あたしもまだ倒れんぞ、どうした、もっと、もっと打ってこいッ」
「遠慮しねーぞ、おらーーーっ」
「こちらも遠慮はせんッ」
再びお互いに素早く強力な拳を突き出す。
シュウが身体を反らしそれを回避し──
狂羅が──その拳を外し、ボディにシュウの手甲を受け止めている。
二発目──さすがに若干白目を浮かべている狂羅。
「強かったぜ──狂羅」
そう相手に称賛し勝利を確信しようとするシュウ。
「まだだ、シュウッ」
「なっ?」
「狂人化──うらぁーーーっ」
奥に教室のある壁に頭を掴んだシュウの身体を叩きつける。
「ぐぁっ──ぐぅっ」
シュウの身体でそのまま壁を破壊するように突き破り、教室の床に叩きつける。
叩きつけられた周辺の机や椅子が散乱している。
狂人化が解ける狂羅が──壁の向こうの教室の中から次の標的を俺を見ている。
その狂羅の後ろでゆっくりと黒い影が起き上がる。
「おい──まだ、倒れてねーぞ、勝手に背、向けてんじゃねーぞ、こらぁ」




