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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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【迷い込む学園】

 ───ユイと一緒に自分の家へと戻る。


 「随分遅かったな──」

 思わず帽子が喋ったかと錯覚するような本人より愛想のある顔の描いた帽子を被るナギサが俺の学習机で勝手に読んでいた漫画本を持ったままこちらを見る。


 「──あぁ、いろいろあったんだ」


 「いろいろ──何あったんだ?」

 シュウもこちらに頭だけ向ける。


 「あぁ──ユイとこれから話すよ」

 情報は共用しておいた方がいい。


 「へぇ──ユイ、委員長のことかな?」

 どこかナギサの瞳に恐怖を感じる。


 「そうだね──そんな話よりも先にだ、トウカ──僕が所望したハンバーグ弁当はどこだい?」

 手ぶらの俺たちをミリスが見る。


 「「え───?」」

 俺とユイは顔を見合わせる。



────


 翌日──学校


 2時限目と3時限目の間の──休み時間。

 俺は窓際の壁に椅子の背もたれをつけるように、自分の席もナギサの席もどちらも眺められるように座っている。


 ナギサは椅子を引いた状態で上半身と頭を机に乗せ伸ばした両手で握ったスマホをぼーっといじっている──。


 「一昨日の科学室の件──誰一人と疑問に思ってないんだな──」

 変わらぬ風景──


 「ん──先生がなんかうまい事してくれたんじゃない?」


 「あんな薬品とか滅茶苦茶になったのに──」


 「うーーん、先生がなんかうまい事言ってくれたんじゃない?」

 「あ──また、外れた──無償石、掻き集めんのだりぃー」

 「──ねぇ、トウカー?」


 「ん──?」


 そんな質問に意味など興味など無さそうなトーンで──

 「昨日──委員長と何あった?」


 「ん?──えっ?」


 「なーんで、トウカが委員長を下の名前で呼んでるのか──好感度でも上がった?」


 「お前、理論を持ってくるな──」


 「じゃぁ──なんで?」


 「なんで──そんな質問するんだよ?」


 「なんで──質問したことに質問するんだよ」


 「お前の時と同じだよ、委員長なんて肩書じゃなくて名前で呼んでくれって頼まれたんだよ」


 「なら、夢咲でいいだろ──」


 「わかんないけど──下の名前で呼んでくれって言われたんだ」


 「それ、やっぱ──上がってんじゃん──しかも委員長の方が」


 「ん?」


 「なんでもねーよ、トウカのばぁーか!」


 「なんで、唐突にそんなん言われるんだよっ」





 「えっ──なに殴り込み?」


 「どうした──」

 そんな短い休み時間が終わろうとしている時に、何やら窓際にクラスメイトが集まってきて、そんな会話が聞こえてくる。


 「おい、トウカ──隣の学校──生徒が殴り込みに来たらしいぜ」

 いつの間にか俺の隣でシュウも窓から外を覗き込んでいる。


 隣の学校──黒い学ランの男子生徒が一人、黒のセーラ服と黒のスカートの女子生徒が二人。


 窓から見える、校門から学園に乗り込んできている。



 もちろん、そんな暴挙をこの学園の頂点と思っている先輩たちが許すわけもなく──この学園の喧嘩自慢の連中に出迎えられている。


 「なんだ──?」

 シュウの目が泳ぐ。


 「能力者か?」

 俺も覗いたその様子を眺め──余りにも圧倒的すぎる結果に──


 止めに来た筋肉自慢の体育教師も──気が付けば伸びている。

 そんな、体育教師が持っていた拡声器を女子生徒の一人が奪い取る。


 『トウマ──あれ?トウカだっけ?──そんな感じの名前のやつは居るかぁーーーっ』

 窓全開でその様子を覗き込んでいるクラスメイトたち。

 そんなバカでかい声が教室内に飛び込んでくる。


 「トウカ──他所の学校からも人気じゃん」


 「勘弁しろよ──しかも名前覚えてもらってねーじゃねぇか」

 俺は──そんな様子を眺めながら──


 「──めんどくせぇのは嫌いなんだけどな」

 俺は椅子から立ち上がり、廊下へ向かう。



─────



 「おいっ出てこい、トウマかトウマみたいな名前のやつっ」


 「同じ名前二回よんでる、リヴィア……文字の変換ミスみたいな間違い方してるぞ」


 リヴィアと呼ばれた生徒。

 少し褐色の肌、女子としては少しがたいがよく、綺麗な自然の金髪の短めの髪。


 リヴィアとその女子生徒を読んだ、太陽の光を浴びると少し緑色にも見える黒い長い髪──長い後ろ髪を首の後ろ辺りで赤いゴムで束ねてポニー上に束ねている。


 「そもそも──そんな呼び方で彼は降りてくるのか?」


 「トウマ──お前のかーーちゃんでーーーーべそっ!!」


 「やめろ、リヴィア──私たちまで馬鹿だと思われる」


 「カリン──男なんて大抵、マザコンなんだ──ブチギレて今にも現れるぜ?」

 「ほらほら、きたきたぁーー」


 校舎の玄関から男子生徒二人、女子生徒二人が出てくる。



────


 外靴に履き替え、校舎の外へと向かう。

 黙って──俺の後ろをつくように、シュウとナギサ、ユイがついてきている。


 「トウマ──お前のかーーちゃんでーーーーべそっ!!」

 ハーフだろうか──金髪の褐色肌の女子生徒が拡声器を使って叫んでいる。


 カッチーンときたがここで怒ってはマザコンぽいので耐えておく。


 

 「結代トウカ──覚える必要は無いけど訂正だけさせてもらう」


 「とうか……とうか、それは悪かったなぁトウカ」


 「寒い──リヴィア、やめろ──」

 隣の黒髪のポニーテールがその暴走を止める。


 「悪かったな──結代トウカくんでよかったか?」

 「私は言日岐カリン《ことひき かりん》──」


 「トウマ──あたしは狂羅リヴィア《きょうら りびぃあ》──」


 「だから、リヴィア、彼はトウカだ──間違うな、私が混乱する」

 「後ろの──男は迷早リク《めいさ りく》──ちょっとそいつは精神が不安定でな──余り刺激はしないほうがいい」


 「なぁ──一瞬でいい軽く、あんたたちの頬に触れさせてくれないか?」


 「それはお断りしよう──トウカ」

 言日岐カリンと名乗った女に断られる。


 「ここでは、他の人間の目もある──」

 「──始めるぞ、迷早、能力を発動しろっ」


 「くくっははっははははっ──いいよ、いいよ──使ってあげる」

 男は急に楽しそうに狂ったように天を見上げる。


 「迷え、迷え──お前ら、言日岐、狂羅──おまえらもまとめてなぁーっ」

 迷早リクと名乗った男から半円を描くように時空が歪み始める。



 何が起きた?

 学園の外に居る。


 でも──何か何処か静かすぎて──


 「シュウっ──ナギサ?──ユイッ」

 俺は振り返るが──目の前に居た黒いセーラ服の女子も学ランの男も居ない。


 学園には窓からこっちの様子を見ていた生徒たちの姿も無い。


 校門の外──見える車道には車一つ走っていない。

 もちろん、誰も居ない──。


 「どうなっている──」


 やけに静か──

 時間でも止まっているかのように──


 取りあえず学園の中へと入る。


 一つの教室──ドンッという大きな音と共に──


 「ってぇ、なんて馬鹿力だよっ」

 シュウが教室のドアを突き破る様に廊下の壁にドアごと叩きつけられている。


 「わぁーはははっーーー、あたしには好きな言葉が3つある」

 「聞きたいか──そうか」


 「言ってねーよ、狂暴女」


 「よしっ、心して聞けッ──あたしが好きな言葉それは、気合、根性──そして気合だッ!!」


 「同じ言葉──二回出てきてるじゃねーかッ」

 俺はそうツッコミを入れながら二人の方へと歩いていく。 

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