【壊れたままの救済】
「何をした──結代トウカ……」
「この人は能力者で弱っていた心部分を何者かに利用されていた──理屈はわからないけど、俺にはその支配を解除する力がある」
真解ユズルが目を細めるように俺を見る。
「それで──この女の精神が回復すると、とてもそうは見えないな、結代トウカ?」
「──トウカくんには支配を解除する能力がある、壊れた精神を修復する訳じゃありません」
「結代トウカ──出しゃばった割には随分と普通の終わり方だな、俺は案外ハッピーエンドにでも見せてくれるのかと思ったが」
「──ごめ…な…い─…めん…さい──ゆ……き…ん──あ…が…う──ゆ…し…くん……りが……う──」
瞳に宿っていた闇が晴れるが瞳に光は戻らない──女性はぶつぶつとうわ言を繰り返す。
「──それで──気に入らなければ俺をそれで撃ち殺しますか?」
銃口を見る──一応、結界を張る準備だけは心構える。
「結代トウカ──俺にはお前のような力は無かった──それを結代トウカ、お前はもっていた」
「救えないとわかっていても、お前は俺を止めてでも実行した──結代トウカ、そこに俺がお前を正す理由があるか?」
「──理由?」
「お前は、お前で自分の正義を証明したんだ──その結果に、俺の正義を押し付けるのは、大人のやることじゃ───ねぇよな?」
「──よくはわかりませんが」
「結代トウカ──勘違いはするな、俺はてめぇのようなクソガキは認めねぇ──だが──割と今日は気分がー、いい……一つ助言だ」
「お前の周り、お前の周辺で起きている事件──それについてはお前の一連の事件、学校を洗うことが先決だ」
「だけど──学園の外にも能力者がいた……真解ユズルさん、あなたも──そしてこの女性も、精神を支配されていた」
「そうそうその調子だ──自分の頭で考えるってのは大事な事だ、言われたことだけをやるような人間にはなるな、結代トウカ」
「だが──視野を広めるのはそれを最大限に考えた後だ──例えばだ、この女は本当に《《おまえたちの学園》》とは無関係なのか?」
「──それは、わからないけど、少なくとも俺も委員長……ユイも知らない」
「おい──まじめな会話の最中に、初めて名前で呼びました、呼ばれましたみたいにちょっと気まずそうに見つめ合ってんじゃねーぞクソガキども」
「クソガキ──興ざめだ」
そう言いながら、真解ユズルは手に持っていた拳銃を肩の前あたりで遊ばせながら俺の方へとゆっくりと歩いてきて、ポケットの中に入れていた左手の手のひらを見せ何かを要求する。
「スマホを貸せ──今どきのクソガキはそれくらい持たされてるんだろ?」
「俺の──個人的な番号だ──こっちは《《だれにも》》教えるな──まぁ、癪な話だがこの先、俺がてめぇを頼ってやる時もでるかもしれねーしな」
それが、俺と真解ユズルとの二度目の出会いで初めての共闘だった。




