【友達《たからもの》】
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真っ白な部屋──
そこはね、僕だけの特別なお部屋だよ。
何も無かった部屋。
見上げれば、気が付くとシャボン玉のようなものが沢山浮いていて──
それは、トウカが作る結界のようなもので守られている。
なんだか、僕はそれを見上げると嬉しくなったんだよ。
一つ、また一つとそのシャボン玉が音を立てて壊れていく。
少しだけそれに後悔しそうな自分の感情を押し殺す。
そうして、僕はまた一つのシャボン玉に手を伸ばす。
覗き込んだシャボン玉には、僕の部屋が映っているよ。
トウカとナギサちゃんと僕が何か嬉しそうに食べているよ。
僕のカーテン、僕の大きなベッド。
僕は一人、部屋の中で意味もなくそれを眺めているよ。
そんな僕の部屋をおかあさんがノックをする。
そんなおかあさんと僕は僕の大きなベッドで一緒に昼寝をする。
そんな──光景をシャボン玉が映している。
そんな僕の宝物がそんな白い部屋を埋め尽くしている。
そんな僕だけの部屋。
まるで──トウカがおかあさんが僕にくれた部屋のように僕にとって特別。
あっ──
ピシリッとシャボン玉にヒビが入る。
僕はそんな──産まれた感情を押し殺して──
──バイバイ。
僕はそんな宝物に──お別れするよ。
─────
すぅーーーとミリスが大きく息を吸い込む。
「ミリス──やめろッ!!」
「くだらん──この混沌の力の前では意味がない、感謝しろ、結代トウカ、俺が白竜を止めてやる」
クウドがそんなミリスへと右手を差し向ける。
「がおーー、僕は怖い、それは恐ろしい白竜だよ──混沌モノはぺろりと食べてしまうよ」
ミリスは白い小竜へと姿を変えると大きく口を開き──白い光の玉が口の中に貯まっていく。
「壊れろっ──白竜ッ」
クウドの手のひらに集まった黒い魔力が、黒いビームのように白竜の姿になったミリスへと放たれる。
「ガオーーーーッ」
ミリスの口の中に貯まった魔力が同じように白いビームのように白い炎のブレス吐き出す。
「──なっ」
クウドの表情が変わると──そのクウドが放った魔力のビームはミリスの白いビームに飲み込まれるように──思わずクウドが右手を下し、その飲み込まれ押し返された白いビームから逃れるように身を横へと逃がす。
「ガオーーーッ」
黒竜の姿のカオスがあえてそのミリスのブレスを受ける位置に身体を飛ばし、大きく口を開くとミリスのブレスを飲み込んでいく。
そして──一度閉じた口をカオスがクウドに向けて開く。
「──くそっ」
クウドはそれから逃れようとする自分に腹を立てながらもその軌道から逃れようとする。
「なっ!?」
「形どれッ──水蛇っ──」
クウドの右足首にナギサの水蛇が絡みつき、その右足の動きを封じられる。
「ふざけるなっ」
クウドの魔力が鎖のように、ナギサを狙う。
「させるかっ」
俺の結界がそんな魔力の鎖を妨げる。
「ガオーーーーッ」
そして、カオスの口から黒い魔力のビームのようなブレスが吐き出され──
「ぐっがぁっ──」
そんな黒い魔力のブレスにクウドの身体に直撃すると、クウドの身体が弾き飛ばされるように、壁に叩きつけられる。
「狂人化──クウド、覚悟せよッ!!」
壁に叩きつけられたクウドの身体にさらにリヴィがその拳を振り下ろす。
壁にめり込むようにさらに身体を叩きつけられたクウドの身体をリヴィはそのまま引きずりだし──
「狂人化──」
真っ赤に燃え上がるリヴィと髪と瞳──そのクウドの身体を空中へと投げ飛ばす。
「ジャックオーランタン、行きなさいッ」
「カボチャン──いけーーーッ」
ユイとユニアによって具現化したジャックオーランタンがそんなクウドの傍まで飛ぶと、手にもったランタンに火が灯り──
「焼き尽くせッ」
クウドの身体が白い炎に包まれる。
「シュウーーーーッ、行ってこいッ」
いつの間にか起き上がったシュウが──バレーのボールを受けるような姿勢で屈むリヴィの肩に手を、そのリヴィの手の上に片足を乗せ──
「うらぁーーーーーっ」
リヴィの力を借り、高く飛び上ったシュウが上空に投げ飛ばされた、クウドの前まで飛び上ると──黒い手甲と右の手のひらと左の手のひらを重ね合わせると──頭上から勢いよくその重ね合わせた手を振り下ろし、クウドの腹へと叩き込む。
そんなシュウのメテオスマッシュを喰らい、クウドの身体が地面へと叩き落される。
「──この俺が──調子に乗るな──調子に乗るなよッ!!」
膝を少し折り、上半身を少し前に倒し、肩を下げ──
それでも、クウドがまだ立ち上がる。
「ミリス──帰るからな、一緒に──俺たちの家、おまえの“部屋”に──」
再び人の姿になっているミリスが黙って俺の顔を見上げる。
何も語らない──多分俺の言葉は理解していない。
それでも、自分は何を失ったかは理解するように、悲しそうな瞳で──
「ふざけるな──失っても、忘れても──いくらでも作ってやる、ミリス──お前が“俺”や“かあさん”を覚えていれば──いくらでも」
「にしし──僕はね、トウカ──白竜だよ」
「関係ない──お前は俺たちの家族だ──」
「トウカ──僕も守るんだよ──」
「俺はそんなミリス、白竜の守り人だ──だから──」
「そうだね──だから、僕は守るんだよ──そんなトウカが僕を守ってくれる世界を──僕が──それが僕の使命だからね」
「──取り込め、もっと──俺を取り込めッ」
クウドは自ら取り込んだ核を暴走させるように──
沢山の黒い魔法陣や黒い魔力の鎖が部屋のあっちこっちに現れる。
「くっ──」
俺は自分の目の前に結界を作り──その魔力の矛先を自分へ向ける。
「無茶だ──」
カオスがそんな俺を心配するように叫ぶ。
「やれやれだね──せめて、お別れは皆のいないところで──」
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「と──思っていたのにさ」
真っ白な部屋。
僕だけの特別な部屋。
先ほど僕が大事に見つめていたシャボン玉が粉々になって地面に散らばっている。
そして──宙を舞う5つのシャボン玉が目の前に移動してくる──
それは──ナギサちゃん、シュウ、ユイちゃん、リヴィアちゃん、カリンちゃんを映したシャボン玉。
「みんな、みんな──僕の友達」
ピシッ──とシャボン玉にヒビが入る。
「──バイバイ」
だから、僕は皆にそう告げるんだよ──。




