【御馳走様《バイバイ》】
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トウカ──僕とカオスはね──これから、父君様が守り続けてくれた場所で世界を創るよ。
だからね──一緒には居られないんだ。
だからね、バイバイするよ。
本当はね──嫌だけどね。
でもね──やっぱりバイバイするよ。
トウカ、僕はね──
キレのあるちょっと意地悪なナギサちゃんの言葉が好きだよ。
乱暴だけど、どこか情の深いシュウの言葉が好きだよ。
優しく、丁寧なのにどこか毒のあるユイちゃんの言葉が好きだよ。
とにかく、ぶっ飛んだ勢いのあるリヴィアちゃんの言葉が好きだよ。
冷静に、冷たいのにどこか優しい、時には攻撃的なカリンちゃんの言葉が好きだよ。
もっと、もっとみんなとお話ししたいよ。
厳しいけど、どこか不器用で──僕を甘やかしてくれるおかあさんの言葉が好きだよ。
僕の我が侭に、文句を言いながらも僕の大好きなオムライスを作ってくれたり、そんな僕を最後までね、守るといってくれるトウカの言葉がね──大好きだよ。
ずっと、ずっと──一緒に居たいよ。
だからね──僕はそんなみんなに笑顔でこう言うよ──
御馳走様──
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「トウカ──死ぬことは怖いかい?」
「──ミリス?」
「僕はね──少しだけわかったことがあるのさ」
トウカに支えられ身体を起こしながらミリスが語る。
「なぜ──人は頑張るのか、努力するのか──なぜ優しくするのか」
「──壊れろっ」
そんな俺たちの会話を邪魔するように──
クウドが突き出していた右手から球弾を放つ。
バリンッ
再び俺の結界はあっさりと突破されるが、その結界を割った衝動で球弾の軌道が俺とミリスから反れるようにミリスの右側の床を破壊する。
「狂人化──覚悟しろ、クーードッ!!」
リヴィの髪と瞳が真っ赤に染まる。
しゃがんだ姿勢のまま、リヴィはその右足と、床についていた右手で高く飛び上がりその勢いのまま、右手をクウドへと振り下ろす。
「意味がない──セカイのハカイの力の前では──全部なっ」
そんな全力のリヴィの拳が寸止めするようにクウドの顔の前で止まる。
「こんなものーーーっ」
クウドの鎖のように伸びる魔力がリヴィの右腕を身体を拘束している。
リヴィがありったけの力を振り絞り──その鎖を断ち切ろうとするが、
それは叶わない。
「意味がない──その意味を教えてやろう」
クウドは得意げに捕らわれたリヴィを見上げ──
「お前らの力は魔力が負の感情に干渉し産んだものだ──そこの黒竜が処理しきれずに取りこぼした力をお前らが手にしただけだ──そして俺には今、その核がある──その差を理解しているか?」
クウドがそんな──理解しているかしていないか、ただ睨み続けるリヴィへと右のてのひらを向ける。
「やめろっ」
俺は咄嗟に結界を作ったが──
バリンッ──
それは──クウドの魔力を抑えることはできない。
リヴィの身体はその鎖の魔力から解き放たれる代わりに──吹き飛ばされ壁に衝突し地面へと落ちる。
「リヴィッ──」
「消滅しろっ」
再びカリンがその透明な刃をクウドへと突き刺す。
「カリン──確かにお前の能力は厄介だ──“以前”の俺の能力の干渉ならお前のその言葉に干渉する前にお前の言葉に負けていたかもしれないな──」
「くっ──」
「お前の力じゃ──セカイの混沌を破壊することは不可能だ──お前の言葉は届かない」
ドンッとクウドから放たれる球弾がカリンを吹き飛ばし──リヴィアとは逆の壁に衝突する。
「人はね──トウカ、死んでも──消えても、人の記憶の中に生きられるんだよね──」
ミリスが先ほどの会話を続ける。
「人が怖いのは──死ぬことよりもそこにすら残れないことなんだよ──だから、頑張るんだね、だから優しくするんだね──」
「ミリス──」
「トウカ──お願いをできるかい?」
「なんだ──」
「僕を守ってほしいんだ──もう一度僕に選ばれてほしいんだ」
「何を言っているんだ──俺はすでにお前の──」
「家族としてではなく──白竜としてのお願いさ」
「お願いされるからじゃない──俺はミリスを──お前を守る」
「にしし、そういってくれると信じていたよ──少し時間が欲しいのさ」
「まだ──何か企んでいるのか、白竜」
クウドが少しミリスを意識するように目を向ける。
「ミリスを──いじめるなっ」
黒竜の姿になったカオスが後ろからクウドの頭に齧り付く。
「あぐっ──」
クウドがつまらないように、カオスの身体を地面に叩き落とす。
「セカイをコワす──意味のないセカイに俺が意味を与える」
「意味がわかんねーってばっ──水の爪」
「うるぁーーーーっ」
ナギサとシュウが同時にクウドにその能力で殴り掛かる。
結界を作る暇も与えられない。
「うぐ──」
「くそが──」
ナギサとシュウも壁に衝突するように──吹き飛ばされた体を地面に落とす。
「ユイ──みんな、カボチャンもやられちゃった?」
ユニアがぎゅっとユイの手を握る。
「大丈夫──カボチャンもみんなも強いの、あんな奴に負けません」
ユイが一人、何かをうかがうようにじっとクウドを見ている。
「ミリス──時間を稼ぐって──」
「なんせ、自分のは初めてだからね──」
ミリスはじっと俺の瞳を見つめている。
「トウカ──一緒に食べたハンバーグ、旨かったな──」
「あ、あぁ」
「ナギサちゃんと食べたコロッケ、旨かったな──」
「──あぁ」
「おっちゃんにもらったプリン──旨かったな──」
「──ミリス?」
にししと笑いながら──涙を流すミリスに戸惑ってしまう。
「でも──僕はね、トウカが作ってくれるオムライスが大好物なんだよ」
「おい──」
そこで俺はようやく、ミリスが何しようとしているのかということに戸惑いを覚える。
「──トウカ、御馳走様」
ミリスが大きく息を吸い込む──
「壊れろ──」
クウドがこちらにその手を向ける。
「邪魔するんじゃねーよ──俺はミリスと話をしてるんだっ」
俺は何度も失敗したそのクウドの攻撃を防ごうと右手を伸ばす。
「トウカ──君は僕の守り人だよ、トウカの魔力は僕に依存しているのさ──僕が“魔力を”取り込めば──」
クウドの攻撃が──俺の結界の前で消滅する。
「くだらないな──その一撃を防いだだけで得意になるなよ」
そうクウドが結界越しに俺とミリスを蔑むように見つめ──
その結界越しに自分を見る瞳へと目を向ける。
ユイの姿──
そして、周囲で倒れていたナギサやシュウ、リヴィアやカリンが起き上がる。
「なっ──」
そして──正面を向き直ったクウドが少し驚いた表情をする。
「GYAOOOOOOO───ッ」
小竜ではない──人の身体の数倍もある大きさの白竜が──目の前に現れる。
「──壊す、今の俺が恐れるまでもない」
そうクウドは表情を戻し──白竜へとその右手を突き出す。




