【記憶《ごちそう》】
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トウカ──本当はね、僕はわからなかったんだ。
僕が──カオスが世界を創るという意味がね。
トウカ──僕はね──
がおーーーっ、それはそれは怖い白竜だよ。
君の記憶をぺろりと食べてしまうよ。
例えば──昨日、君が通りすがった赤の他人。
それは、本当に──赤の他人だったのだろうか。
にしし、僕がその記憶を食べてしまっていたのかもしれないよ。
誰かはそんな僕が希望だなんて言ったよ。
ねぇ──それは本当かな、トウカ?
こんな、こんな記憶を──
人間の思い出を食べるだけの凶悪竜だよ?
そんな僕は仲間の希望になれるのかい?
多分──父君様はね、僕にそれを教えるために外に連れ出してくれたのさ。
僕が何者なのか──何を食べ世界を作るのか。
それをね、僕に選択しろと言いたかったんだね。
──それまで、僕とカオスのために時間をくれたよ。
──父君様は自分の代わりに僕をトウカたちの家族にしてくれたよ。
──僕はそんな父君様に感謝をしなきゃいけないね。
──僕は今日までトウカやおかあさんに守られていたんだね。
──“だから”──僕はそんな世界を創るよ。
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「壊させや──しないよ、なんたって僕が──ううん、僕とカオスが世界を創るからね」
ミリスがたどり着いた、カオスが居た部屋。
そのカオスの魔力の核をクウドが長い時間、能力で干渉を続け制御に成功し奪った。
「白竜──人ならぬ者、さすがに腹に穴が空いた程度じゃ、壊れないか」
「クウドと言ったかい?君は世界を壊すなんて事はできはしないよ」
「──なぜだ?」
クウドは興味なさそうにただ、一応その答えを確認するようにミリスを見る。
「──そうだね、クウド、君に寄せて答えてあげるよ──“意味”がないよ」
「──壊れろっ」
「はぐぅ──」
クウドの手のひらから黒い魔力の球弾がミリスの身体を突き破り──
その勢いでミリスの身体は後ろに倒れる。
「圧倒的だ──この力を手にした俺を、白竜──貴様にも止められない」
「うぅ──痛い──」
「ん──?」
何者かがクウドの右足首を掴む。
「ミリスを──虐めるなっ」
「なんだ──完全に壊れていなかったか──」
「あ、ぐぅ──」
クウドは右足を振り上げ、カオスの手を振りほどくと──
そのまま、床を這ってきたカオスの腹部を蹴り上げる。
「──まったくだよ、クウド──世界が君みたいな人間で溢れていたなら僕も世界を創りたいなんて思わなかったけどね──」
ミリスは起き上がる。
「──仲良く壊してやる──壊れていくセカイをお前たちに見守らせたかったが──邪魔だ、白竜」
「やれやれだね──もう少し、じっくり味わいたかったのにね──トウカ、今までありがとう──バイバイ」
ミリスはクウドが攻撃しようと突き出した右手を無視するように目を瞑り何かの覚悟を決めるように──
「壊れろ──そんなセカイにお前は不要だ──くっ」
そんな、クウドの少しだけ戸惑うようなくもった声。
ミリスがそんな覚悟を決めていた瞳を少しだけ開くと──
自分の前にある透明な板がそのクウドの攻撃を防いでくれている。
「──トウカ?」
「ミリス──何がバイバイだ、勝手にどっか行くんじゃねーよ」
「こんじょーーーっ」
トウカがミリスの後ろで右手を突き出し結界を作っていた横をリヴィアが勢いよく駆けていく。
「──なるほど」
そのリヴィアの拳をクウドは片手で軽く受け止める。
「うらぁーーーーっ」
さらに逆の側部からシュウが拳を振り下ろす。
「──意味がない」
クウドの手のひらに漆黒の魔力がコーティングされているようにひかり、そのてのひらでシュウの一撃を受け止める。
「水蛇っ」
ナギサの水蛇をあえて受けるように、クウドの身体にナギサの水蛇が絡みつく。
「──跳べっ」
カリンが周辺のものをクウドへ飛ばすが、それはクウドに届く前に──
クウドの周囲の漆黒のオーラのような魔力の前で消滅する。
「行けっ──ジャックオーランタンッ」
ユイがユニアと手を繋ぎ──
悪夢から呼び出された精神獣をクウドの前に飛ばし──
「焼き尽くせっ」
「惨めだな、セカイの終わりの余興としては──こんな子供に託されたセカイ」
ジャックオーランタンのランプが燃え上がり、クウドの身体を燃やすが──
何の影響も与えられていないかのように涼しい顔をしている。
「ぐっ──」
「がっ──」
クウドの周囲の魔力がチェーンのようにうごめき、水蛇を引き裂き──
リヴィア、シュウの身体を強く弾き飛ばす。
ユイの精神獣のジャックオーランタンもその漆黒の帯に叩かれるように消滅する。
「無駄──意味がない──いいか、結代トウカ──お前の守るなんて行為はセカイが壊れることに比べたらちっぽけだ──」
「無駄、意味がない──そっくり返すよ、クウド──僕たちにとっては、そんなトウカのちっぽけな行為よりも、君の行為に意味がない」
「黙れ──」
クウドがつまらなそうに、ミリスに手を向けると──
魔力の球弾がすごいスピードでミリスを襲う。
バリンッ──
「はぐぅ──」
「くっ──」
トウカの結界はあっさりとその球弾に砕かれ──ミリスの身体を貫通する。
「ミリスっ!!」
トウカがそんな地面に転がったミリスのそばに駆け寄る。
「くそっ──水蛇」
再びナギサがクウドの身体を拘束する。
「消滅しろっ」
カリンがクウドの身体に透明な刀の刃を突き刺す。
「本当に──意味がない、その意味を理解しろ」
チェーンのような魔力の帯をクウドは操るように──
今のクウドにはカリンのその能力も届かない。
「ぃてぇ──」
「くっ──」
ナギサとカリンの身体もそのクウドの魔力の帯に壁際まで弾かれるように吹き飛ばされる。
「うぅ──痛い──」
駆け寄ったトウカにミリスがそう声を漏らす。
「大丈夫か、ミリス」
「なんで──なんで一人で来た、ミリス」
「トウカ──僕は言ったよ──バイバイって」
「だから──なんでそんなこと」
「にしし──がおーーー、僕はそれはそれは怖い白竜だよ──僕はね、記憶なんて、ぺろりと食べてしまうよ──」
「──何がバイバイだ、ミリスお前が言ったんだろ、俺に──ミリス、お前の護り人になれって──お前が俺を選んだんだろっ」
「そうだね──」
ミリスは仰向けの身体をその頭をトウカにやさしく支えられるように持ち上げられたまま、トウカの顔を寂しそうに見る。
「それも──ぜんぶ、僕は食べないといけないんだね──」
「たべ──何言ってる」
「意味がない──最後くらい、家族ごっこを楽しませてやろうと思ったが──もう壊れろっ」
クウドがミリスの方へと右手を向ける。




