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白竜に選ばれた僕は、不運少女を守るため“負けない力”を手に入れた  作者: Mです。


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13/51

【拒絶する大人】

 日曜日──


 「へぇ──ここが、トウカの家?」

 俺の家の玄関先。


 「珍しく──緊張しているんですね」

 俺の家に訪れたシュウ、ナギサ、委員長。


 「そういう、委員長は随分と平気そうだな──」

 眼鏡のレンズ越しに委員長を見るナギサ。


 「そうでもないわよ──私だって殿方の家にお邪魔するのは初めてですから」


 「ふん──私は他人様の家にあがるのがほぼ初めて──健全な処女だッ」


 「あなたの場合、言い回しが乙女じゃないのよ」


 「なんで──トウカの家に来てまで喧嘩してんだよ、お前ら──仲悪いのか?」



 「やぁやぁ──よく来たね、君たち──」


 「自分の家みたいに、俺の家でイキるな──いらっしゃい、汚い場所で悪いけどあがってくれ──」


 「トウカの部屋は、階段をあがった廊下を左、奥の部屋だよ」

 知ったようにミリスが偉そうに案内する。


 「ねぇ──トウカくん、親御様は?これ──ちょっとお邪魔するだけとはいえ──」

 小さな包みの入った手提げ袋を渡される。


 「あ、いや──気を使うなよ、片親でさ、母はあんま家にいねぇんだ──警官やってて、ここ最近──何かと事件が多いだろ?」


 「そうですか──ぜひ、挨拶しておきたかったのですが──」


 「なんでさ──」


 「トウカくんにはこれからも、私を守ってもらいたいですし、それに──」


 「それに?」


 「私が頑張らなくなったら、責任──取って貰おうと思ったのですけど」


 「あぁ──トウカぁ!なにそれッ」



 「ほら──君たちトウカの部屋はこっちだって──トウカ、君もほらっ」

 少し見慣れないクラスメイトの私服。


 ナギサは茶色のハーフパンツに、青の腕に二本の白いラインの入ったジャージを上に着て顎が少し隠れるくらいきっちりと前のチャックをしめている。

 黒い帽子──何かの動物なのか、帽子には猫のような耳と可愛らしい目と口がついている。


 委員長は水色の薄手のセーターに白の長めのスカート、そのスカートからは茶色いストッキングの足が見えている。



 「トウカ、覚悟ッ──てめぇの性癖暴いてやるッ」

 俺の部屋に入るなり、ナギサがベッドの下を覗き込む。


 「馬鹿、水無瀬──こういうのは布団のシーツの下──だろ、トウカ」

 シュウが俺のベッドを捲りあげる。


 「入るなり好き放題するな──摘まみだすぞ」


 「あら──私が推理するなら──こういう、小さいころ親が買ったものをただ一緒に置いてるだけ──そんな風に置いてある図鑑とケースの隙間に──」


 「だぁーーーーっ!!」

 俺はナギサとシュウを自由にさせていたのに、委員長だけを必死に止める。



─────


 「それで──トウカが委員長ちゃんを倒した後、ナギサちゃんが毒使いを、そっちの筋肉自慢が痛覚を転換する能力者を倒し、君たちの担任も能力者、そして病院で探偵と接触したというわけだね」

 ミリスがそう簡単にこれまでの経過をまとめるように言葉にする。


 「──そして、その探偵とやらも能力者と見て間違いないかい?」


 「おそらくな──」


 「殴られた時──魔力みたいなのは感じた?」

 曖昧な答えの俺に、ナギサが言う。


 「いや──でも間違いないだろ、あの真解という男は俺たちが能力者なにものかと理解している」


 「ふーん、その探偵って人は私はお会いしてないですけど──」


 「で──怪しい人間は目星がついたかい?」


 「まぁ──出会った中でというなら、俺はそいつの名前をあげるけどな」

 探偵を指す様にシュウが言う。


 「確かに──そして、操られていなかったのも催稀先生と、その探偵の男──」


 「大人にはその支配の能力が届かない──そんな規制があるのでしょうか?」


 「さてね──兎に角だ、トウカ、時刻は12時をまわったよっ」

 その言葉にみんな俺の部屋の掛け時計を見る。


 「お腹が空いたと僕は言っているんだよ──トウカッ」



 じゃんけんに負け、昼飯を買いに近くのコンビニへと委員長と俺で歩く。



 「………………」

 ぶつぶつと小さく独り言を呟いている20代前半の女性が反対側から歩いてくる。

 疲れた目──なぜか警戒するように俺も委員長も彼女を見る。


 「ゆ……きさん……ゆ……ろ…ん」

 光の無い瞳がこちらを見る。


 「拒絶──する──みんな、みんな……来るな──だれも──みんな、死んでしまえッ──私はお前たちを拒絶するッ!!」


 「なっ……誰だよっ」


 「能力者なのは確かです──トウカくんっ」

 黒い火の玉が飛んでくる……



 「わかってるっ」

 透明な板を俺たちの前に張りそれを防ぐ。


 ゆらりっゆらりと歩いてくる。


 そっと──その能力であろう黒い火の玉を防いだ結界に手を置く。



 俺も委員長もただ──その動きに警戒しながら──その能力を探る。


 「──透明な板──その結界を私は拒絶する──」


 「なっ!?」

 透明な板、俺の結界の魔力が分解されるように消滅する。


 「私はおまえたちを拒絶するーーーっ」

 火の玉が精製される。


 「くそっ──どうなってる──」

 俺の透明な板──結界が発動しない。


 「拒絶……一時的にトウカくんの能力を封じたというの?」


 「しかし──俺は全く彼女に心当たりがない──委員長は?」


 「もちろん──ないわ」

 少し考えながらも──俺と同じ答えをだす。


 なぜ──襲われる。

 学園とも全く関係なさそうな大人の女性。


 「そう──そう──そうやってあなたたちは私を忘れる──だったら、私の方から拒絶するっ──」


 「え──、いや──いやぁ、なに──」

 委員長に見つめられ、女性の周囲に沢山の人の形をした影が立体化される。


 ゆっくりと彼女を掴み髪や衣類を引っ張っている。


 「やめろーーーっ、私はお前らを拒絶するっ」


 「くっ!」

 委員長がその悪夢を消滅させられ、少し苦しそうに顔を歪ませる。

 悪夢を産む──その具現化にはそれなりの魔力を使うのだろう──


 「でも、私の場合は──トウカくんと違って同じ悪夢を見せられないけど、能力自体は封じられてはいないみたいです──」

 「でも──ただ、彼女の悪夢を創生するだけじゃ、また拒絶しょうめつさせられるだけですね」


 「俺も──違う使い方をするなら大丈夫みたいだ──」

 両腕に魔力を纏う。


 「しかし──あの拒絶のうりょく──最悪に最強過ぎないか?」


 「さすがに──魔力にある制限はあるとは思いますが──私たちの能力に対応されているってのは現実ですね──」


 「──嫌い──嫌い──お前ら子供は大っ嫌いッ」

 「なんで子供おまえらは許されて──大人わたしは許されない──」


 「なに言って──る」

 俺は女の絶望するような瞳に睨みつけられぞっとする。


 「そんな大人わたし子供おまえらを守ることを強いられ、守れなければ──人間失格みたいに言い渡され──そんな子供おまえらに私が壊されても──おまえらは罰せられない──嫌い──嫌いだ、拒絶だいっきらいだッ!!」


 「トウカくんッ!!」

 黒い強い風が吹く──同時に黒い電流のようなものがその風の中に流れていて──


 俺は両手に巻いた翡翠色の魔力を顔のまえでくろすさせて──委員長を庇うように前に立つ。


 吹き飛ばされた身体を起き上がらせる。

 攻撃も防御も同時にこなす──余りにも相性が悪すぎる。


 「トウカくん──私を見て──できるだけ、拒絶しにくいもので恐怖してみて──」


 「委員長──何言って──」

 そう言いながらも──俺は昨日、受けたシュウの一撃を思い浮かべる。


 「きょ──拒絶するっ──うっぐっ──」

 黒い影──シュウの手甲の能力をもった人を形どった影が女性に拳を振り下ろす。


 さすがにその一撃を一瞬で拒絶しょうきょできずに──今度は女性が後ろに吹き飛ぶ。


 「トウカくん、私の能力は──悪夢を《《本人へ見せる》》とは言ってませんよ」

 俺のそんな疑問に、委員長が答える。


 「それと──私の事もそろそろ名前ユイで呼ぶくらい──してほしいのですが」


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