【今度は俺たちが英雄《あなた》を守る】
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実験体──自分が何者かなど、僕自身が理解していない。
煩理──そう呼ばれる研究所の所長の男性とその妻である女性。
この世界の理、この世界を創り出している魔力へとたどり着いた者。
そして──僕は人間の遺伝子とその魔力によって産まれた。
“家族”なんて居なかった──
そんな魔力からか産まれた僕は──普通の人間よりも成長速度は速く──
そして、人間よりも老いる事が遅かった。
そして──僕をも作った彼らは僕に──
世界の魔力の制御源ともいえる、白竜と黒竜を託される。
僕はそんなミリスとカオスを“守る”使命を与えられたんだ。
だから、僕はそんな使命からミリスとカオスを──
──そしてそんな家族と逃げた場所で、僕は本当の“家族”を手に入れた。
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「──ト──ウ──カ」
目の前の父さんの身体を乗っ取ったバケモノはそう俺の名を呼ぶ。
「答えは得た──そこへ繋ぐ道はぼくが切り開こう」
リエンが右手の赤い刃、左手の青い刃の刀──二振りの刀を器用に振り回し、出現する周囲の化け物を蹴散らしていく。
「グゥーーーアーー」
父さんの身体を乗っ取るバケモノが──そんな周囲の瘴気の魔力で創り出される化け物に半円の結界を作りだすと──赤と青の刃を遮る。
リエンは一度、地面に両手の刀の刃を地面へと突き刺す。
「演じよう──それは“権力”──命じよう、その刀の攻撃を通せ、それを防ぐことをぼくは“許さない”」
権力──王として現れた豪華な剣でその結界を打ち破る、リエン。
「演じよう──それは“名声”──例えそれが偽善であろうと──今度は“ぼくたち”
が英雄を守るっ」
赤と青の刃が──結界により守られていた化け物を次々と切り刻んでいく。
「──改めて、あの日──あんたを敵にまわした事を後悔しそうになるな」
俺はそんなリエンの独壇場を見つめながら──
俺はそんな化け物一体に手間取っていたが──
リエンが俺の目の前の化け物を斬り倒す。
「父さん──歯を食いしばっておけっ」
俺はリエンが切り開いてくれた道を突き進み、
魔力をまとった拳で父さんの頬に振り下ろす。
「グ──ギ──」
「だめ──か」
白い瞳が俺を睨む。
父さんの右手が黒い瘴気、魔力をまとい、今度は俺の頬を狙う。
「──っ」
俺のシャツの台襟、首の後ろの衣服をリエンが掴み、俺の身体を後ろに投げ飛ばす様に父さんから突き放す。
俺の身体を投げ飛ばした後、すぐに地面に刺していた赤い刃の刀を抜き取る。
刃を横に切り払うが──
その刃は父さんの結界に防がれる。
「さて──次はどうする、トウカくん──まさか、今のですべてを試した、などと言うつもりではあるまい──」
「あぁ──父さんが取り込んだあの瘴気を“直接”殴り飛ばす──」
「──直接?だが──どうやって?」
「──演じよう、それは“富”──邪魔するものを──蹴散らせッ」
リエンが呼び出した武器が──周囲に湧きだす化け物を言葉通りに蹴散らしていく。
先ほど、俺自身もそのその瘴気で作られる化け物一体を相手にしたが──
リエンはこんなザコキャラのように処理しているが、そう簡単に倒せる相手ではない。
「能力者は、血の代わりに魔力を傷として吹き出す──父さんの魔力は今、そのほとんどが瘴気だ──リエン、あんたの刀で父さんに傷口を開いてくれないか?」
「それで、どうにかできるのか?」
「──俺の魔力で──その傷口から父さんの身体の中に入った瘴気を取り出す」
俺は──リエンが倒した化け物が魔力の瘴気に戻り、再び化け物へと姿を変える前にそれを魔力を宿した右手で握りつぶし──その可能性をリエンに示す。
「なるほど──だが、トウカくん──中身はバケモノとはいえ、相手は今まで世界を守り続けていた英雄だ──結界を破り、その上──手傷を負わせるなど容易な話ではないぞ」
「できないか?」
「演じよう──できることは“すべて試す”、だったね」
「あぁ──欲張れ、皆を守るんだ──」
「──偽善だな」
「それでもいい──今までずっと父さんがそうしていたんだ──演じるんじゃない、今、この時だけでも俺が仲間を守るッ」
「正義──明確な悪がある今、トウカくん、今の君には実に相応しい言葉だ、だが──世界というものは残酷だな」
リエンは意味深にそう言葉にしながらも──
それ以上は互いの戦意を削ぐと感じているようで言葉にはしない。
「グ──ガァーーーッ」
父さんを操る化け物は結界を球体のように空中にいくつも作りだすと俺やリエンを目掛け飛ばす。
ビリビリと青白い火花が空中を放電するように──
その球体が俺の右手にあつまるように──俺の目の前の結界にぶつかる。
「演じよう──それは“名声”──」
リエンは戦闘、演技を取ると、両手に刀を持ち直し、一気に地面を蹴り上げ父さんとの距離を縮める。
「──っ!?」
「ぐっ」
リエンの身体が父さんの創り出す黒く薄い透明な結界に包まれると──その結界を父さんが操る様に近くの岩場に叩きつける。
「リエン──大丈夫か」
「──問題ない、今の攻撃程度ではね」
リエンはすぐに起き上がり構え直す。
「だが──最初に言っているがぼくたちがここに居られる時間はそう長く続かない」
「あ──あぁ、でも──だったらどうして父さんは」
「トウカくん、あの人は“特別”なんだ──そう産まれてきたとういうべきか」
「ウウ──アァ──」
「言うなれば──ぼくたちとは逆──」
リエンは本体がこっちだとでも言いたそうに──
「話は後だ──全力で演じよう──それは“富”」
リエンは戦闘スタイルから製造スタイルに変える。
赤紫色に輝く神話の槍がゆっくりと作りだされていく。
「トウカくん──少し呼び出すのに時間がかかりそうだ、それまで──“ぼくを守って”くれるか──」
バリバリと赤紫色の火花を放電させながら──その火花が周囲に落ちただけで、近くの瘴気の化け物は消滅している。
リエンは右手を突き出し──その作りだした槍を制御しているように──
「“すべてを貫け”──ゲイボルグッ!!」
作りだされた赤紫色の槍は──周囲の瘴気の化け物を一掃しながら、もの凄いスピードで父さんの身体をめがけ飛んでいく。




