【評価の対価】
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先輩が──欲していた“評価”を俺が持っていた。
それをしって、あの先輩は、善人ぶって俺の作品を評価しているふりをしながらその作品を奪った。
──そもそも、その先輩の好感が欲しくて始めた創作だ。
──他からの評価などさほどどうでもよかった。
──だから“俺のおかげ”であの先輩が評価を受けたのならそれでもいい。
──ただ、一つ気に入らないとすれば、それを“無断”で“無償”で利用したことだ。
──欲しいのなら、くれてやる──ただ、俺はそれに“見返り”を求めた──それだけだ。
──それに女達が承諾した──それだけだ。
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「──むしろ、被害者は俺だ──言正、てめぇごときの男に殴られ、挙句に刑務所にまで送られた」
「不玄──てめぇには相応しい当然の評価だ──」
「──だから、言ってるだろ、俺は俺の“評価”を差し出した──それにお前の妹が承諾したのだと──」
「てめぇみたいな──クソジジィに──お前が、あんたが築いたその地位であんたの“評価”をその不正を唆したんだろうがっ」
「言正──考えろ、いくら──俺が才能があり、その評価に力があるとは言え、面白くもない作品を面白いと言っても──それが実際に面白くなる訳じゃない──そんな評価などすぐに破綻する」
「だったら──てめぇはそんな破綻する“評価”で妹を──弄び、捨てるだけのクソ野郎だった──そういうことだろ」
「──何度も言った、俺は──“提示”しただけだ、お前の妹の書いた作品を正確と評価した上で、俺の書いた作品で賞に応募するかと──俺はその答えに“見返り”を求めただけだ──」
「跳べッ──」
ただ、そんな二人の会話を聞いていたカリン、近くにあった作業椅子をロッカクへと飛ばす。
「カリン──君はその“痛み”に耐える俺に──何の見返りを支払う?」
「──貴様などに何も支払うつもりもない」
「なら──そいつは“不正”立だな──」
椅子がロッカクの目の前で消滅し──
まるで何事もなかったかのように元の位置へと戻っている。
「──能力で奴を殴るには、何かしらの代償が必要ということか」
カリンが──静かにそう分析する。
「もしくは──あいつが“不正”立にさせる前に──魔力を叩き込めれば──」
キョウゴがそう付け加える。
「そんな、動きもよくない──死に損ないのクソジジィだ──俺とカリンちゃんならなんとかなるだろう──大丈夫、カリンちゃんはあんなの触れたくもないだろうから、殴るのは俺だ」
「──くだらないな、お前ら兄弟はあの時から──くだらぬ“評価”に踊らされる──」
「──評価、その言葉は、正しく使えばどれも美しい──だが、それに見合った評価を受けられるとは限らない──そしてあんたみたいに軽率に評価される人間も居るということだ──不快だがね」
カリンがそうロッカクを睨む。
「さすが──カリンちゃん」
「言日岐だ──」
「──変わらないね──評価は──」
キョウゴはクスリと笑いながらカリンを見る。
「──この戦いが終わって、世界が青色に戻ったら俺とデートをしようか、言日岐ちゃん?」
「──見返りは求めないんじゃなかったのか?」
「──あれ、結構──本気で口説いてるつもりなんだけどな」
「だったら、時と場所を考えろ──“青空の下”なら話ぐらいなら聞いてあげる」
「──次は無いかもしれないだろ──」
そんな言葉にカリンがキョウゴを見つめると先ほどと同じように微笑んでいて──
「吊り橋効果っての?あのトウカってガキに勝つには──俺だって少しは卑怯に生きるさ」
「──トウカくんと、私はそういうのではない、まったく──まずは目の前のセクハラ野郎をどうにかしてくれ」
「はいはい──了解っ」
キョウゴは近くにあった何かの備品の鉄の棒を手に取る。
「──君はただの“棒”ではない、目の前の敵を“切り裂く刃”を持つ“剣”だ──俺はその評価に“見返り”を求める」
キョウゴの持つ棒が剣に変化する。
「いくよ──カリンちゃん」
「こと──もう、いい──了解したッ」
「跳べッ」
元の位置に戻った椅子を再びロッカクの元へと飛ばす。
同時には──その攻撃を止められない。
本命はキョウゴの剣。
そう二人は判断し、言葉にせずそれを実行する。
キョウゴはその飛んできた椅子に再びその“能力”を発動させるのを待ち、切り込むタイミングを待つ。
「──はぁ」
ロッカクはただ、ため息をつく。
構えていたキョウゴから──飛んできた椅子に目線を移し──
その飛んでくる椅子に手を伸ばし、一瞬口を開くが──
ガンッ──
椅子がロッカクの頭、側頭部へと命中する。
「──言正、その剣で俺を斬る、その見返りにお前は何を“支払う”?」
「──あえて、カリンちゃんの一撃を受けて、一撃が決定打になりそうな俺を選んだということか」
「──はぁ、くだらないな──言正──お前たち兄妹は本当に──」
「どういう意味だ──」
「リスクを選び──受けざるを得なかった訳じゃない──“あえて”受けたんだ──愚かな“小娘”の方の攻撃をな──」
「──何のため」
そんな言葉を放ったカリンをロッカクが見る。
「当然──“見返り”を求める」
「───」
「さぁ──カリン、提示しろ──俺に負わせた傷の“代償”を」
「な──どういうことだ?」
「──俺の能力が後払いできないなど、いつ言った?しっかりと払ってもらうぞカリン──あの日の“先輩”のようにな──」
ロッカクは薄ら笑いのその表情をカリンへ向ける。
「俺を殴るということは、平等の痛み、またはそれ以上の痛みを“見返り”に差し出すということだ──カリン、お前が俺のモノになるといのなら、違う“見返り”というのもあるけどな、“女”でよかったな、カリン」
「クソ野郎がッ」
キョウゴが動かない左手に代わり鉄の棒──剣を握る右手を震わせる。




