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追憶のタムナジア  作者: Aster/蝦夷菊
【2】劇場の演目記録
11/38

演目︰終わらぬ空想の中で貴方と

「ライツェア?」


「あぁ、想華さん。来てくれたのですね、嬉しいです。もしかしたら、呼んできた相手が(わたくし)と知って、無視してくるかとも考えましたから」


「それ、自分の悪さよく分かってますよね? なら、直してくれませんか」


「それはまた別の問題ですよ」


 ライツェアは寝台に座らせた想華を見る。それから咳払いをして、適当に置いてあった椅子に腰掛けた。


「さて、本題に入りましょう」


「…………」


「安心してください、難しくならないよう、手短にお伝え致します」


 一つの写真を取り出し、想華に見えるようそれを前へ出す。

 写真を覗き込んだ想華は、喉を鳴らして瞠目した。


 その理由は、心霊写真だとか、殺人現場だとか、そういうホラーチックなものを見たからではない。そこに写っていた人物に、どういう訳か見覚えがあったからだ。

 自分が守ろうとした、でも守れなかった、大切な人間だったからだ。


「────()()()……?」


「あぁ、やっぱり覚えていらっしゃったんですね。良かったです」


「………………が、……ですか」


「うん?」


 ライツェアはわざとらしく、語尾を上げて問う。


「──私が、彼女のことを忘れる訳がないじゃないですか!」


 眉間に皺を寄せ、混乱と驚愕二つを浮かべて、怒声も混じった声音で想華がライツェアに叫ぶ。問い詰める。


「これ、何ですか!? コノハが、これ、いつの……いつの写真で────」


「焦っているばかりでは、欲しい情報も聞き漏らしてしまいますよ」


「────」


 想華に向けられた冷たい視線に、彼女は息を詰まらせて俯く。

 ライツェアは写真を持っている手を引き、ニヤリと口角を上げて目を細める。真っ暗な瞳の奥には何も映っていないように見えた。


「コノハさんと言うんですか? しかし、一つおかしい事がありますね…………彼女は“コノハ”という名前ではありませんよ」


「へ」


 度肝を抜かれた、と分かりやすく呆れる声を漏らす。


「彼女は『セイカ』。猫の人型で、異形の居る世界でその異形を調べている大学生です。そろそろ人食い鴉の異形を調べに森へ入り、命を落とすことになります」


 淡々と述べるライツェアに、想華はただ言葉を失っている。が、“命を落とす”という言葉に反応して、すぐさまライツェアを睨み付けた。

 しかし、その身体は震えている。


「何故、ライツェアがそんなことを」


「さあ? (わたくし)の能力でしょうか。先見の明──に近い何かだとは思います」


 「とにかく」とライツェアが続ける。


「人食い鴉が仕える八咫烏の神に殺される前に。貴方にチャンスを与えたいと思ったのですよ────“小枝 想華”さん」


「────……チャンス」



「はい。コノハさんと同じ魂を持った転生後のセイカさんを助けるチャンスです。そして、貴方自身が後悔し勇気を取り戻せずにいるその無念を、晴らすことができるでしょう」


 想華は腰の鞘に触り、深く呼吸する。そして、黄色の双眸をまっすぐにライツェアに向けた。




「やらせてください。今度こそ、助けるんです」


 ※ ※ ※ ※ ※


『人物記録』


支給人

名前︰小枝想華

能力︰整理

→命の石を作る

代償︰親しい友の死

Code︰bc7978 ヴィウーローズ

人称︰私 キミ

武器︰永遠の剣“Gradius Aeternitas”

→時を止める刀

継承︰足

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